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日本の聖地100選|栃木県ニュー・セントアンドリュース ゴルフクラブ・ジャパン|ジャック・ニクラス設計の初期の傑作

2018/11/05 ゴルフトゥデイ 編集部

メジャー通算18勝の大記録を持つジャック・ニクラスは、優れたコース設計家でもある。そのニクラスと名匠ミュアヘッドのコラボによる数少ない名コースの一つが栃木県にあるニュー・セントアンドリュース ゴルフクラブ・ジャパンである。

ジャック・ニクラス設計の初期の傑作、栃木県ニュー・セントアンドリュース ゴルフクラブ・ジャパン

16番パー4のグリーン奥からの眺め。ティからグリーンへ左にキャスケード風の流れを見て、緩やかな上りが続き、最後に流れをクロスしてグリーンへ至る。

ここで紹介する「ニュー・セントアンドリュース ゴルフクラブ・ジャパン」は、コース設計者ジャック・ニクラスの初期の傑作である。

ゴルファーなら承知の通り、ニクラスは、全米アマ2回、全英オープン3回、全米オープン4回、PGA(全米プロ)5回、マスターズ6回と、メジャータイトルをアマで2回、プロで18回手に入れている。これはタイガー・ウッズでも到達不能な大記録である。ニクラスはコース設計にも、早い時期から興味を持ち、現在までに多くの名コースを世界各地に残している。

コース設計の始まりは1960(昭和35 )年代の末期、30歳頃からであった。初期の代表作は、ピート・ダイと組んで設計したサウスカロライナ州の「ハーバー・タウンGL」で、69年の開場。翌年から、ここで米国最古のゴルフ倶楽部「チャールストンGC」を偲んだPGAトーナメント「ヘリテージ・クラシック」が始まり、ニクラスの仇敵アーノルド・パーマーが初代優勝者となり一躍有名になった。

その後、ニクラスは設計パートナーを、独特の作風で名を成したデズモンド・ミュアヘッドに替えたが、このコンビは共に個性が強く妥協を許さなかった。短命で決裂したため、共同作品は5つほどしかない。この「ニュー・セントアンドリュース ゴルフクラブ・ジャパン」は、ニクラスのホームコース「ミュアフィールド・ビレッジGC」と並んで、二人の代表的なそれである。その後ニクラスは設計担当にバブ・カップ、建設担当にジェイ・モーリッシュを配して、独立事務所をスタートさせる。

ミュアヘッドはケンブリッジとカナダの大学でランドスケープを学び、大型住宅開発の専門家とし て出発したが、その目玉となるゴルフコースに関心を持って転職、ユニークな形状でゴルフ界の注目を浴びた。この時期、彼はコースの勉強のため、米英の名コースを多数訪ねたが、“最もつまらないのがセント・アンドリュースのオールドコースだった”と記している。ここ「ニュー・セントアンドリュース ゴルフクラブ・ジャパン」の奇抜なデザインは、このミュアヘッドの強い影響だろう。

コースは右に池のやや右ドッグレッグのパー4で始まる。グリーンは池に突き出た“ペニンシュラ” 形状、続く2番パー4は同じ池を右手に引き返す。グリーンは砲台型の“プラトウ”タイプ、しかもガード・バンカーが厳しい。最初のパー3、5番ホールは“ハッ”と驚く段差の大きい2段グリーン。そして、次のパー3、8番はティからグリーンまでが池、「オーガスタ・ナショナルGC」の16番ホールを連想させる。

インに入って10番パー5、11番短めのパー4、そして12番パー5は500ヤード超えの長いホール。この辺はフェアウェイの起伏が厳しくて難しい。続いて、やや上りで距離のあるパー4を過ぎると、ユニークなデザインのパー3が現れ、グリーン奥の壁が城壁の石垣を思わせる。次の15番パー4は距離があるが、打ち下ろしで息が抜ける。続く16番上りのパー4は、このコースの“シグナチャー・ ホール”で、左にカスケード状のウォーター・ハザードが現れる。このホールは、コース開場後、日本の方々で模倣された。17番パー3は瓢箪形のグリーンへ豪快に打ち下ろす。最終パー4ホールもバンカーの配置が美しい。

ニクラスの戦略性にミュアヘッドの造形が組み合わさった名コースと言えよう。

文/大塚和徳

●栃木県ニュー・セントアンドリュース ゴルフクラブ・ジャパン
・コース所在地:栃木県大田原市福原2002
・URL:http://www.nsaj-gc.com/

GOLF TODAY本誌 No.552 88ページより

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著者・監修者プロフィール
大塚 和徳(おおつか かずのり)
ゴルフ歴史家
1934年、大分県生まれ。東京大学経済学部卒業後、第一銀行を経て帝人に入社。MBA取得後、英国ターンベリーホテルの経営、ジ・オックスフォードシャーGCの建設に携わる。海外で回ったコースは350を超え、現在は米ゴルフマガジン誌「世界ベスト100コース」の選定パネリスト。