2022年夏、ゴルフの正常化って、どこに向かっていくの?
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第33回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
写真提供/篠原嗣典
平安の時代、何度も疫病が広まってたくさんの人が亡くなったそうです。
お上は、ひたすら祈祷をして、生活に苦しむ民には、安い金利でお金を貸し出すという対策をとったと歴史は伝えています。
21世紀になって20年。新型コロナウイルスのパンデミックに際し、政府は国民にお願い(祈祷)を繰り返しました。
とにかく祈って、ひたすら時間を稼いで、疫病が通り過ぎるのを待つという手法は、どうやらこの国の伝統のようです。
コロナ禍の夏という意味では、2020年から今年で3回目の夏です。
世界中がコロナ渦に巻き込まれて間もなく、感染対策がしやすいレジャーとして、ゴルフに注目が集まり、世界中でゴルフブームが起きました。日本においては、第3次ゴルフブームの到来、とされています。
急増したゴルファーが、新しくゴルフを始めた若者と、ゴルフを再開した中高年というふたつのボリュームだったことから、コンサバティブなゴルフコースほどブームの実感がなく、コスパが良いゴルフコースほど売り上げアップという形でブームを実感しました。
そんな中、「新しい生活習慣の中のゴルフということで『ゴルフも正常化』すべきです」
というようなセリフを今年の夏は、何度も耳にしました。
何とも嫌な感じがしたのです。
ゴルファーがいてこそのゴルフなのです。正常かどうかは、ゴルファーが判断します。
ゴルフコースが、身勝手な主張で、正常化を模索する先に、また再びゴルファー大減少という暗い未来が見えたように感じました。