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PGAツアー流の”準備“に学ぶ[ラウンド術]

世界のトップ選手は打つ前の準備が慎重!でもアマチュアは……

2020/01/22 ゴルフサプリ編集部

世界の一流選手が出場した『ZOZOチャンピオンシップ』では、練習ラウンドや試合中の仕草からPGAツアーの選手がどんな準備をしてショットを打っているのかを徹底取材!スイングはマネできなくても、そのラウンド術にはスコアアップのヒントが隠されているはずだ。

「スイングはマネできなくても準備は同じことができます」

PGAツアーでキャディとして活躍
杉澤伸章
1975年7月5日生まれ。02年から丸山茂樹選手の専属キャディとしてPGAツアーに参戦。現在はゴルフネットワークなどの試合でリポーターとしても活躍。

ラウンド前の準備|朝の練習はパッティングから先にやる

小さいクラブで体とクラブをシンクロさせる

アマチュアゴルファーはラウンド当日にショットの練習をしてからパッティングをやる人が多いと思いますが、PGAツアーでは、最初に練習グリーンでパッティングをやる人が多いです。それは、短いクラブをゆっくり振ることでクラブと体がシンクロ(同調)する感覚をつかむためです。PGAツアーの選手は、まずパッティングで体とクラブの感覚をつかんでからショット練習、その後にアプローチ練習、スタート前に再度パッティングの練習をしてから試合に挑むスタイルが多いです。

コーチをつけている選手は、真後ろからストローク軌道やリズムを見てチェックしてもらうタイプが多い。

スタートの約1時間前には練習をはじめている

PGAツアーで活躍する一流選手で毎日ラウンドや試合をしている選手でも、実は1日1日、体とクラブの感覚は違います。皆さんもラウンド当日に、はじめてクラブを振ったときに、なんか「違和感があるな」と感じることがあると思います。それは当然です。

その違和感はツアープロでもあります。朝の練習は、その違和感をなくして、体とクラブを同調させることが最大の目的とも言えます。どんなに調子が良くても、体とクラブの感覚は、寝て、起きたら変わってしまうのです。

一般的にPGAツアー選手は、スタートの1時間前にはクラブハウスから出て練習を始めします。その前にクラブハウスなどでストレッチをしたり、マッサージをする選手も多いです。


それとアマチュアは、朝の練習でスイングをチェックする人が多いですが、それはオススメしません。ラウンド当日の練習は打球の確認です。

練習場ではその日のボールのつかまりや、打球の傾向を確認することが最優先。ボールが曲がるなと思ったら、そこでスイングを調整するのではなく、その曲がり方に合わせてコースの攻め方を変えていくのが鉄則です。

ティーイングエリアの準備|パー4やパー5でもティショット前にピン位置から逆算する

よくPGAツアーではティーイングエリアで選手とキャディが会話をしているシーンがある。あの場面ではどんな準備をしているのか?

ピン位置によって、ラフでもOKの選択が!

これはPGAツアーのプロならほぼ全員が同じだと思いますが、まずティーイングエリアで確認することはピン位置です。アマチュアの皆さんは、ハウスキャディの方にいきなり「ドライバーで狙う方向」を確認していますが、ツアープロは基本的にピン(カップ)からの逆算でコースマネジメントを決めます。それはパー3だけでなく、パー4やパー5でも同じです。

例えばパー4で2打でグリーンを狙うときも、ピン位置が奥だったらグリーン手前を使えるので「ラフでもOK」という選択肢が出てきます。逆にピンが手前だったら、フェアウェイキープが最優先になります。そうなると、クラブ選択がドライバーだったり3番ウッドだったりと変わってきます。だから、まずはピン位置からチェックするのです。4日間の試合で、同じホールでも使うクラブが変わってくるのは、ピン位置が毎日違っているからです。

よくティーイングエリアで選手とキャディが相談するシーンがあると思いますが、確認する順番としてはピン位置→風の強さと方向→障害物(ハザード)です。その流れがあって、クラブ選択をしているのです。

「風の向きは時計で確認する選手が多い。2時からのアゲインストみたいな感じです」(杉澤)

同じホールでもピン位置は毎日違うので、毎日ティーイングエリアで確認する準備が必要になる。

風に対する準備|1打目と2打目で風向きが違うことに注意!

