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殿堂入りするほどの名選手、パドレグ・ハリントンは珍事が絶えないうっかり屋さんだった?

佐渡充高のプレミアム・ファイル

2024/04/02 ゴルフサプリ編集部

ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。

GOLF TODAY本誌 No.622/107ページより

甘酸辛苦渋の絶妙バランス 

パドレイグ・ハリントンは超凄腕の“うっかりハリ兵衛”

パドレイグ・ハリントン,07年全英オープン
07年全英オープン初優勝クラレットジャグで祝杯(08年米ゴルフダイジェスト2月号)

昨年3月、パドレイグ・ハリントン(52歳)の世界ゴルフ殿堂入りが決定、アイルランド選手として14年ぶり3人目の栄誉だ。式典は6月に今季全米オープン開催地で殿堂本部があるパインハーストで行われる。
 
07年と08年全英オープン連覇、08年は全米プロ選手権のメジャー3勝など洗練の技術はもちろん、鋭い洞察力を生かし勝利を重ねてきた。ユーモアのセンスも抜群で世界の多くのファンに愛され、彼を慕う選手も多くローリー・マキロイ育ての親的存在としても知られる。いつもオープンマインドで僕も彼の大らかさに気持ちがほぐれる思いを何度も経験、アイルランド訛りの少し甲高い声が忘れられない。

全盛期は何度もタイガー・ウッズを撃破。02年ワールドチャレンジでは猛追ウッズを振り切り優勝。06年日本のダンロップフェニックスでもウッズをプレーオフで破り日本初優勝。彼らの頭脳戦は語り草になった。

が、珍事の多い「うっかりハリ兵衛」でもある。

98年豪州開催ハイネケンオープン最終日は終了3時間前にホールアウト。優勝圏外と判断し出国手続き終えロンドン行きの飛行機を待っていた。が、強風で後続選手がスコアを落としプレーオフ進出の知らせが! さすがに間に合わず勝利のチャンスを逃し3位に。01年TPC最終日18番でグリーン右ラフからアプローチをすると3つのボールが飛び出す珍事! ラフの中にボールが2つ隠れていたのだ。

2000年英ゴルフマンスリー7月号
2000年ベンソン&ヘッジスではスコアカードに「うっかり」サインを忘れ5打差単独首位→失格。(2000年英ゴルフマンスリー7月号)

08年ブリヂストン招待出場で空路オハイオへ向かう経由地シカゴで、全英オープン優勝の大切なクラレットジャグを入れたバッグが届かなかった。不着申請をしている最中に荷物を家に忘れてきたことを思い出し「ごめんなさい」。21年ライダー杯主将就任時にはテレビ出演中に、副主将にルーク・ドナルドを指名したと正式発表前に「うっかり」話してしまった。

パトレイグ・ハリントン,ライダー杯,クラーク,マッギンリー

米オークランドヒル開催04年ライダー杯で欧州圧勝。左からクラーク、マッギンリー、ハリントン(05年PGAツアー オフィシャルマガジン2月号)。

また意外に頑固な一面も。02年終盤DPワールドツアー賞金ランク3位で王座を狙おうと最後の3試合に出場すると発言。すると1位のレティーフ・グーセン(南ア)が「なりふり構わずヤケクソになっている」と揶揄しコース外でも火花散る関係に。互いのスロープレーについても主張し合うなど泥沼化し、見かねたコミッショナーが食事会を設け和解へ導こうとしたが失敗。それが影響してか賞金ランクはグーセン2位、ハリントン4位に。

パドレイグ・ハリントン,ドッグレッグ・フィンガー
「ドッグレッグ・フィンガー」でプレー中に緊急治療。14年4月ヒューストンオープン2日目。15番で左手に異変を感じ治療を受けること約30分、後続組を先にプレーさせる異例の事態に。同組の石川遼も案じていたが、リズムが戻らず31位になってしまった。

コロナ渦は自宅の広大な庭でショット練習に没頭。一昨年、準備万端で50歳を迎えチャンピオンズでも大活躍中。デビュー年にメジャー2勝を含め4勝、昨年も2勝で通算6勝と絶好調はまだまだ続きそうだ。

パトレイグ・ハリントン(愛称Paddy)/プロゴルファー

パトレイグ・ハリントン

1971年8月31日アイルランド首都ダブリン生まれ。ハンディ5の父の指導で4歳からゴルフを始める。ダブリン・ビジネスカレッジ在学中94年にACCA(イギリス勅許公認会計士)資格を取得。95年プロ転向しDPツアー15勝。米PGAツアー6勝、07、08年全英オープン連覇は欧州選手として102年ぶり、08年全米プロ優勝は欧州選手として78年ぶりの快挙。2022年全米シニアオープン優勝など、世界で44勝。23年世界殿堂入りを果たした現役レジェンド。

佐渡充高

●文/佐渡充高
さど・みつたか
上智大学法学部卒業。1985年に渡米し、USPGAツアーを中心に世界のゴルフを取材。2022年まで32年間NHKゴルフ解説者。2023年からBS放送局『BSJapanext』にて「大正製薬 Presents PGA TOUR TV Program PGA ツアー」の解説者に。※2024年からは「フォーラムエイト Presents PGA TOUR TV Program PGA ツアー」。


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