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ベン・ホーガンの『オンプレーン』スイング理論はどう生かせばいい!?

''芯に当たる''スイング大改革|あなたに合ったスイング理論を見つけて飛距離アップ!PART3

2020/01/10 ゴルフサプリ編集部

ベン・ホーガンといえば、大きなガラス板を想定して腕を振るという「オンプレーン理論」が有名だ。

現在も世界の超一流プレーヤーたちがホーガンの理論に学んでパーフェクトなスイングをマスターしてきたし、アマチュアゴルファーにとって参考になるところも多い。しかし、昔の理論がそっくり当てはめていいかというと答えは「NO」だ。

ホーガン理論を上手に生かし、上達に役立てるポイントを谷将貴が解説してくれた。

谷 将貴
たに・まさき
1972年11月17日生まれ。1993年に渡米し、最先端のスイング論を学ぶ。帰国後にティ-チングを開始し、片山晋呉の3年連続賞金王獲得に貢献するなど多くの功績を残す。現在は米山剛のコーチをつとめる一方、主宰する「TANIMASAKIGOLFACADEMY21」で多くのアマチュアを指導。

ベン・ホーガンの「オンプレーン」スイング理論とは?

両肩に乗っている大きなガラス板がボールに向かって傾斜していると想定。頭はガラス板の穴から出ていると考える。

ホーガンは「バックスイングの平面の具象化」として、大きなガラス板のイメージを提唱している。
『モダンゴルフ』から抜粋したポイント簡略に整理すると……。

  • アドレスの姿勢をつくったとき、ボールと首の付け根を結ぶラインを大きなガラス板と想定する
  • バックスイングで両腕が腰の高さに近づいたとき、腕は平面と平行に動くべきである
  • さらにトップに達するまでガラス板の直下にあり、この平面との平行が保持されるべきである

トップではガラス板とまったく等しい角度に左腕が伸ばされている。実際に左腕でガラス板を掃くことだろう。

このことからホーガンは傾いたガラス板に沿って腕を振ることでプレーンの平面が安定し、クラブヘッドが理想的な軌道に乗りやすいはずだと考えていたと思われる。

???
でも、ちょっと
疑問に思うことがあるんです……
現代版の解釈が必要かも。

ホーガンの『モダンゴルフ』はゴルファーたちのバイブル!

ベン・ホーガン(1912~97年)はアメリカが生んだ偉大なゴルファー。メジャー9勝を含むPGAツアー通算69勝の記録を残している。

ホーガンが著わした『モダンゴルフ』は世界中のゴルファーにとって最高の教科書となっている。谷将貴も「ゴルフの原理原則をついているので、今でもときどき読み返しています」と言う。

ビデオカメラがなく、映像で確認ができなかった時代にスイングの絶対基本をこれだけ明快に解説されているのは驚嘆に値する。

ベン・ホーガンのスイング理論の真意とは!?

ガラス板を壊さないようなバックスイングが大事です!

クロストップのトップになるとガラス板が粉々に!

ホーガンも「ガラス板を壊してしまうようなバックスイングはいけない」と説いている。ガラス板はクラブがアウトサイドに上がったり、クロストップになったりしないためのガイダンスと考えよう。

テークバックの初期からアウトサイドに上がるとクラブヘッドがガラス板に当たる

クラブがガラス板と交差するようなバックスイングもNG

理想的なスイングはシャフトのラインに沿って振るイメージ

シャフトのラインをイメージしたものがリアルプレーン

ベン・ホーガンはガラス板に沿って腕とクラブを振ることでオンプレーンのスイング、つまりクラブヘッドが正しい軌道に乗り、インパクトの正確性がアップすると説いています。

ここで注意したいのは、ガラス板の意味を勘違いしないこと。ホーガンは「ガラス板を基準にして腕とクラブを振りなさい」と説いていますが、同時に「ガラス板を壊してはいけない」とも説いています。

これが何を意味するかといえば「ガラス板の下でクラブを振りなさい」ということだと思います。腕やクラブをガラス板に沿って振ればいいと安易に考えるのは危険です。

ガラス板はクラブヘッドがこれ以上出てはいけないという限界のラインと考えるのが妥当であり、バックスイングでクラブがアウトサイドに上がったり、トップでクラブヘッドが目標よりも右を向くクロストップになったりする人には良きガイダンスとなるでしょう。

しかし、オンプレーンにスイングしたいのであれば、アドレスのシャフトの傾きの面をイメージしたほうが合理的です。クラブを正しい軌道で振りやすくなることを知りましょう。

