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アプローチ&バンカー絶対上達!! バウンスを滑らせれば、アプローチはもっと簡単になる

向江寛尚の 「知っ得!! ウェッジ・バウンス学」 Vol.2

2020/08/04 ゴルフサプリ編集部

“読むと得する”ゴルフの知っ得ネタを向江寛尚プロが届けてくれる「知っ得!ウェッジバウンス学」シリーズ。第2回目は「バウンス」をうまく利用してアプローチのレベルアップに役立てるコツをレクチャーする。

向江寛尚
むかえ・ひろたか/1972年11月11日生まれ、東京都出身。法政大ゴルフ部を経て99年プロ転向。多くのトーナメント出場の経験を積み、2005年からレッスン活動を開始。現在はオンワードゴルフアカデミー(東京都世田谷区玉川)を拠点に多くのアマチュアゴルファーをレッスン。クラブの造詣も深い。

プロたちはバウンスを芝の上で滑らせて打つ

バウンスを使って打つアプローチに小細工はいらない

「バウンス」というのはソールの出っ張りの部分をいいます。アイアンならどのクラブにもバウンスがありますが、サンドウェッジがもっともバウンスが大きくて、このバウンスを上手に利用することがアプローチの上達に直結します。

グリーン周りからのアプローチは様々な状況があって、ボールのライやピンポジション、グリーンの傾斜などを見て低くコロがしてピンに寄せるか、ある程度の高さを出してピンに寄せるかのイメージ作りをします。バウンスを使って打つアプローチは基本的にはスピンをかけたいときや、ボールを上げたいときなどに用います。

サンドウェッジのソールの出っ張りの部分をバウンスという。
バウンスを使って打つコツをマスターすればアプローチが劇的にうまくなる。

アドレスではボールをスタンスの中央に置き、両手を左モモのツケ根の前にセットして軽くハンドファーストに構えます。両腕とクラブはy字となるような姿勢です。ピンまでが20〜30ヤードと近ければスイングの振り幅は小さくなりますが、腕や手を使わず体の回転を使ってスイングしましょう。

腕とクラブを体の真正面にキープしたままで、胸を左右に回すイメージです。グリップは柔らかめに握っておき、クラブの重さを感じでスイングすればコッキングが自然に働くだけで、意図的に手首を折り曲げたり両腕を返したりするのはいけません。小細工は一切しないで、できるだけシンプルなスイングを実行することが大切です。

直立の姿勢になり、腕とクラブを体の真正面で固定したままで胸を左右に回してみてください。この素振りを続けながら上体を少しずつ前傾していきましょう。そうすればバウンスを使って打つアプローチの基本動作がよくわかります。スイングの感覚としては、「バウンスを芝の上で滑らせる」という表現がぴったりです。クラブヘッドをボールの手前から入れるイメージで鈍角に振り下ろし、フォロースルーに向かってクラブヘッドの底面を低く真っすぐ出していきます。

スタンスを狭めにし、ボールの位置はスタンスの中央。軽くハンドファーストに構える。
テークバックは腕とクラブを体の真正面にキープし、胸を右に回すだけのイメージ。
クラブヘッドを手前から入れて低く真っすぐ出す感覚でバウンスを芝の上で滑らせる。
フォロースルーも腕とクラブを体の真正面にキープ。手首をコネたり返したりしない。
直立姿勢になり、クラブを胸の前で構えよう。そのまま胸を左右に回転するのがバウンスを使って打つアプローチの基本動作だ。
直立姿勢で素振りを繰り返しながら、上体を少しずつ前傾しよう。アプローチの正しいスイングが理解できる。

インパクトゾーンが長いから、手前に入ってもダフリ感覚が少ない

バウンスを使って打つアプローチの一番の利点はインパクトゾーンが長いこと。「少しくらい手前をダフってもOK」と考えて、アバウト感覚でスイングできるから安心感が高いのです。ボールを右足の前にセットし、ハンドファーストを強めてボールを低く転がすアプローチを打つこともありますが、この場合はボールを上から鋭角にとらえなくてはなりません。インパクトが「点」となるため、もし手前をダフってしまうと芝がめくれて大ダフリが生じやすくなります。

その点、バウンスを滑らせるイメージで打てばインパクトが「線」となり、手前をダフっても芝がめくれません。ダフリ感覚がそれだけ少ないわけです。芝が薄い場所などボールのライがよくないときはハンドファーストを強めて上から鋭角にとらえる必要性が出てきますが、ボールがきれいな芝の上に乗っているときはバウンスを使って打つアプローチが絶対オススメです。

