9年前に本格始動した育成プロジェクト

「TEAM KGAジュニア」は関東ゴルフ連盟が「世界に通用するゴルファーの育成」を目標に掲げ、9年前の2013年に動き出したジュニア育成プロジェクトです。

そもそも同プロジェクトは2012年に、2020年オリンピック(当時は東京開催が決定する前)も視野に入れ、「将来のオリンピック選手を輩出すること」を目指して立案。
翌13年1月、関東のジュニアを対象に、有望な人材の発掘と育成に着手、本格始動した事業です。

「2020年オリンピック選手の輩出」とは、当時は“壮大な夢”と思われましたが、実際にそのときが来ると、男子の星野陸也、女子の畑岡奈紗、二人の「TEAM KGAジュニア」出身プロが日本代表に選ばれていました。
そしてその後も、世界の舞台での活躍が期待されるゴルファーが次々と誕生しています。

男子では前出の中島啓太のほか、今年の「IMGA世界ジュニア選手権(15~18歳の部)」で日本選手としては2013年の池田勇太以来、19年ぶりに優勝した本 大志(高校2年)。
女子では前出の岩井姉妹や馬場咲希の前に、吉田優利や高橋彩華がおり、さらに今季プロデビューした佐藤心結や佐久間朱莉なども将来有望視されています。

毎年64人が認定

その「TEAM KGAジュニア」ではどのような育成が行われているのでしょう。

まずは、チームメンバーの人選から。対象となるのは、

・小学校6年生から高校2年生のジュニアゴルファー
・KGA主催競技や日本ゴルフ協会のアマチュアランキングの上位選手
・KGA加盟の1都10県のジュニア育成委員会の推薦選手

などから候補選手を選出。毎年秋に開催する「選考会」の案内を通知します。

「選考会」では、体力測定とゴルフの技術チェック、並びに面接を実施。男女各32人、計64人が「TEAM KGAジュニア」の認定選手となります。

あわせて、この「選考会」では小学6年生を対象に、アメリカのフロリダ州にある「IMGゴルフアカデミー」への派遣選手の選抜も行われます。
同アカデミーは、かつては宮里美香が所属していた、世界的に実績のある育成機関で、吉田優利はKGAが最初に派遣(2013年3月~4月)したメンバーのひとりです。

※なお、この派遣のプログラムは、コロナ禍により2019年を最後に中断。再開は未定とのことです。

様々なスキルアップを実施

「TEAM KGAジュニア」認定選手には、どのような“成長の機会”が設けられるのでしょう。

まず、選手にとって一番ありがたいのは、KGAが加盟倶楽部の協力のもと、ラウンド等の練習環境を整備してくれることでしょう。
馬場咲希も都内の某ゴルフ場で練習できる環境を整えてもらっています。

また、「TEAM KGAジュニア」認定選手はラウンド研修やセミナーなど月1回のペースで集合。
ゴルフの技術指導だけでなく、フィジカルの強化や食事面の指導、ルールやエチケット、さらには基本的なコミュニケーションスキルなどの講習を受講します。

このうち、ゴルフの技術指導は、近年世界のアマチュア強豪国に育った日本ゴルフ協会ナショナルチームのヘッドコーチ=ガレス・ジョーンズ氏のメソッドに沿った指導を実施。国際競技など、タフな舞台でも実力を発揮できるよう基礎力を鍛えています。

しかし、今季いきなりブレークした岩井姉妹は「TEAM KGAジュニア」で学んで良かったこととして、最初に「コミュニケーションスキルアップ研修会」を挙げています。
コミュニケーションのスキルとは、自己のプレゼンテーション能力ですが、魅力あるプロゴルファーには、競技パフォーマンスの次に欠かせない能力なのでしょう。

実際、優勝した岩井千怜のスピーチは好感度に溢れるものでした。
「TEAM KGAジュニア」からはプロ・アマを問わず、今後も人気・注目プレーヤーが生まれることでしょう。注目です。




小関洋一
出版社、編集プロダクションを経て、フリーランスのライターに。テレビ誌・トレンド誌などで、主にスポーツに関する記事を執筆。テレビ、ラジオのスポーツ番組の構成も手掛ける。現在はゴルフ誌を中心に内外の最新トレンドを伝えたり、ゴルフ場のレポートを担当している。東京ゴルフ倶楽部の年史製作に携わっており、ゴルフ史に関する執筆機会も多い。

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