「7番アイアンは150ヤード」などと決めつけてそれを守ろうとすることを“○番アイアンの呪縛”と呼ぶけれど…
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第88回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
写真提供/篠原嗣典
いちばん最初に練習場で打ったクラブは、7番アイアンでした。1978(昭和53)年頃、この国のゴルフのトピックスは、ヤード法を廃してメートル法の採用が決まったことでした。
練習場の距離の目安の看板は、“137”とか“91”でした。どうして中途半端な数字なの?と疑問に思ったものです。単純に150ヤードの看板と100ヤードの看板をそのままメートルにして使っていた結果です。そこにグリーンを模した目標がある練習場の構造上、やむを得なかったのだと推測します。
中学1年生の僕はいきなり7番アイアンで137メートルを打てるようになりました。それから40数年、7番アイアンは得意クラブのひとつです。20代後半から30代前半まで、僕は7番アイアンで環境が整えば175ヤードを打っていました。
「7番アイアンで150ヤードを打てなくなったら、ゴルフをやめるときだよ」体力的なことだけではなく、コースマネージメント的な意味も含めて、こんなことを自信満々に言っていました。若気の至りです。思い返すと恥ずかしいですが、調子に乗っていたのです。