ベン・ホーガンのスイング理論の活かし方

ホーガンのように振りたければフラットに振るイメージ

クラブをシャフトの傾きの面に対して平行に振り続けよう

私はベン・ホーガンのスイングの古い映像を見たことがあります。イメージとリアルの違いなのでしょうけれど、実際のホーガンのスイングはガラス板の面よりも低い位置で振っていたことがわかります。

ガラス板のイメージが間違っているわけではありません。むしろビデオなどの映像がなかった時代に、ガラス板の面を基準にしてクラブをオンプレーンに振る技術を身につけたのは驚嘆です。

現在では先進的なスイング解析器でスイングの細部までチェックできるようになり、アドレスのシャフトの傾きの面に沿ってクラブを振り続けるのがリアルなオンプレーンだと解明されています。

テークバックでクラブが右腰くらいの高さに上がるまではシャフトの面に沿って上がり、そこからは腕が上昇しますが、クラブはシャフトの面と平行に保たれます。

ポイントはトップで右ヒジが真下を向くこと。右ヒジが浮くと右ワキが大きくあき、クロストップになってガラス板を割ってしまいます。

ダウンスイングでもシャフトの面と平行の角度から下降し、右腰の高さからは、シャフトの面と重なるのが理想です。

構えたときのシャフトの傾きを大きな平面とイメージ。テークバックの始動からトップまでクラブはこの平面に対してずっと平行を保つ。

腕相撲に負けるイメージ

トップで右ヒジを下に向けるには、右腕に余分な力を入れないでリラックスさせておくのがコツ。

右手が勝ってはダメ

腕相撲に勝とうとするような右手使いは、右ヒジが浮いてクロストップのミスを招きやすい。

ガラス板の面よりフラットに振るのが正解!

右腰くらいの高さから右ヒジが下を向いたまま、腕が上昇してトップへと向かう。結果的にクラブヘッドが目標よりもやや左を向くか、飛球線と平行のレイドオフの位置に収まる。

ダウンスイングもシャフトの面と平行

シャフトの面に沿ってインパクトへと向かう。

シャフトの面に沿ってインパクトへと向かう。

オンプレーンに振るポイント

“正しい右ヒジ使い”を覚えて安定したプレーンをつくる!

右手スイングの練習で感覚をつかもう

①左手で右ヒジの内側を押さえてアドレス
②右ヒジを下に向けたままでテークバック
③トップで右ヒジが90度くらいにたたまれる
④胸を右に向けたまま腰を左にスライド

①ダウンスイングでは右ヒジが右ワキに軽く触れるように
②インパクトでもまだ右ヒジが軽く曲がったまま
③インパクト直後に右ヒジを一気に伸ばしていく

右手だけでクラブを持ち、素振りをくり返そう。左手で右ヒジを押さえておくとクラブを正しいプレーンに乗せる感じがつかめる。

スイング中は右ヒジが一度も上を向かない

ベン・ホーガンはバックスイングとダウンスイングの軌道がパーフェクトといっていいほどきれいに重なっていました。

特に右腰から左腰の高さの軌道は、シャフトの傾きの面からまったく外れていなかったほどです。正しいバックスイングの軌道が正しいダウンスイングの軌道をつくるというわけです。

オンプレーンに振りたいのならガラス板よりもフラットに振るイメージがポイントとなりますが、右ヒジの動きにも着目してください。

右手だけでクラブを持ち、左手で右ヒジを軽く押さえて素振りをくり返しましょう。右ヒジが下を向いたままでトップへと向かい、切り返しでは下半身を先行させます。このときに胸を開かないで右ヒジを真下に落とすのです。そして右ヒジが右ワキに軽く触れた状態でインパクトに向かい、ボールを打ち抜いてから右ヒジを一気に伸ばしましょう。

ホーガンのスイングも右ヒジがずっと下を向いたままでした。右ヒジがオンプレーンスイングをつくるといっても過言ではないでしょう。ただし、右ヒジを絞りすぎるのはNGです。また、右ヒジと同様、左ヒジも下に向けておくことです。

トップからは右ヒジを真下に下ろそう

ダウンスイングは重力にまかせて右腕をストンと落とすイメージ。そうすればクラブが正しい軌道に乗りやすい。

右ヒジの絞りすぎはNG

右ヒジを真下に下ろそうとして右ヒジを絞りすぎては体が右に傾き、クラブがインサイドから低く下りてしまう。体を傾けずに右ヒジを落とそう。

下半身リードでオンプレーンに振れるようになる

下半身先行の動きと右ヒジを真下に下ろす動きを連動させればオンプレーンのスイングが出来上がる。

協力/TANI MASAKI GOLF ACADEMY21

GOLF TODAY本誌 No.571 64〜71ページより

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