自分を貫き、ファンを喜ばせる双子の妹

初優勝から2週連続優勝という史上3人目の記録の重圧も、山下美夢有の猛追も、自分のゴルフに集中することで吹き飛ばした。

CAT Ladies最終日、単独首位でスタートしながらスコアを伸ばしきれず、8アンダーの猛追を見せた山下に途中、並ばれた岩井。本人も前日に予想していた通り、緊張感はずっと持っていたものの、それをうまくコントロールして集中力に変えた。

「怖がらずに万々ピンを狙うゴルフ」と、自分のプレースタイルを説明する。一方で、勝因を聞かれて「周りがバーディを取っても焦らず自分のゴルフをしようという気持ちの持ち方にある」と話す。どちらも岩井の中では理にかなっている。

攻めるべきところは攻め、守るべきところは守るというメリハリあるプレーを、周囲に惑わされずに貫く、と解釈できる。

3番でバーディを取ったきり、パーが続くプレー。同じ最終組では、若林舞衣子が出入りの激しいゴルフ、勝みなみも攻撃しながらチャンスが決まらないプレーをするのを尻目に、岩井は終始落ち着いていた。

13番グリーンで、山下に並ばれたことを知った後も、そのペースは変わらない。

圧巻は勝負を決めた17番だった。4組前の山下は、すでに12アンダーで岩井のプレーを見守っている。左からアゲンストのパー3で、手にしたのは6番アイアン。「気持ち高めのボールを打ちたくて。風に乗せて右に行けばいいなと思って」というイメージ通りのショットでチャンスにつけた。勝負を決める1打には、16番からの流れがあった。

クライマックスを感じ取るように「ドキドキしてきた」とさらに高まった緊張感を、上手にコントロールした。前日同様、ハナ歌を口ずさんで気持ちを紛らわせ、打つ瞬間には集中する。そのいいペースを、17番のショットにつなげて、バーディ。1打差で勝った。

「見られる方が好き」というプロ向きの岩井は「ファンのみなさんがいるだけでゴルフの内容が違ってくる。好きなことを一生懸命やってみんなに見せられるのは楽しいことだと思います」と、上手に応援を力に変えることができる。
「自分が活躍して応援してもらうこともそうですし、勇気や感動や楽しさを誰かにもっともっと与えられる人になりたいと思っています」と、プロアスリートとしての役割をしっかりと自覚している。

成績も、気持ちも、浮き沈みが激しいのが厳しいプロの世界。プレー中だけでなく、プロ生活を通して、今日のように気持ちをコントロールできれば、怖いものはない。20歳の岩井にとっては、まだまだ先の長いプロ生活の波をどんなふうに切り抜けていくのか。興味は尽きない。