「うふふ」という言葉からにじみ出た強さ。川崎春花、無欲の勝利の先にあるもの
日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯でツアー初優勝!
日本女子プロゴルフ選手権で史上最年少優勝を果たした川崎春花
日本女子プロゴルフ選手権で史上最年少優勝を果たした川崎春花。「気が付けば8アンダー」という逆転優勝の裏には、自分をしっかり保つ強さが隠されていた。
(写真/山之内博章)
シンデレラストーリーにも惑わされない⁉
鮮やかな優勝だった。
いや、京都出身らしく“はんなり”という言葉が似合う雰囲気に惑わされているうちに、気が付けばスーパーショットを次々に繰り出して勝っていた、と言った方がいいだろうか。
8番イーグルでスイッチが入ると、バックナインの4連続バーディで混戦を頭一つ抜け出した。
今季好調の山下美夢有、ツアー2勝目に向けて気合の入る森田遥の最終組と、2組前で初優勝に挑む菅沼菜々にはさまれた組での快進撃。
キャディを務めた高校の後輩と笑顔で話す様は、優勝争いの緊張感を感じさせない。
本人も「目の前の1打に必死だったんで、緊張はあまりなかった」と口にしているが、見ている側には必死にも見えない優雅な勝ちっぷりだった。
昨年、プロテストに合格し、8月にステップアップツアーで優勝したばかり。
予選会を経て出場した、地元、京都での大一番は、プロテストの舞台でもあった城陽CCだ。
シーズン前半は、思い描いたゴルフができずに苦しんだ。「攻めるゴルフに変えたらよくなった」という言葉通り、一気に階段を駆け上がった。
「信じられない気持ちがあって」と、まったく涙を流さず、終始、笑顔の初優勝は、まさに無欲の勝利と言っていいだろう。
誰もが通る道ではあるが、勝利を知った後も無欲でいることは難しい。
自分はそうでないつもりでいても、勝手に周囲が盛り上がる。
スポンサーの話が来たり、取材を受けたり、ネットに書き込まれたり…『無名』ではなくなることの洗礼に、いやでも『次』を意識させられる。
ーーその時、どうするか。
自分を見失うことなく、コツコツとこれまでと同じことを続けつつ成長する。そんな難しいミッションが待ち受けている。
優勝が決まって、最初にマイクを向けられたときの様子には、やわらかなオブラートに包まれた強さが感じられた。
「最初はバーディーチャンスを連続してはずしてしまったりしてましたが、最後まであきらめずにプレーしたら(今日)8アンダーになっていました。うふふ」。
思わず、口をついた「うふふ」は、川崎のしなやかな強さを感じさせた。
1人のルーキーから、公式戦歴代優勝者へ。
一晩でスターダムをのし上がった川崎の前には、限りない可能性と、それに伴う困難が待ち構えているだろう。
だが、そのどれをも「うふふ」と軽やかに乗り越えていけるのではないか。
そんな不敵さが伝わってきた今年の日本女子プロゴルフ選手権だった。
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