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河本結インタビュー|「みなが無理と思っていることを私はやり遂げたい!」

リボンが翔ける!世界への想い

2020/02/20 ゴルフサプリ編集部

レギュラーツアーデビューの昨年は、3月のアクサ・レディースでいきなり初優勝。勢いそのままに、昨秋受けたアメリカ女子ツアーのQTファイナルでは9位で合格した河本結。「世界ランク1位になりたい」という大きな夢を叶えようと、黄金世代の一人が今季からアメリカを主戦場としている。トレードマークは髪を結ぶリボン。それが揺れる世界の舞台で、今季もその笑顔がどれくらい見られるか。

河本結の現在「私イケるでしょって、勘違いしちゃえばいいかなって(笑)」

──まず、今季アメリカでの挑戦がいよいよスタートしました。現在の率直な心境から聞かせてください。

「ゴルフ面での不安はないです。日本で腹を括ってきたというか、しっかり準備をしてきたので。アメリカでシーズンを通して戦ってみて、どこまで通用するのか。もっと強く、もっと大きくなるために、何が必要なのか。シーズン後にそれを知ることができると思うと、ワクワクしています」

──昨年は国内ツアーの初年度ながら、アクサ・レディースでいきなり初優勝。涙が印象的でした。

「下部ツアーにいたときから、『上でも勝てる』と信じていたので、早く勝ててよかったなと。涙は小さな頃からの夢が叶った瞬間でもあったから。自分一人では勝てなかったので、周りの人々の支えに感謝の気持ちが一層強くなりました。でも、国内の優勝では、まだ1ミリも達成感がないです」

──アメリカ挑戦の意志はいつから芽生えたのでしょうか。

「ゴルフを始めた頃から男子のPGAツアーをテレビで観て、自分もやるからにはタイガー・ウッズさんのように世界一になりたいと、ずっと努力してきました。昨年世界ランク75位以内に入れたことで、そこからは早くアメリカに行きたいなと」

──そのQTファイナル、初めてアメリカでプレーしてみた実感は?

「8日間は長かったけれど、トップ通過を目指していたので必死でした。7日目にスタートから2ホールでダボとトリプルを叩いてしまって。でもそこからイーブンまで戻せたことは自信になったし、周囲との差も感じていません。私イケるでしょって、いい意味で勘違いしちゃえばいいかなって(笑)」

──日本とアメリカの違いをどのように感じていますか?

「まず環境は、グリーンもフェアウェイも芝がシビアです。ミスヒットがしっかり結果として表れてしまうので。そして雰囲気は、日本よりあっさりしていて、良いスコアではなくてもみんなケロッとして、くよくよしない。からっとしてのびのびしている雰囲気は、自分に向いているなと思います」

──アメリカを主戦場にすることへの迷いはなかったですか。

「予選を通ったとき、この挑戦は今しかできないなと。自分の気持ちに正直になれば、行くしかないよねと。でも決断してから迷いが出て。ファンも日本で戦う姿が見たいと言ってくださっていましたし、早すぎるという意見もありました。だけど、最後に決めるのは自分、やるのも自分なので、今は吹っ切れています」

──アメリカで戦うにあたって、自分の武器と、まだ足りないところは?

「アイアンショットには誰よりも自信があります。ドライバーも向こうのコースの方が広いので、ブンブン振って行けるので楽しみです。

足りないのはショートゲーム。昨年国内でも優勝争いで勝てなかった試合は、必ず1つは致命的なミスがありました。気持ちの面で潔さが足りずに寄せることができなかったり、パットも重要な場面で外してしまったり。メンタル面でも、気分が沈んで成績を落としてしまうことがありました。

最近は『スマイル』というのが流行っていますけど、私はストレスを発散してもいいと思うタイプですね。アメリカの選手はクラブを投げたり、凄い言葉を吐いたりしていたので、自分なんか可愛いものだなと(笑)」

──実際にアメリカへ来てみて、期待と不安、どちらが大きいですか。

「いろいろ経験してみたら、不安な部分も見えてくると思うんです。生活も変わるし、言葉も通じないし。いろんな壁を、キャディさん、母もいますしエージェント、そして私の四人のチームで乗り越えたいなと。それに身近に(畑岡)奈紗ちゃんもいるので、助言をもらいながらやっていきます。

自分の良さは、誰とでも明るく接することができるところ。他の選手にも積極的に話しかけて、下手な英語ですけど、たくさん喋って、少しずつ上手になっていきたいと思っています」

昨年末に開催されたLPGAアワードでのひとこま。黄金世代で優勝した6人が壇上で記念撮影。「アナと雪の女王」のエルサをイメージしたドレスで装う。

河本結の未来「アメリカで賞金ランクトップ5。国内ツアーでも最低1勝を目指します」

──最終プロテスト一発合格。ステップアップツアーの賞金ランク1位。国内初優勝。アメリカQT合格……。さて、未来。どんな目標を?

