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渡邉彩香の復活優勝のカギは「お散歩気分」だった!?

渡邉彩香の優勝を支えたプロキャディ・川口淳さんに聞いた試合の裏側!

2020/06/29 ゴルフサプリ 編集部

3か月遅れで開幕した女子ツアー「アース・モンダミンカップ」は、プレーオフを制した渡邉彩香選手の復活優勝という感動的なフィナーレで幕を閉じた。ゴルフサプリでは、開幕前から「プロキャディが語る!

2019シーズン熱戦エピソード」をお届けしていたが、実は今回、渡邉彩香プロのキャディを務め、ベストキャディ賞を受賞した川口淳(かわぐち・あつし)キャディにも、試合前に取材をしていた。その記事は追ってお届けするとして、試合を終えたばかりの川口キャディから、今回の渡邉選手優勝について、話を聞いた!

今期、開幕戦のテーマは「お散歩」!?

渡邉彩香選手はスイング改造に取り組み、タイで合宿を行うなど、オフにみっちりトレーニングを重ね、「新生・渡邉彩香」として、万全の態勢で今シーズンに望む予定でいた。だが、新型コロナウィルスの影響で、なかなか開幕戦が行われず、その成果を試すこともできない日々だった。

「彼女の練習の姿勢、ゴルフに対する思いなど、こんなにしっかりやってる子がうまくいかないはずがないと思っていました」と、試合前の取材で語っていた川口キャディ。今回の試合にはどんな気持ちで臨んだのだろう。

「実は僕らの今回の試合のテーマは「お散歩でした」(笑)」

お散歩ですか?! と、思わず聞き返すと

「彼女の場合、目の前に何かがあると、力が入って、リズムがどんどん早くなってきちゃうんです。でも、コーチを変えて約1年、スイングが固まりつつあるところなのに、欲が出ると自分のスイングを壊しかねないと思ったんです。だから、今回は試合の結果を求めるのではなく、自分のリズムだったり、緊張したり、プレッシャーがかかったときの状態を感じられる試合にしようと決めて、取り組んだんです」

結果は考えず、さまざまな状況での情報収集の場と考えていた

実は渡邉選手は、昨年の夏から東京のインドアスクールでレッスンを行なっている中島規雅(なかじま・のりまさ)コーチにスイングを見てもらうようになっていた。タイの合宿にも同行し、スイング改造に取り組み、それが徐々に固まってきているタイミングだったのだ。

「新スイングで初めての試合なので、どうなるかわからない。それなら、試合で自分がどういう状況になるのか、情報を収集して、足りないところを把握するのが、今回の『アース・モンダミンカップ』の位置づけと決めたのです。だから、お散歩気分で行こう!と。鼻息が荒くなってきても『今週はお散歩だよ~』って言うと、『あ、そうでしたね』と(笑)」

『試合ではなく、お散歩』なので、渡邉選手はボードを見ていなかったという。

「普段は見ているのですが、今週はお散歩なので、順位は気にしない。周囲は気にしない。だから、彼女は自分でもボードを見ないようにしていて、18番終わって、初めてボードを見て、自分が首位にいることを知ったんです」

無観客での試合、スコアボードも小さく、スコアラーもいない状況だったからこそ、あえて、自分の順位、他の選手の順位を知ることなく、プレーできたこともプラスに働いたようだ。

「とにかく、自分が取り組んでいるスイングをどこまでできるかが課題でした。風が吹いたり、雨が降ったり、傾斜のときなど、状況ごとに固めてるスイングがどこまで対応できるかを、確認しようと考えていたんです。優勝できたのはもちろん嬉しいですけど、固めているスイングが良くなってきたことがわかって、さらなる課題が見えてきたことも良かったです」

新スイングにより、持ち前の飛距離に安定感が備わった。

やりきったのではなく、やっとスタートラインに立てたという意識

次の試合まで時間があることもわかっていたので、しっかり情報収集をして、固まってきたスイングをさらに良くしながら、別の課題にも取り組んでいく姿勢を貫くというのが陣営の考え方だったのだ。

「これでやりきったという感じではなく、やっとスタートラインに立てたという気持ちですし、これからどんどん成長していく子ですからね。今後が大切なんですよ」と川口キャディは話してくれた。

ところで、今回の渡邉選手、打ちきれずショートするパッティングが多いように感じたのだが、その部分について聞いてみると

「そうなんです。まあ、それが持ち味なんです(笑) 上りはショートすることが多くて、打て打て!というパッティングラインのほうが打てないんです(笑) 実は最後、下りのラインについたときに『得意の下りだね』と(笑) 本人もわかっているんですよ。わざと下りにつけたわけじゃないんですけどね、下りのラインが残ったので『これ、いけるんじゃない? 上りのラインが残るよりいいよね』と話していたんですよ」と、下りが得意だったことを明かしてくれた。

さて、ティショットが良くなってきた分、別の課題が見えてきたと川口キャディ。その内容とは?

「ティショットが良くなった分、残り距離が短くなるので、人より短い番手で打てます。短い番手を持っている分、よりピンの近くにつけないとダメですよね。今後はショートアイアンやウェッジショットを強化して、もっと爆発的なスコアを出せるようにしたいですね。ピンより少し上目につけて、必ず下りのパットを残すようにすればいいのかな(笑)」と冗談っぽく締めくくってくれた。

スタートラインにやっと立ったばかり、新生・渡邉彩香選手の今後の活躍も楽しみだ。


川口淳(かわぐち・あつし)
1975年7月2日生。神奈川県出身。2005年に今野康晴選手に懇願し、ツアーキャディの道へ。その後、女子ツアーを主戦場に切り替え、上田桃子選手、諸見里しのぶ選手、古閑美保選手、成田美寿々選手、菊地絵理香選手らのキャディを務めた後、2018年から自身で懇願し、渡邉彩香選手の専属キャディとなった。

写真/Getty Images/JLPGA提供
取材・文/下山江美

ウィニングパットを沈め、川口キャディに歩み寄る渡邉彩香。深々と頭を下げる川口キャディ。これまでの苦難を思わせる、うるっとくるシーンだ。

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