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スイングは全身の引っ張り合い! 拮抗する力が大きな飛距離を生む‼

ゴルフで美BODY|ゴルフピラティス/第18回 レジスタンス(引っ張り合い)

2020/12/25 ゴルフサプリ編集部

スムーズでバランスいい効率的なスイングを手に入れるには、そのベースとなる身体作りや身体のメンテナンスが重要。そこで、おすすめしたいのが、ゴルフピラティスだ。
ゴルファーのために考案されたゴルフピラティスは、美的スイングの要となる身体作りに効果があることはもちろん、美しい姿勢作りやシェイプアップ効果、ケガの予防にもつながる。

今回は、レジスタンス(引っ張り合い)について紹介する。

筋肉を伸ばしながら行うーーこれが、ピラティスとスイングの共通点!

これまでさまざまなエクササイズを紹介してきましたが、その説明でしばしば、「頭が引っ張られるように」「足の裏で地面を押すように」「頭と足で引っ張り合うように」といった表現を使ってきました。 
実際には、頭が引っ張られたら大変なことになりますし、足の裏で地面が押せたらその部分がへこんでしまいます。頭と足で引っ張り合うこともできません……というツッコミはさておき。

ピラティスでは、互いに張り合うように拮抗する動きを重視していて、これを「レジスタンス」と呼んでいます。ピラティスは、筋肉を縮めて使うのではなく、伸ばしながら使うからです。専門的には、「伸張性収縮」といいます。逆に、筋肉を縮めて使うのは、「短縮性収縮」です。

筋肉を伸ばして使うのが、「伸張性収縮」。たとえばダンベル運動の場合、曲げたヒジをゆっくり伸ばして(力は抜かない)、ダンベルを下ろす際の動きにあたる。
筋肉を縮めて使うのが、「短縮性収縮」。ダンベル運動の場合、ヒジを曲げて持ち上げる時の動きにあたる

ゴルフスイングでも、伸縮性収縮を意識します。ゴムのように、いったん伸ばした筋肉が戻る時のパワーを利用する、というと分かりやすいでしょう。バックスイング~トップは、 上半身と下半身で捻転差をつくって右股関節にパワーを溜めるイメージ。 まさに、全身にエネルギーが溜まり、クラブと自分の身体の左サイドが引き離され、引き伸ばされていくような感じです。その捻転=パワーの蓄積がいかに無理なく、スムーズに伝達できるかで、飛ばしのパワーは大きく変わります。

それに必要なのは、しなやかで強い筋肉と関節の可動域を確保することですが、「レジスタンス」の練習をして、その感覚をしっかりと養うことも重要です。

というわけで紹介するのが、今回のエクササイズです。

一見、「何の決めポーズ?」と思う人もいるかもしれません(?)。でも、やってみるとこれがなかなか難しい。
 
詳細は以下で説明しますが、椅子に座って背筋を真っすぐ伸ばし、頭が引っ張られているように姿勢を整えます。お腹とお尻の筋肉で骨盤をしっかり支えながら、片方の腕は天井を支えるよう真上に上げ、もう片方の腕は反対側にある壁を押して真横に伸ばします。肩まわりの動きが悪い人はこれだけでも重労働ですが、まだ完成していません。

両方の足裏は、地面をしっかりと均等に押します。いつでも椅子から立ち上がれるような感じです。ヒザとつま先の向きは、常に正面をキープ……というようにポイント満載なので、ちょっと油断するとお腹の力が抜けたり、足で地面を押せていなかったりすることに気づくでしょう。

でも、ちゃんとできると、まさに全身で引っ張り合っている感覚が理解できるはずです。これぞ、レジスタンスです。同時に、全身で引っ張り合いをするには、筋力も柔軟性も欠かせないことが体感できるでしょう。

このエクサイズでは、縦横2つのレジスタンスを感じます。
縦のレジスタンスは、天井を押す右手と地面を押す足、椅子を押す坐骨。横のレジスタンスは、壁を押す左手と右側に寄らないで踏ん張る足。

実際のスイングでは、テークバックでクラブを右に引いていく時に足や身体が右側に寄らないよう、 トップでクラブを自分から遠ざけるようなイメージにつながります。フォローも同様、クラブは遠心力を利用して左に振り出されますが、身体はついていかないよう引っ張り合いが起こることでヘッドが走り、パワーが生まれます。

あなたのスイングでは、こんな拮抗する力が働いていますか? また、それを実感していますか?