「今年はアメリカの賞金ランクでトップ5を目指します。それと、国内ツアーで最低1勝。もちろん、経験してみれば、それがどんなに難しいことか理解できてくることもあるかもしれません。でも、最初から目標を低くしてしまうと、それに甘えてしまうから。

昨年国内でも、賞金ランク5位を目標にして、実際には6位で届きませんでした。そのときも、5位は目標は高すぎる、シード権獲得で十分という意見もありました。でも、自分で決めた目標に後悔はありません。難しい目標があるからこそ、あれだけ一生懸命になれたのですから」

──将来のために、現在努力しようとしている部分は?

「このオフも取り組んできたのは、体のバランスを整えること。昨年もシーズンを通して戦ってみて、疲れてくるとアドレスが狂ってきてしまうという欠点が見つかりました。心肺機能を強くしたり、姿勢の改善に取り組んだりと、疲れない体作りと同時に、疲れたときにこそ自分を崩さない方法を学んでいます。

それと、ゴルフと大学(日本体育大在学中)の両立です。絶対に卒業したいし、海外でもインターネット講習やレポート提出で対応してくださるので、そこは精一杯やりたいです。プロとしてゴルフができているのは、社会に支えられているから。現役引退後、今度は自分が社会貢献できる人間になりたいんです」

──昨年全英オープン制覇の渋野日向子や、一昨年日本勢最年少でアメリカツアーに優勝している畑岡奈紗ら、いわゆる「黄金世代」。刺激を受けている面も大きいのでは?

「それはもの凄くあります。同世代はみんな強いので、ステップにいた頃にはレギュラーで活躍している彼女たちを見て、ここにいちゃいけないと。

私が全英オープン行きを逃して、シブコ(渋野)が行って勝ったわけですけど、もうそれを悔しいと思っているだけじゃ駄目だと思うんです。考え方次第で、自分にはまだ実力が足りなかった、もっと向上しなければならないというメッセージだったと、今は受け容れています。それにシブコが勝ってくれたことで、これだけ女子ゴルフが国内で盛り上がりましたしね。

今度は自分がやる番だと。メジャーももちろんですけど、アメリカで何勝かすることで、本気で東京オリンピック出場も狙っています。心の中に無理という言葉は浮かんでないし、自分が出られる可能性がある自国開催のオリンピックなんて、一生ないじゃないですか。その可能性が0.01%でもあるなら、それは私にとってチャンスですから」

──いつも「有言実行」を貫いていますが、それは今後も変わらない?

「自分ができないと思ってしまったら終わり。みんなが無理と思っていることを、私はやりたい。だから、国内で勝つ、海外でも勝つ、世界一になる。そう自分で目標として思っているだけじゃなく、心の底から、やれると思えているかどうか。それが行動につながっていくんです。

 昔を振り返ると、一生懸命やってきた自分がいたから、今の自分がある。3年後も振り返ったとき、アメリカに挑戦してよかったな、あそこで頑張ったから今の自分がいるんだな、そう思えるように、今頑張っていきたいです」

──ありがとうございました。

河本結の過去「名前も結なので、リボンを結ぶと気持ちが入るんです」

「幼い頃の私は、ゴルフ以外にいっぱい夢を持っていました。歌手、お医者さん、サッカー選手。昔から目標に向かって頑張ることが好きでしたね。

ゴルフは遠くにボールが飛ぶのが最初は楽しくて。すぐに私に向いているなと。両親に似てスポーツ万能でしたけど、サッカーは男の子の中で一人、1トップをやらされて、シュートを外すと暴言を吐かれるのが苦手で(笑)。

リボンは中学生のときにお母さんがつけてくれて、それからずっと。私生活ではつけないんですけど、試合で結ぶとオンとオフの切り替えができるし、ファンからも目立つし可愛いと言っていただけたことが嬉しくて。

名前も結なので、リボンを結ぶと気持ちが入り、さあ、頑張るぞと。国内にも何戦か帰ってくるので、スケールが大きくなったところを観てもらえるよう、アメリカで頑張ってきます!」

GOLF TODAY本誌 No.573 81〜85ページより

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