左サイドで大きなスイングを作っている

女子プロで300ヤード飛ばせる選手が現れるなんて昔は考えられなかったですが、笹生選手の場合は昨年のデビュー当時から衝撃的なスイングでしたし、このスイングなら300ヤード飛んでもおかしくないと思いました。

飛距離が出せる最大の要因は、スイングアークの大きさです。バックスイングでは、男子ツアープロにも負けない大きな軌道からトップを作って、トップではしっかり左腕を伸ばしています。そこから強靭な下半身を生かしてクラブを下ろしているので男子ツアープロ級のヘッドスピードを実現しているのです。

またアプローチでも左腕を伸ばしているので、手打ちになりにくい。さらに体の左サイドを上手く使っていることで、クラブヘッドがダウンブローに下りる軌道になっています。

笹生選手のスイングを参考にするならドライバーでもアプローチでも、左サイドの使い方がカギです。次ページからは、具体的な使い方を詳しく紹介しましょう!

憧れのマキロイとも対面

300ヤード飛ばす秘密はコレ|左手首を左に、押しているから、スイングが大きい

「左腕を伸ばそう!」だと手打ちになりやすい

アマチュアの皆さんも「左腕を伸ばそう」と意識している人は多いと思いますが、実は「伸ばそう」では笹生選手のような大きなスイングアークにはなりません。逆に左腕に力が入りすぎて手打ちになりやすい。大事なのは左手首を押す感覚です。テークバックでは左手首をなるべく体の遠くに離すように押していく。すると左腕が伸びるのはもちろん、右腕を上手くたたみながら、トップでは右肩が首の後ろまで回っていきます。トップからダウンスイングに入ったときも、左腕を伸ばした姿勢をキープしているので、手打ちになるアクションが一切ありません。ダウンスイングでは右足を強く蹴ることで、左腕を伸ばした大きなフォローを出しています。このスイング軌道の大きさが300ヤード飛ばせる秘密です。

両腕の中心にヘッドがある理想的なトップ

LESSON

左手首を押せば、腰も肩も回る

最初はクラブを持たずに、体感してもらいたいのですが、左腕を伸ばしたまま、左手首を押していくと、自然に腰や肩も回るので、トップが深くなる。ただし、左手首を押すときも、右腰が右側に動くとスエーになってしまうのでNG!右腰はお尻方向に引くと下半身が安定する。

アドレスから左足体重にして左肩を背中側に回すことで左軸で回転できる

アマチュアは左足体重 だと左にスエーしやすい

アプローチは左足体重で打つのが基本です。その理由は、左足体重になればダウンブロー軌道でヘッドが下りてきて、インパクトもハンドファーストになるからです。しかし、アマチュアの皆さんは左足体重を意識している人ほど、スイング中に体全体が左側に流れる人が多い。その理由は、左肩を目標方向に動かすからです。下の連続写真で正面側から笹生選手のアプローチを見ると、左肩はダウンスイングからフォローにかけてほとんど動いていないように見えます。でも、実はこれは動いていないのではなく左肩を背中側にクルッと回しているのです。笹生選手もアドレスが左6:右4くらいだとしたら、インパクトではさらに左に体重がかかって左9:右1くらいになっています。でも左肩を横移動ではなく、回転させているので、左にスエーすることなく左軸で回転できています。

LESSON

フェース面を斜め上に向けると、左肩がスムーズに回る

インパクトからフォローにかけてはフェース面が斜め上を向くように振っていくと、左肩を背中側に回しやすくなる。右手のヒラ=フェース面の意識を持つとその感覚を出しやすい。逆に、フェース面を目標方向に出そうとすると、左にスエーしやすくなる。

笹生優花さそう・ゆうか
2001年6月20日生まれ。19年のプロテストに合格し、20年のデビューイヤーに日本ツアーで2試合連続優勝。21年は「全米女子オープン」で最年少優勝を飾った。

解説

石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、赤坂、神保町に展開する。

写真/USGA OFFICIAL PHOTO(U.S.OPEN、U.S.WOMEN’S OPEN)