ストレートに見えても、実は風向きが違う

もちろんティーイングエリアでも風の強さ・方向は確認しますが、PGAツアーの選手はよく2打目地点でも、芝を飛ばして風のチェックをしています。それは、1打目と2打目では風の向きや強さも違っているからです。ドッグレッグホールはもちろんですが、ゴルフ場は風が舞うポイントが多いので、ストレートに見えても意外と風向きや強さは違います。

最も難しいのは横からの風です。横風になると2打目からグリーンの外側に狙って打ち出すことが必要になるのですが、それは選手にとっても最も距離感や方向性が難しくなるショットです。

タイガーも、よく2打目地点で芝を投げて風を確認している。「タイガーは投げる芝の量も、腕の高さもいつもほぼ同じです」(杉澤)

キャディはココをチェック

プレーヤーとキャディは“ドローンの目線”でコースを分析

選手とキャディはティーイングエリアでもゴルファーの目線ではなく、基本的に上のイラストのように真上からホールを見た“ドローンの目線”を共有しながらコースマネジメントを決めています。それと、特にグリーンを狙うショットになると、バンカーや池など色んな障害物が出てくるので「絶対にやってはいけないこと」から消去法で攻め方を決めます。「ここのバンカーは絶対ダメ、こっちも難しい、そうなるとここが安全か」みたいな感じです。

グリーン周りの準備|落とし所の確認が最優先。上りの1m以内を狙う!

アプローチエリアからはウェッジを持ったまま選手がグリーンまで歩いて、グリーン上の確認をする選手が多いが、それは距離を確認しているだけではない。実はもっと選手が気になるポイントがあるのです。

落とし所の硬さ、傾斜でコロがりがイメージできる

同じピンまで30ヤードのアプローチでも、グリーンの硬さや傾斜によってボールのコロがる距離が変わってくる。杉澤は「落とし所から下っていくラインは、特に難しいです」と語る。

グリーンを確認した後に打つクラブを決める!

試合ではグリーンを確認した後にクラブを変える選手も多いが、それは天候によってもグリーンの硬さが毎日違うためでもある。

足裏で硬さ、傾斜をチェックする!

もちろんアプローチエリアでも基本は逆算です。カップ付近のラインを見て、そこにコロがりスピードをイメージして、そこから落とし所を決めます。この落とし所が最も大切です。選手が歩いてグリーンに行くのは落とし所の硬さ、傾斜を足裏で正確に把握するためです。その硬さによってスピードが変わってきますし、傾斜によってワンバウンド目の方向性が違うので、最もシビアになるのです。

それとボールを止める位置としては、理想はゼロラインと呼ばれる傾斜がないところなのですが、それはツアー設定のピン位置ではなかなかありません。だから、基本的には上りの1メートル以内を狙います。そこから逆算して、落とし所を決めるのが王道です。

アプローチの前にグリーンを確認する選手は、真下を見ながら、硬さや傾斜を確認する選手が多い。

タイガーも落とし所に立って、そこからカップまでコロがるラインをチェックしている。

アプローチで落とし所ともう1つ大事なことはライの確認。特にラフはボールが浮いているのか沈んでいるのかによって、出球の高さ、ヘッドを入れるイメージが変わってくる。杉澤は「特に日本の野芝はボールが浮いていることが多いのでボールの下をヘッドが潜るポッコンのミスが出やすい。それを想定するだけでミスショットの確率を減らせます」と語る。

グリーン上での準備|360度方向からライン読み!最も低い位置で止まる。

タイガーも必ず1周歩いて、対角線上では低い姿勢からラインをチェックしていた。

ゆっくり歩くスピードにも注目

アマチュアでもグリーン上を歩きながら確認する人は多いが早足で歩いてチェックする人が多い。PGAツアーの選手は、1周をゆっくり歩きながら、念入りにチェックする人が多かった。

パターを持ったまま1周回ることが大切

アプローチやパッティングではウェッジやパターを持ちながら、グリーン上を歩く選手が多いのですが、実はクラブを持っていることが重要。あれはヘッドの重さを常に感じることでショットやパッティングをイメージしやすくしているのです。

それとグリーン上では選手が1周して360度方向からラインをチェックしています。それは全方向からラインを確認するためでもありますが、ここでのポイントは3つあります。

まずは1周回る向きです。例えばスライスラインであれば右回り(時計回り)で1周しないとスライスがはじまるポイントの後方をチェックできません。2つ目は必ず低い姿勢で見ること。グリーン上で立ったままラインを見ると、全体が白く見えやすいのでラインが読みにくい、低い姿勢で見るほうが芝が濃く見えるので読みやすいのです。

最後は1周回るときに最も低い位置で止まることです。低い位置は傾斜の角度が最もわかりやすいので、パッティングの強さをイメージしやすいです。

低い地点は芝が濃く見えて、ラインが見やすくなる

ボール後方からラインを見るときも少し離れた場所からボールを見る選手が多い。杉澤は「ボールからカップまでが1メートルなら、後方から見るときはボールより1メートル以上は離れないとラインは読みにくいと思います」と語る。

GOLF TODAY本誌 No.571 86〜91ページより

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