今平周吾の今季2勝目は、スイングのマイナーチェンジが奏功した結果か!?
より体を使うスイングに合わせて、シャフトフレックスをSからXにスイッチ
悪天候により54ホール短縮競技となった「ダンロップ フェニックス」で、今季2勝目を挙げた今平周吾(フリー)。この優勝の背景には、マイナーチェンジされたスイングがあるのではないだろうか。
“勝つべくして勝った” 今季2勝目、今平周吾のルーティンに変化あり
台風の影響で最終ラウンドが中止となった「ダンロップ フェニックス」は、3日間安定したショットで上位をキープし、3日目終了時点で単独首位に立った今平周吾が今季2勝目となる勝利をモノにした。フルラウンド戦わずしての優勝には、本人も複雑な表情を見せる。
たしかに、最終ラウンドが実施されていれば、結果はどうなっていたかはわからない。だが、冷たい雨が降り続いた2日目に大崩れすることもなく、3日目には7バーディ(2ボギー)を奪う“安定した強さ”を見せつけた。そして、3日目終了時点で首位に立っていたのは、紛れもなく今平周吾ただ一人。勝つべくして勝った、と言ってもいいのではないだろうか。
さて、そんな安定した強さを誇る今平周吾なのだが、ちょっとした変化が見受けられるのである。その変化を発見したのは、2週間前の「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」のティグラウンド。ドライバーを打つ際のルーティンが、変わったのだ。
ルーティンに加えられた“切り返しで左ヒザを開いてガニ股になる動き”の意味とは?
シャフトフレックスをSからXに変えた今平。シャフトは、グラファイトデザインのTOUR AD TP-6を使用。
それまでの今平周吾のドライバーショットのルーティンは、①ボールをティアップしたら、ボールの飛球線後方を“ひと踏み”する。②ボールの後方に下がり、ゆったりと“流れるように”2回、素振りをする。③ボール後方からターゲットを確認し、アドレスに入る。というものだった。
だが、「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」あたりから、②の素振りに変化が生じていた。その変化というのが、切り返しの際に一瞬だけ止まり、左ヒザを開く小さな動きを入れるというもの。わかりやすく言えば、切り返しで一度“ガニ股”になるのである。ゆったりとしたリズム、素振りの回数は2回という部分は変わりない。そして、この変化は「ダンロップ フェニックス」でも確認することができた。このルーティンに取り入れられた“ガニ股”には、どんな意図があるのか。それは、試合後の会見で明らかになった。
「ダンロップ フェニックス」の試合後の会見で今平は、ここ何試合かショットの調子が良くなかったということを明かした。そして、そのためにスイングを少々変えて、それに合わせてシャフトのフレックスをSからXに変えたと言う。ルーティンに取り入れた“ガニ股”は、スイングを変えたことによるものだったのだ。
さらに、そのガニ股にはどんな意味があるのか。今平が言うには、「ダウンスイングのきっかけを下半身で作りたいんです」というものだった。そして、「スイングを少し変えたことで、飛距離も方向性もよくなった」とも話してくれた。
この今平の答えから推察するに、これまでよりも積極的に下半身を使うようになったということなのだろう。そして、より下半身を使うようになったことで、スイングのエネルギーが増大、シャフトのフレックスをXにしなければ、タイミングが合わなくなったのだろう。逆を言えば、フレックスXを振り切れるほど、体を使って振るようになったということだ。
「ダンロップ フェニックス」では、抑えて打つようなショットが目立っていた今平だが、そのスイングには力強さがみなぎっていた。“ノックダウンショット”を打ったときのような、低い位置でビタッと止まるフィニッシュも、多く見受けられた。これは、以前よりも体をしっかりと使っているからにほかならないだろう。そして、その締まりのあるフィニッシュは、今年の全英オープンで2位となったトミー・フリートウッドを思い起こさせるものだった。
宮崎での3日間、常に安定したショットを放っていた今平周吾。彼の“安定した強さ”は、さらなる進化を遂げようとしているのかもしれない。
取材・文/角田柊二 撮影/高木昭彦