1. TOP メニュー
  2. テクニックに効く
  3. スイング作り
  4. 初優勝から2週連続Vを達成。岩井千怜はなぜ強い?名コーチと名キャディが分析

初優勝から2週連続Vを達成。岩井千怜はなぜ強い?名コーチと名キャディが分析

岩井千怜の強さを名コーチと名キャディが分析

2022/08/29 ゴルフトゥデイ 編集部

岩井千怜

日本女子ツアーにおいて史上3人目となる初優勝からの2週連続優勝を飾った岩井千怜。しかも20歳47日での達成は史上最年少記録。
ルーキーシーズンでの快挙達成に新スター誕生の予感がするが、強さの秘密はどこにあるのか?今回は石井忍コーチにスイングを、杉澤伸章キャディにプレー内容を分析してもらった。

写真/相田克己

軸ブレしない秘訣は早いタイミングでの踏み込み

現役女子プロのコーチをつとめている石井忍には、優勝した2試合で撮影した岩井千怜の連続写真を分析してもらった。

岩井千怜,ダウンスイング

石井 すごくオーソドックスなスイングで変なクセが一切ない。特に強さを感じるのが足の使い方です。

後方からの連続写真を見ると、ダウンスイングの早いタイミングで右足のツマ先をしっかり踏み込んでいます。
この踏み込みがあるから、ドライバーなど長いクラブを打つときでも軸ブレすることがない

だから250ヤード近い平均飛距離がありながら、方向性も安定していると思います

岩井千怜選手は安定感を重視したロングアーム型

また腕の使い方にも安定感の秘密があると語る。

岩井千怜,バックスイング

石井 バックスイングでは左腕を伸ばしたままにしつつ、右腕をたたむタイミングが遅い。

これはロングアーム型と言われるスイングで、腕を長くした状態で使うことによって、スイング軌道が大きくなって、再現性の高い軌道になる。だから打球方向が一定になるのです。

逆にショートアーム型の選手もいます。こちらは右腕(右ヒジ)を曲げるタイミングが早いので、トップがコンパクト。
ショートアーム型はダウンスイングでタメができるスイングになるので加速感が出やすいのがメリットですが、タメを一気に解放するのでタイミングが合わないとミスになりやすい。

安定感を重視するならロングアーム型の方が有利だと思いますし、岩井選手はそのスイングでも飛距離を出すことができるのが強さの要因だと思います

岩井千怜選手の強みはパー3でもスコアを伸ばせること

一方、かつて丸山茂樹などのキャディをつとめ、現在は解説者やレポーターとしても活躍している杉澤伸章はパッティングとパー3のプレー内容に強さを感じたと語る。

岩井千怜,ドライバースイング連続写真(後方)
岩井千怜のドライバースイング連続写真(後方)

杉澤 CATレディースのコース(大箱根カントリークラブ)にはパー3が4ホールあり、3日間で12回パー3をプレーしたのですが、パー3だけで岩井選手は7つスコアを伸ばしています。

優勝スコアは13アンダーだったので、そのうち半分以上をパー3で稼いだことになります。

通常、ツアープロはパー5でスコアを伸ばしてパー3は耐えるスタイルなのですが、岩井選手はパー3でもスコアを伸ばせるのが強みです。

タイガー・ウッズのような『決め打ち』に注目

そしてパッティングのスタイルにも優勝できる選手の共通点を感じたそうだ。

杉澤 もう1つ、岩井の強さを感じたのはパッティングで『決め打ち』ができること。

決め打ちとは全盛期のタイガー・ウッズのようにパッティングのラインを明確に決めて、しっかり強めに打っていくこと。
岩井は優勝争いの中でも、迷いながら、なんとなく寄せるパッティングではなくて、すべてしっかり狙っていた

ピンチになったのは最終18番ホールのパーパット。パー5の18番では3オンしたもののファーストパットが15メートル。それを2メートルまで寄せますが、微妙な距離が残っていました。

もし外せばプレーオフ。しかし、岩井は先に打った勝みなみのボールが意外と切れなかったことで、強めに上りのラインを打って決めました。「寄せる」パッティングではなく、「決める」パッティングができることは強い選手の絶対条件です。

岩井千怜のドライバースイング連続写真(前方)
岩井千怜のドライバースイング連続写真(前方)

基本に忠実で安定感のあるスイングに、勝てる選手のパッティングスタイルを持っている岩井千怜。シーズン後半戦ではさらに優勝回数を伸ばしていきそうだ。




石井忍

解説:石井忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、赤坂、神保町に展開する。

杉澤伸章

解説:杉澤伸章
1975年7月5日生まれ。02年から丸山茂樹の専属キャディとして米国ツアーを転戦。13年には宮里優作のキャディを務め、「日本シリーズ」での初優勝にも貢献。現在はゴルフ中継番組の解説者、レポーターとしても活躍。

連覇した20歳・岩井千怜の目標は、勇気・感動・楽しさをもっと与えられる人になること

岩井千怜が、最初から最後まで自分を貫いて、2週連続優勝を飾った。 硬軟取り混ぜた百戦錬磨のようなプレーぶりは、ルーキー...

あわせて読みたい

常に笑顔なのに強い岩井千怜のすごさ

岩井ツインズの妹、千怜が初優勝した。大激戦となったNEC軽井沢72ゴルフトーナメント最終日に、攻撃の手を緩めずにプレーした...

あわせて読みたい