2年連続で女王になれたポイントは、完璧な前傾キープと右ワキの締まりにあり!

女子ツアーで頭ひとつ抜けた強さをみせる山下美夢有選手は、前傾角度をキープして打つのがすごく上手い選手。腰への負担が大きい深めの前傾ではなく、アドレスでの前傾は浅めです(写真1)。浅めの前傾角度をバックスイングからトップ、そしてインパクトまで完璧にキープできています(写真5)

女子プロでもシーズン後半の疲れが出てくる時期になると前傾が崩れてあおり打ちになる選手もいますが、山下選手にはその動きが一切ありません。

腕の動きも理想的です。アドレスでは適度にリラックスしていて、ガチガチに固めているわけではありません。ただし、アドレスから右ワキだけはしっかり締まっていて、それをインパクトまでキープしています。右ワキが空いてしまうとカット軌道になったり、手打ちの原因になってしまいますが、山下選手のように右ワキを締めて右腕を体につけた姿勢でボールを打つことができれば効率的で安定したスイング軌道になります。

上半身を「パッキング」することで軌道が安定

【ヒザはほとんど曲がっていない】

アドレスで過度にヒザを曲げるとカカトに体重がかかり過ぎて、あおり打ちになる。ヒザを曲げすぎないことで体が回りやすい。

アドレスでの前傾角度をキープしているから、トップでは左腰が低く、右腰が高いポジションになっている

フォロー以降も背中から頭までのラインをキープしているので、スイングの再現性が高くなっている。

フェアウェイキープ率1位の理由はヒジから先は使わず、体重移動より回転で打つ

ツアーで1位になった山下選手のフェアウェイキープ率は79%台。8割近い確率でフェアウェイキープに成功しているのは驚異的です。

これだけ精度が高いドライバーショットが打てる理由は、ヒジから先をほとんど使っていないからです。手首を使うとインパクトでフェースが開いたり、閉じたりするミスが出てしまいますが、山下選手は手首をほとんど使っていません。インパクトでの手元の角度がアドレスとほとんど同じです(写真8)。さらにフォローでも両腕の真ん中に手首とシャフトがきています(写真9)。よくゴルフレッスンでは「両腕の三角形を崩さないことが大切」だと言われていますが、山下選手は両腕の三角形キープが完璧にできていると言えるでしょう。

もう一つ、打球が曲がらない要因は体重移動を抑えて回転で打っているからです。山下選手のアドレスはややワイドスタンスになっていて、バックスイングでもほとんど右足に体重移動はせず体だけを回しています。トップからダウンスイング、インンパクトにかけても左足に体重移動をするというよりも「その場で回転する」感覚で打っています。体重移動をするスイングは飛距離アップにはつながりますが、方向性を安定させたいなら山下選手のような回転系のスイングが参考になるでしょう。

ワイドスタンスで体重移動を小さく

バックスイングでは胸をしっかり回しているので、手首をヒネったり、フェースを開く動きがない。

テークバックでも右足の角度をキープ。

【トップでも両ヒザの間隔が狭くならない】

アドレスからトップまで右足の角度が変わらず、両ヒザの間隔が変わっていないから軸が安定する。

ダウンスイングからインパクトにかけても頭の位置はほとんどセンターから動いていない。

手首がリリースする動きが一切ない!

【フォローまで左ワキが締まっている】

インパクトからフォローにかけても左ワキが締まっていることで、腕の通り道が安定している。

解説:石井 忍

1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する