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アイアンショット絶対上達!! 方向性アップは「出球の管理」が一番の決め手!

向江寛尚の 「知っ得!! アイアン・スキルアップ学」 Vol.6

2020/09/24 ゴルフサプリ編集部

“読むと得する”ゴルフの知っ得ネタを向江寛尚プロが届けてくれるシリーズ。今回はアイアンショットの方向性がなかなか安定しないと悩むゴルファーに、狙ったターゲットに正確に運べるようになるコツをレッスンする。アイアンショットが大好きになるはずだ。

向江寛尚
むかえ・ひろたか/1972年11月11日生まれ、東京都出身。法政大ゴルフ部を経て99年プロ転向。多くのトーナメント出場の経験を積み、2005年からレッスン活動を開始。現在はオンワードゴルフアカデミー(東京都世田谷区玉川)を拠点に多くのアマチュアゴルファーをレッスン。クラブの造詣も深い。

曲げないことよりも、狙った方向に打ち出せるようになろう!

方向性を狂わせる直接的な原因はボールの曲がりではない

アイアンはグリーンやピンを直接狙いたいときに使うクラブ。狙ったターゲットに正確に運ぶ意識をしっかり持って打つことが大事です。それなのにアイアンショットの方向がなかなか安定せず、自分のイメージどおりの球が打てない。その原因はどこにあるかを一緒に考えてみましょう。

ゴルフの経験をある程度積んできた人であれば、自分の持ち球はある程度決まっていることと思います。スライスもフックも出るとか、球が右にも左にも飛ぶという人は、体が早く開いてフェースも早く開いてしまったり、腕をネジって球がつかまりすぎたりするのが原因と考えられます。右と左のどちら一方しか出ない人もいれば、両方出てしまうという人もいるでしょう。

持ち球というより、自分の「クセ球」という表現が的確かもしれませんね。でも目標に対して突拍子もない方向に飛び出すのは、ボールの回転ではあまり起こりません。ボールの回転というのは、ある程度の曲がり幅で収まるのです。

狙った方向にボールを正確に打つには、ボールとターゲットを結ぶ飛球線に対してスクエアに構えるのがベースにあって、体の回転にしたがってクラブをインサイドに上げて、インサイドから振り下ろし、インパクト後もインサイドの方向に振り抜いていけば方向性はそんなに狂わないはずです。

飛球線に対して平行に構えることが方向性を安定させる一番の基本だ。
スムーズな軸回転でクラブをインサイドインの軌道に乗せて振ることが大切だ。
フォロースルーも前傾角度をキープし、フェースターンを抑えて打とう。

突拍子のない方向に飛び出んでしまうのは、「出球の管理」ができていないからです。出球の方向がズレるということは、方向のブレと回転の歪みを引き起こします。ボールが飛ぶ方向がズレると横の回転が加わりやすく、それだけハイリスクを背負ってしまうことになるのです。

その一例として、ボールを上げようとしてダウンスイングで右肩が下がるとフェースが開きます。ボールがスライス回転しやすくなりますが、それ以上にボールが最初から右に飛んで行きやすいところに問題点があるわけです。ダウンブローに打とうとしてダウンスイングで右肩が突っ込んだ場合も同様で、フック回転がかかりやすいけれども、ボールが最初から左に飛んでしまうのがいけないのです。

ダウンスイングで右肩が下がるとフェースが開き、ボールは右に飛びやすい。
上体が突っ込むとインパクトでフェースがかぶって、ボールが左に飛ぶ。
クラブを左に引っ張ろうとしても左ヒジが引けてボールが左に飛びやすい。

打席の前に立てたポールに当てる練習で「出球」の方向を安定させる

アイアンショットの方向性を安定させるにはどうしたらいいかというと、アドレスに対しての出球の方向を管理する練習が大事です。広い練習場でなくても30〜50ヤード先でもいいから、あの的の方向に打ち出そうとか、あのポールの方向に打つといった具合に方向を意識して出球をそろえる練習を多くやりましょう。

下の写真を見てください。打席の10ヤードくらい先にポールを立てて打つ練習をしている場面です。私が懇意にして頂いている練習場のご協力を得ていて、本当はポールを立てることはできないのですが、ポールがなくてもその場所にポールが立っているとイメージすることはできるでしょう。

