クラブのスペック一番気にすべきは「長さ」だった?【ダグ三瓶・クラブ選びの超知識】
気にするのはシャフトの硬さ? 重さ? じつは……
クラブ選びのスペシャリスト・ダグ三瓶(みかめ)がアマチュアゴルファーへアドバイスを贈るコーナー。ゴルフクラブを買う際に必要な「正しい知識」を教えてくれる!
なんのために、どのスペックを重視している?
突然ですが、みなさんはゴルフクラブを選ぶ際に、どのようなスペックを気にされていますか?
ちなみに、ゴルフクラブのスペックと言えば、「長さ」、「重さ」、「バランス(スイングウエイト)」、「シャフトの種類」、「ロフト角」、「ライ角」という感じでしょうか?
それぞれにこだわりを持たれる方もいらっしゃいますし、何かを中心に考えられていて、そのために他のスペックが変わっても良いと思っていらっしゃることもあるでしょう。たとえば、バランスを中心に考えている方は、バランス合わせのために長さを変えたりする方もいらっしゃいます。
そういった創意工夫がダメということではなく、何かを変える時にはその目的をハッキリさせてほしいと考えています。
クラブを選ぶ際に目的をもってほしいということを以前お伝えしましたが、スペックを変える際にもその目的をハッキリしてほしいのです。
もちろん、どのスペックもこだわるべきで、どのスペックもないがしろにして良いということではありません。しかし、パラメータは多ければ多いほど迷いやすく、混乱します。ですから、その中心になる考え方がある方が良いでしょう。
クラブのスペックで一番気にしてほしいのは「長さ」
僕の推奨する最も気にしてほしいスペックは「長さ」です!
ここで考えていただきたいのは、そもそも、なんで、各クラブの長さが違っていて、いろいろ長さのクラブがあるのでしょう?
14本のクラブは、それぞれ違う長さで設定されている方がほとんどだと思います。近い長さだったり、同じ長さのものが入っていたりすることもありますが、大半の方が、ドライバーが一番長く、パターが一番短くなっていると思います。
これは単純に、様々な距離を打ちやすくするためと考えていただければと思います。
長い方がヘッドスピードを出せるため飛ばせて、短い方がヘッドスピードは遅くなりやすく、近い距離が打ちやすいとなります。
実際のラウンドでは、様々な距離を打たなくてはなりませんから、「打てる距離の種類」をたくさん持つことで、スコアアップにつながるとも言えます。
そのために、セット内の14本がそれぞれ違う長さになっていると考えてください。
最初のうちは、長さが違ったとしても、なかなか距離の打ち分けができないので、良いスコアで上がれないということになります。
なんで7番と9番では飛距離が違う?
長さの差が、なぜ、距離の差になりうるのか?
では、ここでクイズです! なぜ、7番アイアンと9番アイアンでは、距離の差が出るのでしょう?
簡単ですよね?
まずは前述しましたように、長さの差によるヘッドスピードの差です。それから、もう一つ、それはロフト角ですね!
ロフト角については、また、後日述べさせていただきますが、ロフト角が大きいと、球が上に上がりますので、同じスピードで打ったとしても、球が前に進むよりも、上に上がる方に力が加わるので、飛ばなくなるという仕組みです。
ですが、ここで疑問が浮かんできませんか? ロフトの差さえあれば、それだけで距離の差が出る可能性があるのに、なぜに長さまで違うのか?
それは、やはり、ロフトの差だけでは、距離の差が開かないということを示しているわけです。ということは、距離の差は【ロフトの差+スピードの差】があった方が出しやすい! と覚えてもらえると嬉しいです。
ちなみに、やや上級編になるのですが、コントロールショットのお話です。
コントロールショット、つまりは、同じ番手でいくつかの距離を打ち分ける際、このスピードを意識していただくことが重要になります。
ということは、一番簡単に距離を打ち分けるのは、短く持つことになりますよね!
そして、ここからが肝心なのですが、やはり、ゴルフはフルショットだけでは良いスコアは望めません。が、このコントロールショットのお話の続編で詳しくやります!
打ちたい距離の順に長さが並んでいますか?
さて、では、この長さの差をどう考えていくかです。
みなさん、どういう観点で長さを考えてらっしゃいますか?
多くの方が、メーカーで決められたそのままのスペックで使っているのではないでしょうか? もちろん、メーカーさんは、この辺りの研究をしっかりされており、長さの差を設定されているので、そのままでも大丈夫な方が多いとは思います。
セット内が全部同じメーカーという方は、それでも良いですが、かなりの方が、複数のメーカーを混ぜて使っている場合が多いと思っています。
ですから、ぜひとも、まずは、自分のクラブの長さを確認してみて下さい!
先ほど申し上げた様に、きちんと打ちたい距離の順に長さが並んでいますか? 特に怪しいのが、UT、フェアウエイウッド付近と、ウェッジのあたりです。
アイアンセットはメーカー基準なら、大体は長さがきれいに並んでいますし、番手ごとに違うメーカーを入れている方も少ないと思うのですが、ウェッジにアイアンセットと違うメーカーのものを入れていたりすると、ピッチングウェッジよりアプローチウェッジやサンドウェッジが長かったりしている方をお見受けします。
また、UTを別のメーカーにしているとロングアイアンが極端に長さの差が出ている方という方もいらっしゃいます。
短い距離を打ちたいウェッジなのに、ピッチングよりも長いというのはゴルフを難しくしますし、UTが長すぎて、ミドル、ロングアイアンとの距離差が出すぎてしまっても、また、コースでは困る場面もあることでしょう。
なので、まずは、この長さの差が、きちんと自分の目的に合ったものになっているのか?確認をしてみて下さい!
もしかしたら、もっとちゃんとした差をつけるために、長さの間隔を特定の番手間は広げたり、狭めたりすることも必要かもしれませんね!
極端に飛ばない番手は長くする!
たとえば、結構多いケースで、7番と8番問題というのがあります。
ここの距離の差が開いている人、いらっしゃるようです。たいていの場合、8番が飛ばないということのようなので、ここは思い切って、8番の長さを長くするなんていうのもありかもしれませんね。それから、6番と5番の差が小さい方、こういう方は、思い切って5番アイアンを長くするなんていうのもありです!
これを極端にやると、5番をUTにするなんて言う選択肢にもなりえます。ご参考まで。
ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。
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