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奥嶋誠昭のスイング立て直しレッスン|稲見萌寧・高橋彩華・木下稜介

不調になったら、ミスが出始めたら、このレッスン・ドリルで復活!注目のツアープロコーチが教える!スイングの立て直し方

2021/12/05 ゴルフサプリ編集部

不調になったら、ミスが出始めたら、このレッスン・ドリルで復活!
優勝したあの女子プロ・男子プロに教えたとっておきのポイントをGOLFTODAY読者だけに公開!

GOLF TODAY本誌 No.594 30〜37ページより

奥嶋誠昭のスイング立て直しのポイント・1 <稲見萌寧のケースⅠ>

シャローが合わなければスティープがいい!

ココがポイント!

飛球線の後方から見たとき、グリップエンドがボールを指すくらいの角度となるのが理想的。スティープがいいといっても、鋭角に下ろしすぎないように注意。
フェースをコントロールしやすく、安定したフェードを打てるようになった稲見。

シャローがどんな人にも合うとは限らない

ボクが稲見萌寧選手のコーチを開始したのは2018年の暮れ頃からです。指導の内容は一言でいえばフェースのコントロール。稲見選手はもともとドローが打ちたくて、ダウンスイングでシャローイングをずっとやっていた。流行のダウンスイングでクラブを寝かせ気味に鈍角に下ろしてくる動きです。

それでなかなか結果が出なかったものですから、「シャローをやめたら」、「もう少し上から打つ感じを出したほうがいいんじゃないの」とアドバイスしたんです。

ボクから見れば稲見選手はそのほうが合っていると思いましたし、球筋もドローよりもフェードのほうがイメージ的にマッチします。シャローの反対をスティープ、つまり鋭角な軌道というわけですが、クラブを寝かせ気味に下ろしていたのをスティープ感覚で打つように修正したところ、フェードが安定して打てるようになりました。それが19年のセンチュリー21レディスの初優勝から、現在に至るまでの好成績につながっていると思います。

以前の稲見萌寧はドローを打ちたくて、シャローに振り下ろしていた。
低めのトップからクラブを鈍角に下ろしていたが、うまくいかなかった。
ボールを上からとらえる意識を持つことでショットの精度が大幅アップ。

奥嶋誠昭のスイング立て直しのポイント・2 <稲見萌寧のケースⅡ>

フェードを打つなら左手リードが決め手!

左手リードならクラブの入射角が揃い、正確なショットが打てる

アイアンでもダウンブローに打ちやすい

稲見萌寧選手はもともと左手の使い方がとても上手いタイプ。右手主導でドローを打とうとしていたのを、「元に戻して、左手主導で打つようにしたら」と助言したのが大きかったです。左手リードのほうがフェースをコントロールしやすいし、ダウンブローに打ちやすい。アイアンショットの精度アップにも直結するわけです。

フェードを打つための左手リードを完全マスターするために、左手打ちの練習をよくさせました。右手主導になっていた動きを封じて、左手主導のスイングに切り替える。この左手打ちの練習は今でも継続しています。何でもそうですけど、継続することが重要だと思います。

左手リードというと左ワキを締めて打つイメージが強いかもしれませんが、左ワキを締めすぎると左腕が止まって左手首をこねてしまいやすい。左腕をある程度自由にさせるために、左ワキは少しあけておくのがベスト。フェースをスクエアにキープしやすく、正確にヒットできることを実感できるでしょう。

ココがポイント!

左ワキは少しあけておけば左腕をスムーズに振り抜ける。
左ワキを無理に締めるとフェースが返りやすい。

左手打ちの練習でフェードをマスター

稲見は8番アイアンを左手だけで持ち、片手打ちの練習を継続しているという。左手リードの感覚をつねにチェックすることで、ドライバーもアイアンもトップレベルをキープ。
稲見をコーチする奥嶋(左)。的を射た指導が稲見の大飛躍につながっている。

奥嶋誠昭のスイング立て直しのポイント・3 <木下稜介のケース>

お腹をグッと回して深い捻転を作る!