鈍角に振り下ろしてバウンスを滑らせれば、少しくらい手前をダフっても安心。
バウンスを使うアプローチはインパクトゾーンが長く、スピンがかかりやすい。
ボールを右足の前に置いて構え、低く打ち出すのもいいが、インパクトが「点」となる。それだけ大ダフリの危険性が高い。

バウンスを滑らせることでボールを拾い上げる感覚ですから、グリーン周りの色々な場面で活用できますし、グリーンが打ち上げになっていて高さを出したいケースでも役立ちます。

ここで注意したいのは、自分でボールを上げようとしないこと。ピンまでの距離が長くなるほどスイングの振り幅が大きくなりますが、クラブの重さを感じながら振ればコッキングが自然に働きます。腕や手でクラブを操作せず、腕とクラブを体の真正面にキープして胸を左右に回すだけのイメージでスイングすることが大事です。

砲台グリーンなど高さを出したい場面などもバウンスを使うアプローチがピッタリだ。
自分で上げようとしないで、クラブのロフト角にまかせれば勝手に上がると考えよう。
腕とクラブを体の真正面にキープして胸を左に回すだけのフォロースルー。腕や手は何もしないことが大切。

クラブヘッドをボールの下にくぐらせるだけでバウンスを使う練習になる

バウンスを使って打つアプローチをマスターするにはどんな練習をすればいいか。それも皆さんの知りたいところでしょう。いろいろな練習法がありますが、その前に私の知り合いのシングルゴルファーの方のお話をしたいと思います。

その方はキャリアが長くて、シングルハンディだけにスコアをうまくまとめる能力があります。ところがアプローチだけが壊滅的なのです。こういう表現は失礼ですが、「そのアプローチでシングルでいられるの?」と思ってしまうほどです。アプローチを打つときはほとんどミスですから、いつも手がシビれてしまうそうでグリーンからちょっと遠くでもパターでコロがそうとします。アプローチをなるべく打ちたくないから、アイアンでグリーンに乗せる技術が優れているというゴルファーなのです。

その方が「アプローチを教えて欲しい」というので、ラウンドレッスンをしたときにアイアンで故意にグリーンを外してもらい、アプローチを打って頂きました。アプローチが苦手な人に共通しているのはバウンスが使えていないことに尽きます。バウンスを芝の上で滑らせるイメージがなくて、フェース面でボールにきちっと当てにいこうとするのです。

結果としてフォロースルーでトゥが立つため、インパクトではトゥ側でボールを突くような打ち方となり、柔らかい球が打てないわけです。方向性が安定しにくく、距離感もなかなか合わないため、アプローチがピンにまったく寄らなかったのです。フェース面をスクエアに正しい打ち方ができていればフォロースルーでフェース面がやや斜め上を向くはずです。

バウンスが使えていない人はフォロースルーでトゥが立ってしまうケースが多い。

そこで、最初はボールを打たずに、アドレスの姿勢からクラブヘッドの底面を芝の上で滑らせてフォロースルーへとクラブヘッドを出すことからスタートしました。バウンスを滑らせてボールの下にクラブヘッドをくぐらせる。ただ、それだけです。ときにはボールリフティングにもチャレンジして頂きました。リフティングを始めるときはフェース面のヒール側から回さないとボールがうまくフェース面に乗ってくれません。

とにかくバウンスを滑らせる感覚に早く慣れることが大事です。ボールを打たなくてもこの練習をしただけで、その方はアプローチが劇的に上達し、ハンディアップに成功しました。アプローチが苦手や方や、バウンスを使って打つ感覚がよくわからないという人はぜひ試してください。

アドレスの姿勢からクラブヘッドの底面を滑らせるようにフォロースルーへと真っすぐ出してバウンスを滑らせる感覚に慣れる練習が効果的。
ボールリフティングを始めるときは最初にフェース面のヒール側から回さないとボールがフェース面に乗らない。リフティングがうまい人はアプローチもうまい。


取材・文/三代 崇
写真/圓岡紀夫
協力/高麗川カントリークラブ


向江寛尚の「知っ得!! ウェッジ・バウンス学」

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【シリーズ一覧】
●Vol.1:バウンスを使って打てばアプローチもバンカーもやさしい!
●Vol.2:バウンスを滑らせれば、アプローチはもっと簡単になる
●Vol.3:「バウンス」を使いこなせ バウンスの役割と活かし方
●Vol.4:目指すは90切り! 気持ちよくグリーンに乗せよう!!
●Vol.5:アイアンショットが劇的にうまくなる4ステップドリルを公開!!
●Vol.6:曲げないことよりも、狙った方向に打ち出せるようになろう!