飛距離だけがゴルフではない!?連覇した西村優菜の強さの秘密
ドライビングディスタンスはツアーで68位でも、バーディ数は471個で2位!
賞金ランキング3位。ドライビングディスタンス68位。住友生命Vitality東海クラシック、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンと2週連続優勝を飾った西村優菜のスタッツ(部門別ランキング)で、目立つ数字だ。
安定したスタッツで、トップ10入りは今季18回(ツアー2位)
一見、飛距離は弱点に見える。だが、西村自身がそのことをよく理解し、それ以外の部分を伸ばすことに力を注いできたことがよくわかる数字と言い換えることもできる。
昨年の全米女子オープンに出場した時に、チョン・インジとプレーしたことを振り返り、西村はこう口にしている。「30ヤード、40ヤード置いて行かれるのは普通だったので、飛距離は欲しいと思っています。でも(身長150センチと)小さい分、限界がある。それをほかでカバーできれば最高ですよね」。日本ツアーのコースセッティングで距離がどんどん長くなる中で、確かに飛距離アップをすることは大きなアドバンテージ。だが、無理をすればスイングは崩れ、場合によっては故障につながる。飛ばすだけがゴルフではない。飛距離以外の強みを生かすことを考え、それを徹底的に磨く。ほかの数字を見れば、西村がそこに全力を尽くしたことがよくわかる。
フェアウェイキープ率75.7576(ツアー7位)、平均パット数(パーオンホール)1,7654(同2位)、平均パット数(1ラウンド)28.9962(同8位)、パーセーブ率88.0375(同6位)。バーディ数471(同2位)・・・。主なものを挙げただけだが、トップ10入りが18回(ツアー2位)なのもうなずける数字がずらりと並ぶ。ロングシーズンとはいえ、すでに4勝を重ねた。うち1勝は、公式戦のワールドレディスサロンパスカップ。1億5342万9556円を獲得し、古江彩佳を抜いてランキングは3位。気が付けば、稲見萌寧、小祝さくら、古江とともに賞金女王も狙える位置にいる。
米国でプレーしたいという気持ちは、ぼんやりしたものからはっきりしたものに変わっている。それを現実にするだけの実績を、コツコツと積み上げている。
オフシーズンは、すべての試合に出られるだけの体力面強化と無理のない飛距離アップ、そしてショートゲームのバリエーションを増やすことの3つを目標に過ごした。ルーキーイヤーが昨年で、そのままロングシーズンになったため、過去のツアーの記録はない。それでも、確実に成果が表れていることは結果が証明している。
「飛距離だけがゴルフではない」。身をもってそれを示しているのが今の西村優菜だ。ミレニアム世代とか、プラチナ世代などと呼ばれる2000年度生まれだが、すでにその枕詞はいらないほど、ファンにはその存在が知られるようになった。
シーズンは残り9試合。まずは3試合連続優勝が懸かる今週の大一番、日本女子オープン(30~10月3日、栃木・烏山城CC)だ。ミヤギテレビ杯では「初めてみなさん(観客)の前で勝つことができてうれしいです」とスピーチした西村が、上限5000人の観客の前で、ナショナルオープンタイトルに挑む。
文/小川淳子
写真/Getty Images