慣性モーメントが10000超え!?
今回テーラーメイドから発表されたのは「Qi10(キュー アイ テン)」シリーズ。その中でドライバーは「Qi10 MAX」「Qi10」「Qi10 LS」の3種類となります。テーラーメイドが「カーボンウッド」と呼ぶカーボンフェースのドライバーとしては第3世代となります。
今回の進化はどこにあるのでしょうか?
(1)まずはフェースですが、60層のカーボンツイストフェースという構造はそのままで、部分的にフェース面の肉厚を変えたことと、新開発のフレームとの相乗効果でフェース広範囲でのエネルギー伝達効率が向上し、ボール初速のアップに成功しています。
(2)次にクラウン部分ですが、クラウンのカーボンエリアを大幅に拡大しています。なんとクラウン面積の97%をカーボンで構成することで余剰重量を生み出し、新しいヘッド形状やヘッド内部に重量を再配分することで、高い慣性モーメントを生み出しています。
(3)とにかく今回の「Qi10」シリーズの売りは「高慣性モーメント」。名前の「10」というのは「10K」からくるもので、これは10000という意味。左右上下の慣性モーメントの数値を足すと、10000になるということからつけられているんですね。なので打点が左右、上下にズレたとしても、ブレることなく、また飛距離を落とすことなく飛ばせるということなんです(慣性モーメントが10000を超えているのは「MAX」のみ)。
しかし慣性モーメントを上げるということと、飛距離を伸ばすということは相反するんですよ。一般的には高慣性モーメントになるとスピン量が増えたり、ヘッドスピードが落ちたりするんです。その相反する条件をカーボンウッドならではの重量配分で実現しているんですね。
また、高慣性モーメントのクラブは振りにくさを感じることもあります。特にヘッドをターンさせて使うタイプのゴルファーにはとても扱いにくく感じてしまいます。その点においても最適な重量配分で解決しているということなんですね。まさに振りやすく、飛んで曲がらないドライバーになっているということ。
まずは一番慣性モーメントの大きい「Qi10 MAX」を打ってみました!
まず構えてみて思ったのは、ヘッドが丸くて大きい!他のモデルよりネック側のシェイプが少なくなり、後方が伸びているという感じです。とても安心感がありますが、構えにくさというのは全く感じませんね。試打したのは、ロフト10.5度でシャフトは純正「Diamana BLUE TM50」のフレックスS。中調子でトルク4.3というシャフトのようです。これで総重量は約310グラム、バランスはD3.5。
打ってみて驚いたのは、恐ろしく高弾道ということ。そして捕まりもよく、フェードヒッターの僕でもほんの少しだけ落ち際に左に行く、高弾道ドローが打てました。しかもほぼ曲がらない!トゥやヒールに当たったという感触はあるものの、弾道はあまり変わらないんですよね。球は上がるし、飛距離の落ち込みも少ない。
打感は少し柔らかめで気持ちよく、打音は低めながら少しだけ金属音のような音が最後に交じる感じです。スピン量はそこまで少なくなく、適度なスピン量で飛んでいると思います。
シャフトがけっこうしなるので、その効果で高弾道と捕まりが強調されている感じがしますが、ヘッド自体にもその傾向がありそうです。僕の場合、このスペックだと簡単に捕まった高弾道の球がフェアウェイに打てますが、少し上がり過ぎとスピンが多めなので飛距離がそこまで伸びない感じ。9度でもう少し仕事をしないシャフトでぶっ叩けば、かなり飛びそうな予感がします。
「MAX」を打って一番驚いたのは「振りやすさ」。今までの高慣性モーメントのヘッドで感じてきた振りにくさ全く感じず、気持ちよく振り抜ける。これは本当にすごいと思いました。
ってことで「Qi10 MAX」の印象は、捕まりがよく、高弾道でとにかく曲がらないヘッドということでした。ハードヒッターもシャフト次第ではかなり武器になるんじゃないかと。
スタンダードモデルの「Qi10」を打ちました!
