常に笑顔なのに強い岩井千怜のすごさ
NEC軽井沢72ゴルフトーナメントでツアー初優勝！
NEC軽井沢72ゴルフトーナメントで優勝を果たした岩井千怜
岩井ツインズの妹、千怜が初優勝した。大激戦となったNEC軽井沢72ゴルフトーナメント最終日に、攻撃の手を緩めずにプレーした岩井は、優勝が決まるまでずっと笑顔だった。その裏にはファンを大切に思う強い気持ちがあった。
写真／Getty Images（2022年NEC軽井沢72ゴルフトーナメント）
「見ている方がいらっしゃるので」笑顔を絶やさない
ツアー初優勝を果たしたNEC軽井沢72ゴルフトーナメント。終始、笑顔でプレーしての優勝が印象的だった。少し、前の大会で上位に入った時、こう話していたのが思い出される。
「見ている方がいらっしゃるので、できるだけ楽しくやっている姿をお見せしようと笑顔でやっていました」。
岩井が、プロスポーツで何よりも大切なギャラリー、テレビやネットの向こう側のファンのことをハッキリと意識していることがよくわかる。真剣勝負をする中で、これを実行するのは難しい。だが”スマイリング・シンデレラ“と呼ばれた渋野日向子の例を挙げるまでもなく、笑顔のプレーヤーに人気が集まるのは自然な流れでもある。
実際にボールを打っているより、歩いていたり待っている時間がはるかに長いゴルフでは、プレーヤーの側も合間は笑うことでリラックスできるという利点もある。
プロスポーツはファンがいて初めて成立する。そんな当たり前のことを、ゴルフの世界では選手だけでなく、関係者までが忘れがちになる。理由は簡単。ギャラリー収入を当てにして試合が作られていないからだ。賞金も運営費も、スポンサーの財布から出るのが当たり前。だから無観客試合が続いても、ダメージが少ない。
だが、スポンサーがお金を出すのは、ファンがいるからだということを忘れてはならない。そのことをルーキーの岩井の言葉で思い出した者がどれだけいるだろうか。
優勝争いの緊張がある中でも、岩井は笑顔でプレーを続けた。優勝が決まってすぐに、涙があったのは「苦しいことがあったけど、努力してよかったな、報われたなと思って」と、説明している。だが、落ち着いてからはまたしても笑顔でい続けた。
アマチュア時代からプロの試合で上位に入っていたことに、双子であることが拍車をかけて人気が先行した。たくさんのスポンサーもついて鳴り物入りでプロ入りしたのに、QTに失敗。そこから這い上がって来るのにどれほどの努力が必要だっただろうか。
それを乗り越えた笑顔の強さは、人を引き付ける。ファンを思っての笑顔は、岩井に感情をコントロールする強さも身につけさせたに違いない。
常に姉の明愛と比較されることは、今後も避けられない。強くなればなるほど、注目度は高まり、時にはつらい思いもするだろう。だが、常にファンありき、で考えることができれば、それは強い味方になる。岩井の笑顔は、この先、最高の武器となり続けるだろう。
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