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2022年夏、ゴルフの正常化って、どこに向かっていくの?

ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第33回

2022/08/30 ゴルフサプリ編集部 篠原嗣典

カート

ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。

写真提供/篠原嗣典

マスクじゃ隠しきれない失策の果ての正常化

平安の時代、何度も疫病が広まってたくさんの人が亡くなったそうです。
お上は、ひたすら祈祷をして、生活に苦しむ民には、安い金利でお金を貸し出すという対策をとったと歴史は伝えています。

21世紀になって20年。新型コロナウイルスのパンデミックに際し、政府は国民にお願い(祈祷)を繰り返しました。
とにかく祈って、ひたすら時間を稼いで、疫病が通り過ぎるのを待つという手法は、どうやらこの国の伝統のようです。

コロナ禍の夏という意味では、2020年から今年で3回目の夏です。

世界中がコロナ渦に巻き込まれて間もなく、感染対策がしやすいレジャーとして、ゴルフに注目が集まり、世界中でゴルフブームが起きました。日本においては、第3次ゴルフブームの到来、とされています。

急増したゴルファーが、新しくゴルフを始めた若者と、ゴルフを再開した中高年というふたつのボリュームだったことから、コンサバティブなゴルフコースほどブームの実感がなく、コスパが良いゴルフコースほど売り上げアップという形でブームを実感しました。

そんな中、「新しい生活習慣の中のゴルフということで『ゴルフも正常化』すべきです」
というようなセリフを今年の夏は、何度も耳にしました。

何とも嫌な感じがしたのです。
ゴルファーがいてこそのゴルフなのです。正常かどうかは、ゴルファーが判断します。
ゴルフコースが、身勝手な主張で、正常化を模索する先に、また再びゴルファー大減少という暗い未来が見えたように感じました。

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コロナ禍のゴルフスタイルで、僕が最も衝撃を受けたのは“お一人様ゴルフ”の広がりです。

ルールなどの総本山であるR&AとUSGA(全米ゴルフ協会)が、お一人様ゴルフを正規ラウンドとしてハンディキャップのスコア提出を認めるというお墨付きを絶妙なタイミングで出したこともスゴかったですが、それを受け入れたコースで、お一人様でプレーしているゴルファーがドッと増えたことも衝撃でした。
こんなに一人でゴルフがしたい、という需要があったのか?と驚きました。

2022年の夏。さり気なく、お一人様ゴルフの受け付けを終了したコースが急増しています。
受け付けているコースでも、組み合わせ前提で、本当に一人でのプレーは不可、という仕組みに変更になってきています。

一人でプレーを受け付けている場合でも、2名分から3名分に近いプレー代を請求されたという話も複数聞きました。
「まあ、それでも一人ゴルフが好きなので、助かっていますけど」
という愛好家もいるようですが、コロナ禍で生まれた衝撃的な工夫は消えつつあるようです。

これが、ゴルフコースサイドがいう正常化の流れなのだと思われます。

二人でプレーするゴルフにも、正常化という影が迫っています。
組み合わせで3人か、4人の組になることを了解してもらうか?ツーサム追加料金を支払うか?という二択を選んでください、というのです。

確かに、コロナ禍前には、そういうコースはたくさんありましたし、ツーサムは平日のみとか、ツーサム不可とかいうコースもあったのです。

コロナ禍前に戻すのが、正常なことなのでしょうか?

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あるコースの経営者が言いました。

「満員でキャンセル待ちになっている日のコースを見ていたら、10組はいるんですよね、ツーサムの組が。
もし、そのツーサムの組を4人にできたら、コースに来たいのにお断りした20人のゴルファーをプレーさせることができて、キャンセル待ちが解消できる、と考えてしまうのは、悪いことでしょうか?」

ゴルファーファーストの視点で、自分は考えているのだという主張です。
空席がもったいない、という感覚は理解できます。

しかし、ツーサムで来場している10組は、ツーサム不可になったコースには行きません。仮に、ツーサム不可にしたとしても、4人1組を10組、40人のゴルファーが来場してくれる保証はありません。
21世紀の20年間。多くのゴルフコースは、ない物ねだりの理想に苦しめられてきました。このケースでいえば、値段という数字に敏感なゴルファーは、コスパが悪くなったコースには行かないという結果が待っています。
キャンセル待ちは起きなくなりますが、同時に、長い目で見れば、入場者の総数は減るのです。

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良い流れが来たことをチャンスだと考えて、お一人様ゴルフ一般化以前に戻そうとしているだけのことなのです。

ちょっと考えればわかることで、コロナ禍前に、お一人様ゴルフは一般化していませんでしたが、ツーサムは当たり前のように広く認知されていたからです。

コロナ禍は、たくさんのことを教えてくれました。ゴルフは、大いなるポテンシャルを秘めていたことを知れたのは大収穫でした。

コロナと共存していく社会に生きていく僕らは、自分たちで次々に判断を繰り返して暮らしていくしかありません。ゴルフは、自らの決断の連続であるゲームですので、まさに時代にマッチしています。

拝金主義のギラギラが好きな人もいます。もちろん、嫌いな人もいます。
ゴルファーは、ゴルフコースを選べます。この国には減ったといっても2000を越えるゴルフコースがあります。
自分の好みに合ったコースを探すのもゴルフの面白さの一つです。

行くのが嫌になったコースには、サヨナラをして、ハッピーな気分になれるコースに乗り換えましょう。
何ら遠慮は要りません。ゴルファーがいてこそのゴルフコースです。誰もいないゴルフコースは原野に戻るだけなのです。

アフターコロナの世界は、ゼロコロナではなく、withコロナになりそうです。
新しい世界のゴルフのスタンダードを選んでいくのは、僕らゴルファーなのです。



篠原嗣典

篠原嗣典

ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


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