ぜひ、このエクササイズでレジスタンスの感覚・身体の使い方を心身に覚え込ませ、スイングに活かせるようにしていきましょう。

各部位の力が抜けないよう注意しながら手で押す・足で押す・頭で押す

■【チェア壁押し】
1.壁の近くに椅子を置いて浅く腰かける。両脚は腰幅程度に開き、足裏を床につける。つま先とヒザは正面に向ける。
2.頭が引っ張られているように、背中を真っすぐ伸ばす。アゴは軽く引く。
3.おへそを背骨に引き込んでお腹を凹ませる。骨盤底筋も締めて引き上げ、お腹とお尻の筋肉で骨盤を支える。
4.右腕は、落ちてくる天井を支えるように力を入れ、真上に上げる。
5.左腕は右真横に伸ばし、壁を強く押す。
6.足裏の拇指球・小指球・かかとの3点で地面を押し、左右均等に体重をかけてしっかり踏ん張る。
7.その状態のまま、鼻から息を吸ってスタンバイ。
8.口から息を吐きながら、手足で天や壁、地面をさらに押し返すように力を入れて3秒間キープしたら脱力。これを10回繰り返す。
4.反対側も同様に、10回繰り返す。

自分自身の力で全身を引き伸ばす感じ。手足で天や壁、地面を押せば押すほどハードになるが、効果も大。

★POINT
・上体の軸を意識しながら行うこと。おへそは常に正面を向く
・お腹の力が抜けて反り腰にならないよう注意
・真横に伸ばした腕に引っ張られて、ヒザが内側に入るのはダメ
・足裏で地面を押すことが、おろそかにならないように気をつけよう

“ゆるんだゴム”にならないように! 日常生活でも「レジスタンス」を意識すると、ゴルフに活きてくる

今回のエクササイズを繰り返すと、立っている時も歩いている時も、「身体の引っ張り合い」の感覚が活かせるようになります。もちろん、ゴルフの時もです! 

たとえばアドレスの際、左の肩と右の肩で引っ張り合う→胸を張ることができる。つむじと尾骨で引っ張り合う→背筋が伸びる。背中と指先で引っ張り合う→腕がすーっと伸びる。すると、アドレスで地面を踏みしめて踏ん張る感覚からして、変わります。

足裏が地面を押す力と、つむじが上へと引っ張られるような力、その拮抗する力が全身にみなぎり、スイングをよりスムーズでパワフルなものに導くのです。

ただし、やってみると分かりますが、それをキープするのはなかなか疲れます(笑)。気を抜くと、すぐにゆるんだゴムのように。だからこそ、しっかりと鍛えていきましょう。

【おさらい】ゴルフピラティスって何?

健康的にゴルフを楽しむための体幹トレーニングで、効率的なスイングをマスター!

ゴルフピラティスとは、ネバダ州立大学のドリー・ケラベス教授と、私(竹内)が共同で開発したプログラムです。ゴルフピラティスのすべてのエクササイズはゴルフにつながっており、スイングを効率的に行うための身体作りを目的としています。

ゴルフピラティスの主な効果

体幹が鍛えられる

ゴルフピラティスは正しい姿勢や呼吸法をキープすることで身体のコアの筋肉に働きかけ、柔軟性が高く、ケガのリスクの少ない身体を作ります。

スイングを再現性の高い、シンプルなものに変える=安定感が増す

ゴルフピラティスを行うことで身体が正しく使えるようになると、余計に複雑になっていたスイングがシンプルで効率のいい動きになります。動きがシンプルであれば再現性が高くなり、スイングは安定します。これが、“効率のよい美しいスイング”です。

ケガを予防する=長くゴルフを楽しむことができる

ゴルフピラティスで骨格を本来あるべきポジションに戻し、正しい身体の使い方を習得しましょう。ケガのリスクが減り、長くゴルフが楽しめる身体になります。

PROFILE
竹内弓美子(たけうち・ゆみこ)
京都府出身。キャナリープランニング合同会社代表。日本女子プロゴルフ協会会員(ティーチングプロ資格A級)。アメリカLPGA T&CP クラスAメンバー。日本ピラティス指導者協会(JAPICA)ゴルフピラティス専門コース開発者。ネバダ州立大学公認ピラティス指導者。日本予防医学会会員。これまでに、のべ6万人以上のゴルファー指導に携わる。著書に、『もっと飛ばせる!ゴルフの体幹トレーニング~ゴルフピラティスでブレない軸をつくる』(スキージャーナル社)がある。ゴルフピラティスを活用した著書や講習等によってゴルフビジネスの地位を確立させ、2019年LPGAアワード「ゴルフビジネス賞」を受賞。
★現在、WEBレッスンの準備中(現在、スタジオは閉鎖中)。キャナリープランニング(https://www.canaryplan.co.jp/)のホームページでお知らせします。

MODEL PROFILE
宮谷優理(みやたに・ゆり)
京都府出身。職業は歯科医師。速水歯科医院(滋賀県)副院長。「竹内先生にご指導いただき、ゴルフ歴は半年ほど。まさに面白くなってきたところです」

写真/作田祥一
撮影協力/ロイ・マーケティングデザイン