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2019日本女子オープン優勝 畑岡奈紗|圧勝の裏に二度のピンチと世界の小技(1/2)

6番で寄せきれない渋野、9番の大ピンチから寄せワンバーディの畑岡。

2019/12/06 ゴルフサプリ編集部

最後は2位に4打差をつけて、畑岡奈紗の圧勝に終わった「日本女子オープン」。9月の「日本女子プロ選手権」からの国内メジャー2連勝は、孤高の強さを見せつけたようにも思えるが、最終日には逆転される予感がしたピンチもあった。

「6番でバーディが 獲れれば、その後は波に乗れる感じだった」

青木 翔
1983年3月28日生まれ。2011年からジュニアゴルファー、プロゴルファーを目指す選手の指導をはじめて、2017年から渋野日向子のコーチになった。今年の日本女子オープンでローアマ(9位タイ)になった梶谷翼も教え子。

今年の女子ゴルフ界をリードしてきた黄金世代だが、「日本女子オープン」でも主役となったのは98年生まれの黄金世代だった。最終日をトップタイで迎えた畑岡奈紗と大里桃子、6位には渋野日向子、さらに9位タイには松田鈴英と高橋彩華、そして15位タイにも勝みなみ、田中瑞希がいて上位選手のスコアが出るリーダーズボードの約半数は黄金世代の20歳の選手だ。

その中でも圧倒的なギャラリーを集めてスタートした渋野。9月には8打差を逆転して優勝したこともあり、最終日にも6打差からの逆転を期待するファンの大声援を受けていたがスタートから5ホール連続でパーが続いた。その組に同行していた青木翔コーチに6番ホールで話を聞くと、「この6番が波に乗れるかどうかの分岐点だと思います。パー5なのでバーディが欲しいですが、意外と難しいレイアウトでツーオンを狙うラインが狭い。シブコも初日はここでダボを打ちましたからね。でも、逆転優勝を狙うならここは攻めないと厳しいでしょうね」

その言葉通り、渋野は明らかにバーディを狙っていた。1打目のティショットはフェアウェイを外してバンカーぎりぎりのラフだったが、2打目で5番ウッドをフルショットして花道まで持ってきた。しかし、3打目のアプローチで3段グリーンの最上段まで届かず、パーに終わった。青木コーチは、

「かなり上りのグリーンだったので、あそこは52度で低いアプローチを打ちたかったところですね。ここでパーだとちょっと波に乗るのは難しいですね。最終日のピン位置だと上位陣もスコアが伸びなさそうな感じなんですけどね」

渋野はその後もなかなかバーディが奪えず、13ホール連続パーとなって優勝が遠のいた。そして青木コーチの予想通り、トップタイでスタートした畑岡と大里も前半は苦しんで、渋野が6番を迎えた時点で、畑岡は3番、4番で連続ボギー。大里も3番でボギーを打ち、最終組は2人とも我慢のプレーが続いていた。そして9番では畑岡にトラブルがあった。

[No.6 Par5/492y]花道からのアプローチでショート

6番ホールはパー5だが最終日の平均スコアはオーバーパー。グリーン周りにはバンカーが密集し、2打目でグリーンを狙うラインが狭い。グリーンも大きな3段グリーンで渋野は3打目のアプローチが短く、長いバーディパットを外してパーセーブとなってしまった。

「鳥肌が立ったくらい9番のアプローチは凄かったです」

森口祐子
1955年4月13日生まれ。ツアー通算41勝を誇り、女子ツアーには6人しかいない永久シード保持者の一人。今年は日本プロゴルフ殿堂にも選ばれた。現在は女子ツアーの解説者としても活躍している。

予想を超えた低いアプローチ

最終日の9番はワンオンが狙える280ヤードのパー4。果敢にドライバーで攻める選手が多かった。しかし、最終組の3組前を回っていた名手・申ジエが痛恨のボギーを打つほど難易度が高いホールで、畑岡もティショットをミスして右の木に当ててしまう。ピンまで約60ヤードという微妙な距離が残った。現場で解説をつとめていた森口祐子は、

「最終日の9番はピンポジションも一番左奥で最も難しい位置。手前には波打った傾斜が2つあります。だから、あのアプローチは高く上げても難しいし、低く出しても距離感が厄介です。でも、私は上げるかなと思っていました」
 
2打目地点に来た畑岡はグリーンまで歩測をして戻ってくると58度を抜いた。多くの人が高いアプローチを予想していたが、畑岡は低く打ち出すと10ヤード以上のランを使って、カップまで30センチにつけた。

「本当に鳥肌が立つ1打でしたし、良いものを見せてもらったなと思いましたね。2年前に女子オープン連覇、大会最少スコアの20アンダーを記録したときの17番でもラフから40ヤードのすごいアプローチからバーディを奪ったんですが、それを彷彿させるショットでした」

[No.9 Par4/280y]58度で打った低いアプローチがピン30センチに!

最終日はワンオンを狙えるように280ヤードになっていた9番ホール。約60ヤードのアプローチは左足下がりの難しいライだったが、畑岡はキャリーでグリーンギリギリに落として、長いランを使って30センチにつけるスーパーショットを見せた。


<2019日本女子オープン/優勝:畑岡奈紗>圧勝の裏に二度のピンチと世界の小技|プロが分析するプロの心技体(1/2)


(2/2)へ続く

GOLF TODAY本誌 No.570 81〜83ページより

【プロが分析するプロの心技体】シリーズ一覧
2019日本女子オープン優勝 畑岡奈紗|圧勝の裏に二度のピンチと世界の小技(1/2)
2019日本女子オープン優勝 畑岡奈紗|圧勝の裏に二度のピンチと世界の小技(2/2)
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