小祝さくらがスタンレーレディスホンダで今季2勝目!自然体のゴルフで混戦を制す
10月7~9日、静岡・東名カントリークラブで行われた女子ツアーの第31戦、スタンレーレディスホンダで、小祝さくらが通算12アンダーで今季2勝目を飾った。不順な天候同様、優勝争いも混沌とする中で、小祝の冷静さが勝負を分けた。
撮影/相田克己
ZX後継・未発表モデルの4週連続勝利あるか? 小祝さくらが単独首位で最終日へ
10月7日(金)〜9日(日)の日程で開催中の「スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント」は小祝さくらが10アンダー・単独...
心の余裕で勝ち取った勝利
“淡々と”。優勝した小祝さくらのゴルフは、まさにそんな言葉がピッタリだった。
荒天サスペンデッドで初日は7ホールしかプレーできなかった小祝。2日目の最初のプレー(8番)でバーディパットを決めるという幸先のいいスタートを切り、29ホールをプレーしたこの日は、10バーディ、ノーボギーというほぼ完璧なゴルフで10アンダーまでスコアを伸ばした。
そして迎えた最終日。2日目の日没サスペンデッドの影響で、何人かの選手は2R目からのプレーとなったが、小祝はトップでスタート。
ただ、天候同様、優勝争いも荒れ模様。上田桃子が1打差2位、菅沼菜々が2打差の3位に付け、6人の集団となった7アンダーの4位グループには西郷真央、永井花奈、吉田優利らの名前もあり、本人的にも、「このまま逃げ切る」という気持ちはなかったようだ。
しかもこの日は、なかなかギアが上がらず、前半はパーの連続。同組の上田には3番で、菅沼には5番で並ばれ、ハーフ終了時点では、11番までに4バーディー、ノーボギーと好調だった2組前の西郷に逆転されていた。
しかし、小祝に焦りはなかった。それどころか、「なんか、おもしろくなってきた」とさえ思ったという。
「今日は優勝を意識するというより、納得いくプレーができればいいと思ってプレーをしていましたからね。もし、上手くいかなくても、流れに身をまかせてプレーをしていればいいかなと」
メルセデス・ランキングでトップを狙う西郷や、初優勝を目指す菅沼よりも心の余裕があったようなのだ。
その理由について、小祝は「この大会の前にメンタルについて考える機会があったから」だという。
「そのおかげでミスしても気持ちを切り替えて、常にポジティブな気持ちでいられるようになった」というのだ。この日のゴルフではその成果が存分に発揮されたということらしい。
史上14度目のノーボギー優勝というおまけ付き
10番で最終ラウンド、初めてのバーディを奪ってトップに追いつき、終盤は永井、菅沼、西郷と激しいデッドヒートを繰り広げたが、その後も終始冷静にプレー。ティショットでフェアウェイを外しても、セカンドでグリーンをとらえ、ファーストパットでカップに寄せてパーを拾うという“固い”プレーを続けた。
技術的なことでいえば、グリーンをとらえるショットが安定していたこと。また、ロングパットの距離感が合っていたことがこの日の小祝を支えていたが、冒頭にも述べたように、淡々としたプレーが最大の武器になっていたような気がする。
最も印象的だったのは、17番のセカンドショットのシーン。セットしようとしたとき、ギャラリーがフェアウェイを横断したため、一度セットを解くことになった。
優勝を大きく左右する大事なショット。普通なら心をかき乱されるところだが、このときもイライラした様子はなく、ごく自然にセットを解き、ギャリーが通過するのを確認して、構えに入った。
この落ち着きが、優勝を決めた17番の7mのバーディーパットに繋がったというのは少々こじつけかもしれないが、優勝争いをしていた永井が18番で、菅沼が14、16、18番で、西郷が18番で、いずれも決まってもおかしくないバーディーバットをことごとく外していたことを考えると、小祝が精神的に一歩上をいっていたのかもしれない。
終わってみれば、54ホールボギーなしでの優勝。今季は、7月の楽天スーパーレディースで勝みなみが史上初めて4日間大会(72ホール)ノーボギー優勝を達成したほか、6月のニチレイレディスで西村優菜も小祝と同じ54ホールで記録しているが、詳細な記録が残る1990年以降、14度目という希少な記録も達成した。
今季は、スイング改造などを含め、いろいろな意味でチャレンジの年と言い続けてきた小祝だが、それが着実に実りつつあるのは確か。国内女子ツアーも残り7試合。今後のプレーにも注目したい。
真鍋雅彦氏
1957年、大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。
1986年に退社し、フリーライターとしてナンバー、週刊ベースボール、ラグビーマガジン、近代柔道などで執筆。
ゴルフは、1986年からALBAのライターとして制作に関わり、その後、週刊パーゴルフ、週刊ゴルフダイジェストなどでも執筆。現在はゴルフ雑誌、新聞などで記事を執筆するほか、ゴルフ書籍の制作にも携わっている。
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