これはヘッドの形状としては前作に近い洋ナシ型ですね。しかし後方が少し伸ばされているためか、個人的には前作よりも構えやすいです。ちょっとだけ捕まりそう感が増えているというか。これも試打したのはロフト10.5度で、シャフトは「MAX」のときと同じシャフト。総重量は約307グラムと「MAX」よりも3グラムほど軽くなっています。
打ってみると、これもとても振りやすくて、気持ちよく最後まで振り抜けます。弾道はけっこうな高弾道でほぼストレートの球が出やすかった。スピン量は少し少なめって感じでしょうか。打感はけっこう柔らかく、フェースに一回乗るような感覚がありますね。打音は低めで「MAX」よりも金属音が混ざりません。
僕はフェードヒッターなので、何も考えずに振り抜けばほぼストレートか軽いフェードになるのですが、操作性はそこそこあるので、捕まえていくこともできそう(それでも僕の場合はほんの軽いドローになる程度ですが)。これもシャフトが少し頼りなさを感じてしまうので、もう少ししっかり目で打ちたいということと、9度のロフトも試したいな~と思いました。9度でも十分ボールは上がりそう。
スタンダードモデルだけあって、けっこう多くのゴルファーが使えるように仕上がっていると思います。飛距離性能も高そうだし、このヘッドは慣性モーメント10000超えではないものの、曲がりにくさは前作よりもアップしているので、確実に平均飛距離は伸びると思います。
最後に、スピン少なめの「Qi10 LS」を打ちました!
ヘッド形状はネック側のシェイプが効いた洋梨形状です。ただこれもトゥ側の逃げが前作よりも少なく感じて、個人的には構えやすくなりました。ヘッドの下部には、トゥ・ヒール方向に動かすことができるスライド式のウェイト(18グラム)が装着されています。そのウェイトが動く溝の部分はネック寄りの部分がカーボンで覆われており、スイング中の空力性能が落ちないように工夫されています。細かい部分まで考えられていますね~。
試打したのはロフト10.5度で、シャフトは純正「Diamana SILVER TM50」のS。中本調子で約60グラムのトルク3.6です。クラブ重量は約310グラムでバランスD3ということです。
打ってみると、これは他の2モデルと打感が少し違います。やはりウェイトが前方に配されているということで、ガツッと詰まった感じの打感です。けっして硬い打感ではないのですが、しっかりとした打ちごたえがあります。打音は低めで、完全に玄人好みのいい音。僕は大好きです。
弾道は中高弾道で、かなりロースピンに感じました。とにかく初速が速く、前に行く球が出る感じ。僕が打つといい感じに軽いフェードが出て、ランも含めた飛距離はけっこう出ていました。前作よりも少し捕まりもよく、ミスヒットにも強くなっていると思います。やはり慣性モーメントが高くなっている効果でしょうね。
10.5度でもいい感じの高さでしたが、9度なら中弾道くらいでもっと強い球が出るのかな~という気もします。シャフトはクセがなく悪くないのですが、もっと先端硬めのものだとさらにロースピンで飛ばせそうな気もしました。
めちゃくちゃ簡単なクラブというわけではないですが、ある程度スキルのある人で、スピン量を減らして飛ばしたい人にはかなり武器になりそうですね。僕はこれが一番飛んだし、とても気に入りました。
どれも寛容性アップでカーボンウッドは完成形に近づいたのかも!
ってことで、テーラーメイドの新作「Qi10」シリーズ3種をコースでガッツリと打ってきましたが、まず全てのモデルで寛容性が確実にアップしていることを感じました。そしてそれぞれに特徴がしっかりと分かれています。
一番可能性を感じたのは、やはり「Qi10 MAX」ですね。1番優しいと言っていいモデルですが、上級者でも使える機能性を備えています。テーラーメイドのカーボンウッドがいよいよ完成の域に達しつつあるのかもと感じさせられるシリーズですね。これはぜひ試打してみてほしいと思いました。
野村タケオ
ゴルフバカイラストレーター、野村タケオ。京都府出身。
様々なゴルフ雑誌やウェブサイト等にイラストやイラストコラムを寄稿。
毎週水曜の22時からYouTubeライブで生放送「野村タケオゴルフバカTV!」を放送中。




