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西村優菜が行っている「自分のいいところをノートに書く」効果

住友生命Vitalityレディスで5打差を大逆転できた強さの理由

2021/09/21 ゴルフサプリ編集部

住友生命Vitalityレディスで優勝した西村優菜

ボギーフリーの9バーディ。猛チャージで女子ツアー、住友生命Vitality東海クラシックで逆転優勝を飾った西村優菜。その大きな武器は、高校3年のころから続けているメンタルトレーニングにある。

7番ティで大逆転に向けて「ギヤを入れた」

台風14号の影響で土曜日のプレーが中止になり、36ホールの短期決戦となった状況で、西村は首位の大里桃子に5打ビハインドの15位タイで最終日を迎えている。攻めていくしか逆転優勝のチャンスはない。

最終組より5組、50分前にスタートすると、3番、4番で幸先のいい連続バーディ。7番ティに立った時のことを、こんな風に話している。「スコアボードがあって(優勝の可能性があるのかと)ギヤを入れた」。頭の中で自らエンジンをかけるような感覚だという。

これが効いて、9番から12番まで4連続バーディ。14番、18番でもバーディ重ねた。9アンダー63。通算10アンダーで先にホーるアウトして、後続組にプレッシャーをかけた。

最終組の植竹希望が10アンダーで並んで18番を迎えたが、優勝争いの緊張感の中でティーショットを池に入れてしまう。ダブルボギーで脱落し、西村の優勝が決まった。

西村が受けたメンタルトレーニングの内容

西村がメンタルトレーニングを始めたのは、プロテストを目前にした重圧に押しつぶされそうになったから。“ミレニアム世代”とも“プラチナ世代”とも呼ばれる2000年度生まれの仲間たちとナショナルチームで切磋琢磨し、実力は十分につけていた。豪州から来たガレス・ジョーンズコーチからメンタル面の指導も受けていた。しかし、プロテストに合格して当たり前、という周囲のムードが精神的にきつかった時期だ。

中学2年生の時から腕を磨いたゴルフアカデミー中島のメンタルトレーナーからサポートを受け、これを乗り越えた。方法は、自分のいいところをノートに書く、というもの。最初は小さなことでも必死にいいとことを絞り出し、書いているうちに自信を取り戻すと同時に、セルフコントロールができるようになった。

プロテストに合格したのも、そのすぐ後に襲いかかったコロナ禍でもブレることなく自分を貫けたのも、こんな風にメンタルを安定させていたからだろう。

コロナ禍で試合が次々と中止になった間にもコツコツとマイペースで練習を続け、試合が再開されるとこれを結果につなげた。9月の日本女子プロゴルフ選手権最終日を首位で迎えたときには、永峰咲希に逆転負けしたが、これを糧にした。2020年10月の樋口久子・三菱電機レディスで初優勝してリベンジ。2勝目は2021年最初の公式戦、ワールドレディスサロンパスカップのビッグタイトルだ。

そして3勝目が今回の大逆転劇。普段の練習から取り入れている気持ちのギアの入れ方が、実戦で最高の結果を出した。

西村がノートに書く「自分のいいところ」は、日に日に数が増え、内容も大きくなっているに違いない。これに伴い、ギアを入れるタイミングも、さらに絶妙になっていくはずだ。大事な場面ほど、効果的に・・・。

文/小川淳子
写真/Getty Images

住友生命Vitalityレディスで優勝した西村優菜