180ヤード打たなければならない時、どのクラブを使いますか?
180ヤードは自信をもってスイングできるかどうか境目の距離。アイアンで言うと5番あたりかと思いますが、残念ながらアマチュアの方のほとんどは5番が苦手で、ほぼ打てません。いまや5番を入れている人の7割は見栄。もしくはレイアップやティショット専用で、ほとんど使う機会がないと言っても過言ではないでしょう。
5番が難しい一番の理由はボールが上がらないこと。十分なスピン量が得られないため、打球がお辞儀をしてしまいキャリーが出ません。上がりやすいモデルもありますが、そうなると飛距離不足になりがち。打ちこなすには適正な入射角とミート率が不可欠で、基本的にはダウンブローにとらえないと打てません。プロでさえ5番と6番の間には深い溝がある。それほど難しいクラブなので、アマチュアの方が打てなくても当然なのです。
180ヤード対策としては、5番アイアンをカーボンシャフトにする、大きめの飛び系ヘッドにする、あるいは7、8番は普通のキャビティで5、6番をポケットキャビティにする、といった方法がありますが、いまはユーティリティ(以下UT)とアイアンの機能差があまりに大きく、アイアンがいくら頑張っても、やさしさの点ではヘッド体積があって重心がフェース面から遠いクラブには勝てません。アイアンが白でフェアウェイウッド(以下FW)が黒だったら、その間にUTを配していかに有効なグレーゾーンを作るかが先決。いまはまさにその過渡期で、スコアアップできている人はそれができています。言い換えれば180ヤードをちゃんと打てる準備ができているわけです。
ヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーが、確実に180ヤード打ちたいのなら、UTを入れるのがベストな選択です。その場合、カーボンシャフトかスチールシャフトかで変わりますが、多くのモデルはカーボンを装着しているので、ロフトは23~24度。ロフトは多めで打球の高さが出ますが、アイアンに比べるとミート率が上がるので意外と飛びます。スチールシャフトであればロフトがちょっと立って22~23度が適当ですが、カーボンが断然楽です。
中にはカーボンだと曲がる人もいるでしょう。そんな人は、ロフトは23~24度のままスチールシャフトにすると、クラブの挙動が落ち着きます。スチールの種類にもよりますが、しなりと捻れはカーボンより圧倒的に少ないですからね。その際はアイアンに入れているシャフトより、ちょっと軽めのものを装着する。目安はアイアンより5~10グラム軽め。同じシリーズのシャフトなら最高です。例えばアイアンに「950Neo」が入っていたら「750Neo」を入れるという具合。これならカーボンシャフトのUTとのバランスが良くなるはずです。
UTについては、自分との相性と前後のクラブとのバランスが取れていれば中古でも問題ありません。その構造上、ドライバーほど進化していませんから、ヘッドなら10年前に名器と呼ばれたモデルでも十分にイケます。ただし、スチールシャフトには注意が必要です。表面はコーティングされていますが、中が錆びていることがあるからです。表面に錆びっぽい斑点があったら、中は高確率で錆びていますから、もし気に入ったヘッドにスチールが刺さっていたらリシャフトしましょう。スチールならそれほど高くありませんから。
蛇足ですが、UTはアベレージゴルファーでも「飛ばせる」、「乗せる」を実感できるクラブ。ある意味、ゴルフというゲームの楽しさを手っ取り早く味わえるので、アマチュアの方はもっと注目し、こだわるべきだと思います。「UTを3本以上入れる」が僕のおすすめ。4本入れてアイアンを7番からにすると、ゲームメイクがガラッと変わってかなり楽になりますよ。
UTはフェース面が見えるからイヤ。という人にはポケットキャビティ
UTがファーストチョイスですが、FWの選択肢もありです。おすすめはロフト20度前後の7W。ロフトが同じでも、全長が長くて重心距離があり、インパクトロフトも寝るのでUTよりボールが上がります。7Wは目立ちませんが万能選手で、アマチュアゴルファーにも合います。モデルもそれほどたくさんないので、逆に選びやすいと思います。
UTを構えた時に、フェース面が見えるのを嫌う人もいるかもしれません。その場合、アイアン型UTという選択もありますが、こちらは結構難しい。扱うメーカーも減少傾向なので、それならフェースが大きめのポケットキャビティがいいでしょう。ポケキャビはロフトが立ったモデルが多いので、いま5番アイアンが入っているなら、それだけ替えてもいいと思います。5番のロフトはマッスルバックで25度前後、キャビティで24度前後、ポケキャビで22度前後といったところ。ロフトが立ったポケキャビですが、トップブレードを厚くするなど、どのモデルも難しく感じない工夫を盛り込んでいますから安心感があります。
ちなみに、5番アイアンを打った時に、そもそも当たらない人と、当たるけれど打球が上がらなかったり飛ばない人がいます。前者ならヘッドもシャフトもオーバースペックなので、ヘッドをポケキャビに、シャフトはカーボンか軽量スチールにする。後者ならヘッドだけポケキャビにする。当たるか当たらないかはシャフトの問題。結果が伴わないのはヘッドに問題があると考えるとわかりやすいでしょう。
スイングタイプで言うと、そもそもアマチュアの方にはナチュラルボーン入射角みたいなのがあります。生まれ持った入射角で、キャリアを積んでもほぼ変わらない、その人にとって一番ボールを打ちやすいヘッドの入り方です。大きく分けると「鋭角」と「レベル」があって、前者はアイアン系、後者はウッド系のクラブと相性がいい。見分ける方法はターフが取れたときに深いか浅いか。ダフった時の状態でもOKです。入射角の違いは結局のところ、どこにヘッドが落ちているかの違いですから、比較的深く、刺さるようにダフる傾向の人は「鋭角」。ほぼターフは取れず、取れたとしても薄く滑るようなら「レベル」です。
吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。





