スピーダーNXを野村タケオが試打インプレッション！／藤倉コンポジット「SPEEDER NX」
野村タケオのゴルフ実験室
みなさんこんにちは。ゴルフバカイラストレーターの野村タケオです。最近、女子ツアーで使用者が急増しているシャフトってご存知ですか？住友生命Vitalityレディス 東海クラシックに優勝した西村優菜プロが使っていたし、その試合で渋野日向子プロも使っていました。他にもまだリリースされて間もないそのシャフトにチェンジしている女子プロがとても多いそうです。そのシャフトこそフジクラコンポジットのSPEEDER NXです。多くの女子プロを引きつけるSPEEDER NXってどんなシャフトでしょうか？いくつかのスペックをコースで試してきましたのでレポートします！
撮影／野村タケオ
SPEEDER NXってどんなシャフト？
SPEEDERといえば、最近はEVOLUTIONというシリーズが7代目まで販売されていますが、「NX」はEVOLUTIONに代わる新シリーズとなります。
このNXは、スイング中のシャフト挙動をフジクラ独自の3次元モーションキャプチャシステム「ENSO」で解析することにより蓄積された莫大なデータを元に開発されました。従来のシャフトの特性は曲げ剛性をグラフ化したEI分布で示されていましたが、このNXは、そこに緻密にコントロールされたトルク分布を組み合わせ、スイング中の挙動を最適化しています。
具体的には、従来のシャフトでのトルクというのはシャフト全体のねじれ剛性の数値でしたが、このNXはシャフトの中で部分的にねじれ剛性を変化させているんです。これがフジクラ独自の「VTC」というテクノロジーです。NXはEI分布では中調子のシャフトなのですが、手元と先端部分のトルクを高めることで、中調子の振りやすさと同時に高初速・高弾道の両立を実現しているわけです。
まずは50Xを打ってみた！
とりあえず、僕が今回のラインナップの中で一番しっくり来そうだな～と思った50Xを使ってみました。シャフト重量は56gでトルク4.6。ヘッドはキャロウェイのEPIC MAX LSの10.5度で、ヒールエンド45.25インチで組みました。
まず1発目からしっかり捕まった軽いドローボールが打てて驚きました。中高弾道でスピン少なめ、飛距離も出てました。最初に僕が感じたのは先端部分のしっかり感。切り返しからインパクトまで、フェースの向きが分かりやすく、ヘッドが暴れるようなこともなく、ちゃんとコントロールできます。芯を外した当たりでもヘッドが当たり負けすることもないし、曲がりや飛距離の落ち込みも少ない。これはアマチュアゴルファーにはとてもありがたいです。スピン量も少なめですね。
そして手元側もけっこうなしっかり感を感じました。硬すぎることはないのですが、手元側がしなるような感じは少ない。僕は手元が硬いシャフトは切り返しでタイミングがイマイチ合わず、ミスヒットになりやすいのですが、このNXは不思議とそんな感じがないんですよね。
切り返しから真ん中あたりがクイッとしなる感じがして、インパクトに向けてはヘッドがしっかりと戻ってきてくれます。そのヘッドの戻りが少しスピード感があって、ボールを捕まえて飛ばしてくれる感じがして、このあたりはSPEEDERなんだな～と思いました。ただし走りすぎることがなく、左に巻くような球は僕は出ませんでした。
同じ重量で少し柔らかい50Sを打ちました。
次に50Sを打ってみました。50Xとトルクは同じで重量がほんの少し軽い54.5gとなっています。このシャフトに付いていたヘッドは僕のEPIC MAX LSではなく、フジクラさんが用意してくれたPINGのG425 MAXの9度です。
50Xとの違いを感じたのは手元側の硬さ。50Sのほうが少しだけ手元が柔らかく感じて、切り返しからしなやかにしなるように感じました。50Sも先端部分はしっかりしていますが、しなりを感じやすい。ボールも上がりやすいし、楽に振れるような気がしました。捕まりは50Xと同じような感じでしたが、高弾道で低スピンの、いかにも飛びそうな球が打てました。もしかしたら、僕もこの50Sのほうが安定して飛ばせるのかもと思ったりして。一般的なヘッドスピード41～42m/sくらいのゴルファーは50Sがいいかもしれません。ちなみに西村優菜プロは50SRを使っているようです。
少し重めの60Sも打ってみました。
60Sは重量が63.5gになり少し重くなるのですが、トルクも3.7になってハードになっていますね。これもPINGのG425 MAXに挿して打ちましたが、やはり少しハードに感じました。しなりは50Sで感じた時のようにしなやか目ですが、しなり量は少ない。少し50g台よりはまったり感を感じます。僕でも使えなくはないですが、しっかりと振り切れないとシャフトの特性を生かせてやれないような気がします。ヘッドスピード的には45m/sくらいはあったほうがいいんじゃないでしょうかね。叩いていって左に行かせたくない人はこのスペックでもいいと思います。
どんなゴルファーにおすすめ？
僕が打ってみた感じでは、かなりタイミングが取りやすいシャフトなので、いろんなゴルファーが使えると思います。捕まりがいいので、チーピン持ちの人は一度しっかりと試打したほうがいいかもしれませんが、ドローヒッターでも十分使えるんじゃないでしょうか。ボールを捕まえて飛ばしたいというゴルファーにオススメですが、安定感やミスヒットへの強さもあるので、平均飛距離もアップすると思います。スペックを選べばぶっ叩きたいハードヒッターも使えるんじゃないかな。
ヘッドとの相性ですが、あまりヘッドタイプは選ばないと思いますが、先端のトルクが締めてあるので、大慣性モーメントのヘッドとの相性も抜群だと思います。重量のある海外メーカーのヘッドにもバッチリです。
いいとこどりのシャフトなんじゃない？
フジクラコンポジットといえばVENTUSシリーズが男女ツアーで人気があり、女子ツアーでもVENTUS BLUEを使用する選手が何人かいましたが、SPEEDER NXにチェンジした選手もすでにいるようです。渋野日向子プロもその一人ですね。僕の感覚として、NXはなんとなくVENTUS BLUEの安定感とか叩ける感じに、Speeder EVOLUTIONの走り感や捕まえてくれる感じを足したようなシャフトに仕上がっているように感じます。両方のいいとこ取りみたいな。
今までのシャフトとは少し違うアプローチで作られたSPEEDER NX、ぜひ一度みなさんもお試しください。
＜取材・文＞ゴルフバカイラストレーター 野村タケオ
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