LIVゴルフの「LIV」の意味って知っていますか?
高額賞金と大物選手の移籍で話題の「LIVゴルフ・インビテーショナルシリーズ」
出典:「LIV Golf」の公式YouTube
いま、世界の男子ゴルフツアーを揺るがしているのが、「LIVゴルフ・インビテーショナルシリーズ」です。改めて言うまでもなく、サウジの政府系ファンドをバックに、レジェンドゴルファーのグレッグ・ノーマンがCEO兼コミッショナーを務める新ツアーです。
「LIV」はローマ数字で「54」を意味する
欧米の両ツアーが強硬な反対姿勢を示し、LIVゴルフに出場したツアー登録選手には厳しい罰則を課すとしたことから、当初はそれほど大きな規模にはならないとみられていました。しかし、フタを開けてみると、予想外に多くの有名・有力選手が相次いで参加。欧米ツアーにとっても脅威になりつつあり、今後の展開が注目されています。
ところで、LIVゴルフの「LIV」の意味はご存じでしょうか?
同ツアーの会場や印刷物などに「LIV」という文字と並んで、同じロゴデザインの「54」という数字を目にします。
「54」は同ツアーの独自性、アピールポイントである3ラウンド=54ホールストロークプレー競技を訴求するものであり、LIVゴルフのCI(コーポレイト・アイデンティティ)といってよいでしょう。
その「54」をローマ数字(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ……)で表記すると「LIV」(L=50、Ⅳ=4)となるのです。
LIV=54であることに加え、ノーマンはメディアのインタビューで、「54」は18ホール・パー72のゴルフコースで、全ホールバーディという究極的なプレーの結果のスコアとも語っています。
そこで思い出すのが、宮里藍さんのコーチでもあったピア・ニールソンとリン・マリオットが提唱し、書名にもなっている「ビジョン54」というコーチングのメソッドです。
最初から「スコア54なんて達成できるわけがない」と考えたら、自らの可能性に蓋をすることになり、得られる成果は小さなものになります。一方、スコア54を目標に取り組めば、最大限の潜在能力が発揮され、上達度がより増すという考えです。
ノーマンは究極のプレーとしてスコア54を掲げたわけですが、LIVゴルフのスポンサーである「サウジ・パブリック・インベストメント・ファンド」の役員も「54」をアピール。スコア54の達成者には54ミリオンドル(約73億円)の賞金を贈呈すると表明。「54」という数字が再度メディアを賑わすことになりました。
また、「54」はノーマンのゴルフ人生において大きな意味を持つ数字でもあります。
ご存じのようにノーマンは世界ナンバー1の座に長く在籍したトッププレーヤーです。メジャータイトルは2度の全英オープンだけですが、全盛期は常に優勝候補の筆頭に上げられていました。
なかでも活躍が光ったのが1986年のシーズン。4大メジャーのすべてで3日目、54ホールを終えた時点でトップに立ったのです。
しかし、初メジャー制覇となった全英オープン以外は最終日に逆転されて惜敗。そのためこの年のノーマンには、「グランドスラム」ならぬ「サタデースラム」というありがたくない称号が与えられました。
いわば54ホールのグランドスラマー。「LIV」というツアー名には、ノーマンの様々な思いが込められているのでしょう。
小関洋一
出版社、編集プロダクションを経て、フリーランスのライターに。テレビ誌・トレンド誌などで、主にスポーツに関する記事を執筆。テレビ、ラジオのスポーツ番組の構成も手掛ける。現在はゴルフ誌を中心に内外の最新トレンドを伝えたり、ゴルフ場のレポートを担当している。東京ゴルフ倶楽部の年史製作に携わっており、ゴルフ史に関する執筆機会も多い。
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