師匠ジャンボの女子に対する評価をさらに上げていく西郷

開幕から5試合目での3勝目は、史上最速だ。

8歳でゴルフを始め、ほどなくプロを目指すようになった西郷が、中学3年の時にジャンボ尾崎ゴルフアカデミー1期生となったのはよく知られた話だ。原英莉花や笹生優花、佐久間朱莉らとともに“ジャンボの弟子”と呼ばれ、ジャンボがらみの話が飛び出すことも多い。今回18番のティショットをOBにしたのも、実は飛距離にこだわる師匠を意識したからだった。ドライビングディスタンス何位だと聞かれる時に、いい報告をしたいと思ってフルスイング。これが想定以上に曲がってOBになってしまったとういわけだ。

優勝争いをしている最終ホールで飛距離を意識したのは、3打のリードがあったからこそだ。

今でこそ活躍する女子プロたちを“弟子”に持つジャンボだが、自らがツアーで優勝を重ねながら、ジャンボ軍団と呼ばれる後進を育てていた頃には、女子プロを相手にすることなどなかった。オフシーズンのキャンプに顔を出す女子プロがいなかったわけではないが、基本的には男子だけの世界。現役としてツアーに出場していたのだから、他に目を向ける暇がなかったということもあるだろうが、飛距離を何よりも大切にする以上、どうしても女子は男子には及ばない。

しかし、アカデミーを主宰し、ジュニアたちを指導する中で、大きく羽ばたき、結果を残すようになったのは今のところ、男子ではなく女子の選手ばかりだ。

今季絶好調の西郷も、ジャンボに「今の女子はすごいよ」と言わしめる1人というわけだ。

西郷だけでなく、アカデミーでジャンボの指導を仰ぐ選手たちは、ジャンボの全盛期をほぼ知らないと言っていい。2001年に西郷が生まれた翌年の全日空オープンが、ジャンボのツアー94勝目。最後の優勝なのだから無理もない。

事実、西郷も最初の師匠である父がジャンボファンで、自宅から近いという理由もあってアカデミーに入っている。ジャンボの実績は伝聞で知っているに過ぎず「怖そうだな」という先入観を持っていたことを打ち明けている。

実際に接してみると、トレーニングや練習には厳しくとも、いいところは褒めてくれる。さらに人知れず努力を続けているジャンボに対する見方が変わった。「カッコいい方」と、プロになったころ、西郷は口にしていた。

女子プロに対するジャンボの評価を、かつてでは考えられないほどに引き上げたのは、まちがいなく弟子たちだ。一昨年公式戦2勝の原、昨年全米女子オープンでいきなり優勝した笹生、そして何度も優勝争いに敗れる経験を乗り越えて、今季大きく花開きつつある西郷。フィジカルを大切にし、手取り足取りではなく、自分で考えて練習する方針だというジャンボの指導が、息の長い選手を育てているのだろう。通算30勝で得られる永久シードを目指している西郷は、ジャンボの女子プロに対する評価をさらに上げていくに違いない。