木下稜介にバックスイングの捻転の感覚をコーチする奥嶋(左)。
バックスイングが浅いとダウンスイングのタメがきつくなり、リリースが強く働きやすい。

カラダを捻るには肩よりもお腹を意識するのがいい

木下稜介選手は2019年の秋頃からコーチしていますが、彼の場合はバックスイングが浅くなる傾向があったので、「バックスイングでちゃんとネジろうね」と最初にアドバイスしました。腕でクラブを振ろうとするから捻転が浅くなり、ダウンスイングのタメがきつくなって、インパクトで一気にリリースするため、ドローの曲がり幅が安定しなかったのです。

そこでお腹の回転を意識してもらいました。自分でお腹に手を当てて、お腹を意図的にグイッと回す。そうすれば左肩がしっかり入って捻転が深くなり、結果的にダウンスイングでカラダが勝手に戻ってくるようになりました。カラダが早く開いてしまうこともないから、クラブをインサイドから下ろしやすくなり、イメージ通りのドローが打てるようになったのです。

稲見萌寧選手はどちらかといえば手打ち感覚のスイングですが、木下選手はカラダ打ち感覚でドローボールが合っていると思います。このタイプは深い捻転が、絶対に欠かせないということです。

ココがポイント!

お腹を触わって意図的にお腹を回してみよう。バックスイングの捻転が深くなることを体感できる。
ダウンスイングもお腹から戻すイメージを持とう。体幹部が使えるから、カラダの軸回転がスムーズになる。
左肩を回すより、お腹を思い切って回転するのがコツ

奥嶋誠昭のスイング立て直しのポイント・4 <高橋彩華のケース>

淀みのないスイングでインパクトゾーンが安定!

アプローチのレベルアップがアイアンショットの精度の高さにつながっている
高橋のアプローチスイングは腕や手を使わず、胸を左右に回すだけ。フェースの向きが変わらないからインパクトが正確。

右手打ちの練習でフェース管理のコツをつかむ

高橋彩華がよくやったのは右手打ちのアプローチ練習。右手首の角度をキープして、フェースの向きをスクエアに保つ感覚をマスターできる。
高橋のアプローチショットをコーチする奥嶋(右)。

アプローチにはスイングの基本が詰まっている

高橋彩華選手の場合は、パットとアプローチの指導から入りました。パットは距離感が合わないし、アプローチはシャンクやチャックリが出てしまう。そんな状態でした。クラブが上手く上がらないから手でゆっくり上げたくなるけれど、結果としてダウンスイングが急に速くなっていたのです。

そこでパットは「ゆっくりストロークしないように」、「もっと速く振るように」と教えました。速すぎてもダメですが、要は淀みのない動きでパッパッとストロークしたほうが軌道やインパクトが安定しやすいということ。アプローチも同様でリズムよく等速にスイングしてもらったら、これが見事にはまって好成績を残せるようになりました。

このイメージをカラダに染み込ませるために、高橋選手が実践しているのが右手打ちのアプローチ練習。右手首の角度をキープし、フェースをスクエアに保つ感覚のマスターに効果的です。結果としてインパクトゾーンが整い、ショット全般のレベルが飛躍的に向上しました。

テークバックがゆっくりすぎると、ダウンスイングが急に早くなって様々なミスが生じやすい。

ココがポイント!

構えたときの右手首の角度が変わらないようにスイングして、フェースをスクエアにキープすることが大切。
テークバックからフォロースルーまでリズムよく等速に振れば、スイングの軌道が安定しやすい。

稲見萌寧
いなみ・もね(都筑電気)1999年7月29日生まれ、東京都出身。166㎝。2020~21年の統合シーズンは8勝をあげ(10/25現在)、賞金女王の最右翼。東京オリンピックでは堂々の銀メダル。

木下稜介
きのした・りょうすけ(ハートランド)1991年7月16日生まれ、奈良県出身。174㎝、75㎏。21年の日本ゴルフツアー選手権・森ビルカップ、ダンロップ・スリクソン福島オープンで2試合連続優勝。

高橋彩華
たかはし・さやか(東芝)1998年7月24日生まれ、新潟県出身。162㎝。アイアンの正確性はピカイチでパーオン率もトップクラス。初優勝の期待がかかるプレーヤー。

コーチ

奥嶋誠昭
おくしま・ともあき
1980年3月26日生まれ。神奈川県出身。横浜のノビテックゴルフスタジオ(ヒルトップ横浜クラブ内)でGEARSを駆使したアマチュアレッスンを行う一方で、稲見萌寧、木下稜介ら多くのツアープロのコーチもつとめている。

写真/Getty Images 取材協力/鎌ヶ谷CC


ツアープロコーチが教える!スイングの立て直し方

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