ジョン・ラームのパットのレベルを押し上げた『AI・樹脂フェース』
「パターを評価する際、これまでは打感、打音、転がりの良さといったことが主な対象でした。でも、オデッセイにとって、もはやそれらが良いのは当たり前で、いかにゴルファーに有益なサポートをするかがメインの領域になっていると思います。この数年続けているAIの活用もそのひとつで、実際にツアープロも結果を出しています。
例えばジョン・ラームが使う「Ai-ONE ROSSEI」は、あまりにもフィーリングが良いので即スイッチしたという代物。世界ランク1位でもパットは真ん中くらいのランクだったラームが、これに替えて順位を上げたのは動かぬ事実です。普通は『マスターズ』を勝って世界一になったパターを替えたくはないはず。それを替えたのは、スイッチした場合でも違和感がなく、史メリットが大きかったからに他なりません」
オデッセイ「Ai-ONE」パターは、距離感が出やすいホワイト・ホット譲りの気持ちいい打感と打音
世界のトッププロも即スイッチした「Ai-ONE」。落ち着いたヘッドのカラーリングのせいもあり、フェースインサートが際立って白く見えるが、実はこれ、アルミと樹脂を組み合わせ、さらに樹脂のフェース面に溝を刻んでいる。これにより愛用者の多いホワイト・ホットインサートの打感と打音に近づき、フィーリングも同等のレベルになっているという。
「構えてみると、紺色のところがシュッとして、ヘッドが小さく、しまって見える感じがします。繰り返し打ってみるとウレタンインサートの音がすごくいい。通常、樹脂系のフェース面は消音効果というか、どちらかといえば静かなものが多いですが今作の音は結構高め。でも手に伝わる感触はホワイト・ホットインサートのような軟らかい樹脂のそれ。
打音と感触と相まって、打っていて気持ちがいいです。僕自身、音で距離感を判断する部分がある。感覚的に音と距離が揃うとイメージが出やすい。逆に言うと、音がしないとどれだけ転がるかわからずちょっと怖いので、この音はとてもいい印象です。
僕はもともとホワイトホットの2ボールブレードを使っていたのですが、残念ながら今回は2ボールがないので、どの形状にしようか探したいと思います。ずっと使ってきたパターの進化形なので期待は大きいです。“樹脂フェースといったらオデッセイ”と言っても過言ではないくらい、ここ10年くらいにわたってパターを牽引してきたメーカーですから、いろんなフェース面を研究しているでしょう。とはいえ、打音や打感については初代のホワイトホットが忘れられないプロが毎回出てくるはず。でも今回のモデルなら違和感はないと思うし、ホワイトホットよりも結果に収束するデータが取れている以上、移行はスムーズだと思います」
オデッセイ「Ai-ONE」パターのバックフェースとソールの窓はオデッセイの自信の表れ
「Ai-ONE」パターは「Ai-ONE #1」「Ai-ONE #7 CH」「Ai-ONE #7 S」「Ai-ONE DOUBLE WIDE DB」「Ai-ONE ROSSIE S」の5機種をラインナップ。#7についてはネック形状が異なる2つのバージョンが用意されている。目を引くのはブレードタイプのバックフェースとマレットタイプのソールに設けられたポリカーボネート製の窓。このウインドウを通してインサートの裏側に形成されたAI設計の複雑な隆起を見ることができる。
「ラインナップは順次拡大され、その中でツアープロもAiフェースに移行していくと思います。おそらく今年の一つの流れとしてラームだったりリッキー・ファウラーだったり、特定のプロが使っているモデルを出してきていると思うので、そういった流れを考えると、例えばトライホット5Kを使っている石川遼プロ、トライビームの上田桃子プロらにもメーカー側は絶対に使ってほしいはずですから、そんなモデルも限定で出るのかもしれません。
バックフェースとソールのスケルトンについてはちょっと驚き。メーカーさんは基本、ああいう企業秘密的な部分は見せたくないはずなのに今回はあえて見せていくれている。よほど自信があるんでしょうね。よく見ると、樹脂と金属ではインサート裏の凹凸の形が違って、しかも摩訶不思議な形をしている。おそらくAIが出した回答が違うんでしょうね。なぜこんな形なのかはAIしか知らないことで、僕にはなんとも言えませんが(笑)。
また、これはミルドフェースにも言えることで、もしかしたら僕だけの感覚かもしれませんが、今作はハンドファーストに構えやすい。持つとさりげなくハンドファーストになります。何年か前、ツアープロが“オデッセイのパターはハンドファーストで打つんだよ”、みたいなことを言っていたと思いますが、ハンドファースのまま構えたらインパクトでそこに戻りやすい感じがします。こんなところにもオデッセイ、あるいはキャロウェイさんのストーリーというか、DNAが刻み込まれているのかなという気がしますね」
オーバーしがちなプレーヤーは「Ai-ONE」を試してみよう
では、アマチュアゴルファーはどんな点に気をつけてモデルを選べばいいのだろうか?
「アマチュアの方がセレクトする場合、まずは打感、打音で、そこは100%好みでOK。というより、譲ってはいけないところです。あとはアドレスして上から見た時の形状。大ぶりな感じがするのは樹脂で、シャープさを感じるのはミルドですが、これも感じ方に違いがあります。傾向的にはオーバーしがちなプレーヤーは、ちょうどいい感じの軟らかさのAi・樹脂フェースがいいでしょう。
トータル的にパターに助けてほしいと思うなら樹脂フェースをおすすめしますが、ここは難しいところで、ビギナーの方でも金属フェースの方がいい結果になる人もいます。こればかりは先入観や思い込みではなく、打ってみて好き嫌いを感じたり、見てカッコいいと思う、あるいは所有欲を感じられるモデルを何本かピックアップし、何発か打って、真っすぐ打ちやすいパターを選ぶのがいいと思います。
というのも、モデルによってはフェース面の開閉が小さいものもあるから。自分の真っすぐ感とパターが持っている真っすぐの感覚が合えば第一段階クリア。打ち出したい方向に打てるからこそ距離感の収束にもつながるので、まずは真っすぐです。
あとはボールスピードのコントロール性。打球のスピードが揃うと距離感は合ってくるので、芯を外した時でもボールスピードが落ちにくいAIフェースの特性は大きなメリット。その点における期待値は100点です。性能はもちろん、ヘッドのバリエーションを見てもユーザーの受け入れ態勢は万全。バリエーションは今後も増えていくでしょうから、必ずそれぞれに合ったものが見つかるでしょう」
グリーン上でプレーヤーにかかるストレスは大きい。それによって生じるミスをパターがカバーしてくれるのはありがたい限り。パターにとっては初の取り組みとなるAIフェースだが、エピックからパラダイムに至る過程でこのテクノロジーも着実に進化を遂げている。これをきっかけに、ますます道具によって得られるサポートは大きくなりそうだ。
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。