そのポールに当てるつもりで練習すると、大振りしなくなるんです。スイング中に足がめくれることがなくなり、スイングの安定性にもつながります。

打席の前に立てたポールに向かってボールを打ち出す練習が出球の管理に大きく役立つ。ポールを立てるのが無理でもイメージはできるはずだ。
ドライバーの練習もボールの曲がりを抑えるのも大事だが、出球の方向を安定させることがより重要だ。

こうした練習をしていると、自分の球がポールのどっち側を通過することが多いか、自分のクセがつかめてきます。どうしてもポールの右に飛ぶ人はフェースが開いて当たっていますし、ポールよりも左に飛んでしまう人はフェースかかぶっているのが原因です。

また、クラブが上から入りやすい人はポールよりも左にズレます。クラブが下から入る人ならポールの右側にズレやすいといえます。ポールの左にズレる人はクラブを左に振り抜く感覚が強いので、タイプとしてはフェードヒッターです。ボールを置いた場所や飛球線よりも内側へとインサイドに打ち出そうとするから全部左に飛ぶわけです。フェードを自分のものにしたいならそれでいいのですが、ポールよりもかなり左に飛び出してしまう人は、アドレスはそのままで結構ですから頑張ってポールに当てるか、ポールよりも右側に打ち出す練習をしましょう。

ときにはクラブを両肩に当てがい、体の軸回転をチェックしながらスイング練習すると出球が安定してきます。コースに出たときも出球のズレを少なく抑えればボールの曲がり幅が自然に少なくなり、狙ったターゲットからそんなに大きくは外れないことを実感できるはずです。

出球の方向が狂いだしたときはクラブを両肩に当てて、正しい体の軸回転をチェックするといい。
「ボールを上げよう」と思っただけで、ダウンスイングで右肩が下がりやすいので注意。

私が在籍しているゴルフスタジオでもアマチュアゴルファーの方々に、マットの先の5〜10ヤード先にポールを置いて打つ練習をして頂いています。アイアンショットの振り幅を小さく抑えれば林からの脱出のイメージ練習となるわけです。林からの脱出がうまい人は、出球の管理がうまい人です。ボールをどこに通過していくかのイメージ作りは、アイアンショットの出球の管理能力の向上につながります。

ドライバーのスライスに悩んでいる人にしても、ボールが右に曲がったからフェアウェイ右サイドのOBに打ち込んでしまったと思いがちですが、ボールの回転がOBの直接的な原因ではなくて、最初からボールがターゲットよりも右に飛んでいってしまったのが一番の問題点なのです。

今どきのドライバーは「ボールが曲がりにくい」という特性がある反面、振り遅れるとフェースがすぐに開いてしまう性質もあります。ボールを右に曲げないように振ることよりも、目標よりも右側に打たないように出球の方向を意識してスイングするとか、ボールの20〜30ヤードくらい先にポールをイメージしてポールの少し左側に向かって打ち出すつもりでスイングすることを考えましょう。

曲がり幅を抑えることも大事だが、出球を管理する能力を身につけることがもっと重要だ。


取材・文/三代 崇
写真/圓岡紀夫
協力/高麗川カントリークラブ


向江寛尚の「知っ得!! アイアン・スキルアップ学」

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【シリーズ一覧】
●Vol.1:バウンスを使って打てばアプローチもバンカーもやさしい!
●Vol.2:バウンスを滑らせれば、アプローチはもっと簡単になる
●Vol.3:「バウンス」を使いこなせ バウンスの役割と活かし方
●Vol.4:目指すは90切り! 気持ちよくグリーンに乗せよう!!
●Vol.5:アイアンショットが劇的にうまくなる4ステップドリルを公開!!
●Vol.6:曲げないことよりも、狙った方向に打ち出せるようになろう!
●Vol.7:距離感を安定させるコツは、「同じスピード感」で振ること
●Vol.8:方向性がもっとよくなる「スクエア感覚」を身につけよう
●Vol.9:「飛ばない」「上がらない」の悩みは「飛び系アイアン」で解消