スタンレーPO進出のアマ佐藤心結が、いよいよプロテストに挑む!
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.102
スタンレーレディスで大活躍した高校3年の佐藤心結(みゆ)が今週、プロテストに挑む。プレーオフで敗れて史上8人目のアマチュア優勝は成らなかったが、データ的には今後の活躍が大いに期待できるものだった。
スタンレーPO進出のアマ佐藤心結が、いよいよプロテストに挑む!
佐藤はスタンレーレディス最終日を首位タイで迎えていた。データ的にはここが大きなポイントだ。
女子ツアーにおけるアマチュア優勝者は現在7人。第1号の清元登子(1973年トヨトミレディス)は3打差首位からの逃げ切りだったが、第2号の宮里藍(2003年ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン)以降の6人はすべて逆転勝ち。逃げ切りはないのである。
では、宮里の初優勝以降、アマチュア選手が首位(タイを含む)で最終日を迎えた例はどのくらいあるのだろうかというと、佐藤以前に11例あった。2005年中京テレビ・ブリヂストンレディスの諸見里しのぶに始まり、藤本麻子、森田遥、堀琴音、柏原明日架、畑岡奈紗、勝みなみ、小祝さくら、長野未祈、上野菜々子、古江彩佳いう面々だ。彼女らはすべて優勝には届かず、今回の佐藤もそのジンクスを破れなかった。
この顔ぶれを見て、気づくことはないだろうか。そう、ほとんどの選手がその後、優勝しているのである。勝っていないのは長野と上野だが、長野は米国留学中で、上野は今年6月にプロテスト合格したばかり。実績をあげるのはこれからだ。
勝は例外的に、先にアマチュア優勝がある形。畑岡と古江もアマチュア優勝を成し遂げているが、その前に一度逆転負けを味わっている。
諸見里はすでに第一線から退いているが、最年少での公式競技(メジャー)3冠達成などプロ入り後に華々しい戦績を残した。畑岡は米女子ツアーで活躍中であるし、小祝、古江、勝は今季の賞金ランキング上位に名を連ねているなど、アマチュア時代に首位で最終日を迎えた経験がある選手の活躍ぶりは枚挙にいとまがないほど。佐藤には心強いデータだ。
佐藤の魅力の一つはスタンレーレディスでドライビングディスタンス1位(3日間平均260ヤード)を記録した飛距離。大きなゴルフがさらに将来性の高さを感じさせてくれる。
ただ、いくら実力があっても何が起こるかわからないのがプロテスト。まずは無事に合格を果たしてほしい。
女子ツアー競技最終日を首位(タイを含む)で迎えたアマチュア選手(2003年以降)
大会 | 選手 | 最終成績 |
---|---|---|
2005年中京テレビ・ブリヂストンレディス | 諸見里しのぶ | 3位 |
2006年大王製紙エリエールレディス | 藤本麻子 | 10位 |
2014年サイバーエージェントレディス | 森田遥 | 2位 |
2014年サイバーエージェントレディス | 堀琴音 | 4位 |
2014年ほけんの窓口レディース | 柏原明日架 | 6位 |
2015年樋口久子Pontaレディス | 畑岡奈紗 | 7位 |
2016年ニチレイレディス | 勝みなみ | 2位 |
2016年ニッポンハムレディス | 小祝さくら | 8位 |
2016年日本女子オープン | 長野未祈 | 10位 |
2018年大王製紙エリエールレディス | 上野菜々子 | 7位 |
2019年リゾートトラストレディス | 古江彩佳 | 3位 |
2021年スタンレーレディス | 佐藤心結 | 2位 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。