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イーグルを奪い世界のファンに“シブコスマイル”を披露

渋野日向子が米ツアー参戦2戦目でトップ10入り

2022/03/14 ゴルフサプリ編集部 小川淳子

渋野日向子

写真は2021年日本女子オープン時のもの(写真/相田克己)

タイで開催された米女子ツアー「ホンダLPGA」。渋野日向子が通算20アンダーまでスコアを伸ばし8位タイフィニッシュ。今年から本格参戦した米ツアーの本人にとっては2戦目で、早くも堂々たるプレーを披露した。

渋野日向子がもつメジャー優勝者のアドバンテージ

米ツアーでプレーする上で、メジャー優勝者であるということは様々な場面で大きな意味を持っている。2019年全英女子オープンチャンピオンの渋野日向子が、思っている以上に…。

Qシリーズを経てルーキーとして米ツアーに挑んでいる渋野は、アジアシリーズ2試合に出場。2戦目のホンダLPGAタイランドでは、4日間、60台でプレーして8位タイで試合を終えた。

最終日の15番では、第2打をカップインさせるイーグルを奪って“シブコスマイル”も完全復活。「ショットももっといい精度で打てるようになりたいです」と、前向きな姿勢を見せている。

日本では経験したことのない様々な芝への対応や、技術的なことは、ゴルファーとして当然、磨いていくべき部分ではある。一方で、自分との戦いであるゴルフだからこそ、必要になってくるのが、ツアーへの“慣れ”だ。

個人競技のゴルフでは、母国日本のツアーであっても、ツアー独特のルール(ゴルフのルールではなく)や、人間関係、毎週のルーティンなど、最初はなかなか慣れずに戸惑うことがある。昨今では、アマチュア時代からたくさんのツアー競技に出場する選手もいるが、それでも、毎週のことになると慣れるには時間がかかる。

共通語が日本語ではない米ツアーではなおさらだ。プレー中はゴルフのことだけ考えていればいいのだが、移動距離が長く4日間大会も多いため、試合から試合への点線が続く。ツアーが生活の場、そのものになるのだ。ほぼ毎週、自宅に戻れる日本とはその辺りが決定的に違う。だからこそ、ツアーで心地よくいられることが、結果につながりやすい。

ホンダLPGAタイランド終了後、中継局WOWOWのインタビューで、ツアーに慣れたか、と聞かれた渋野は、こう答えている。「どうでしょうかね。一緒に回った選手に声をかけてもらえたり、キャディさんに名前を憶えてもらえたり、話しかけてもらえたりするのはうれしいです」。

これを聞く限り、渋野本人はあまり感じていないようだが、日本以上に米ツアーではメジャーチャンピオンに対するリスペクトは大きい。通常の試合でも、ディフェンディング・チャンピオンはもちろんのこと、歴代優勝者には大きな敬意が払われる。

ましてや渋野は、彗星のようにメジャータイトルを手にした“スマイリング・シンデレラ。その直後には海外への興味がなくて米ツアー出場権を放棄したとはいえ、3年前の活躍は、選手はもとよりツアー関係者の記憶に残っている。

そう考えると、渋野自身が溶け込む気持ちになれば、他のルーキー以上にツアーになじむのは早いに違いない。後は、同行している日本のスタッフよりも、ツアー仲間とコミュニケーションをとっていくように意識すればいい。

小林浩美も単身で参戦して米国ツアーに仲間ができたことで勝利をつかんだ

日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)現会長の小林浩美は、1990年に米ツアーに挑んだ時、通訳兼マネージャーを帯同した。おかげで、ツアー仲間と話す機会が少なく、友達もなかなかできなかった。2年目からは単身で参戦するようにしたところ、あっという間にルームシェアする友人が複数できた。こうしてツアーを”ホーム“にして1993年の初優勝につなげている。

約30年の歳月が流れ、世界はグンと“狭く”なった。インターネットもなく、高額な国際電話をかけていた時代から、どこにいてもSNSで瞬時につながることができる時代になった。だが、その分、異なる環境に慣れるには、時間がかかることもあるのかもしれない。
そんな中で、渋野は”メジャーチャンピオン“として、相手が自分を知っている、という大きなアドバンテージがある。メジャー優勝してからも、その前と変わらず、笑顔でファンや関係者に接する様子は渋野のいいところ。だが、そのアドバンテージを生かすのは決して悪いことではない。

笑顔で言語を乗り越え、世界中のゴルフファンをトリコにした2019年の全英女子オープン優勝は、メジャーへの出場権やスポンサー推薦などを渋野にもたらしている。だが、それ以上に大きいのが、メジャー優勝者として仲間たちから受けるリスペクトと知名度だ。胸を張って、渋野らしい自然体でいることができれば、ツアーに溶け込む日も近いに違いない。