ドライバーで飛ばすことを目標にしているうちは90は切れないという現実
吉本巧のゴルフギア教室 第11回
最初はある程度当たりますが、手打ちになるため1ヵ月くらいすると飛距離が落ちはじめます。飛ばなくなると強振しはじめます。アマチュアゴルファーが強振すると、クラブが軽いのも手伝ってトップから腕を使って下ろすので体が全く使えません。すごく振れるドライバーをマン振りしていいショットが出たあとに、2打目でチョロすることがよくある人がいると思いますが、こんな人はクラブの個性がかけ離れすぎている可能性があります。手打ちがほかの番手にも伝染するのがアンダースペック症候群。ですから「振りやすい」には注意が必要。「振りやすい」と感じたら、ほぼ手打ちになっていると思って間違いありません。
話のついでにドライバー選びについて記すと、究極はゴルフ場に持ち込むか、普段練習しているところで試打すること。ショップならアイアンを打ってから打つなど、しっかりウォームアップしてから打ちましょう。今使っているスペックに近いものを打って比較することも大事です。あとは1、2発ではなく何球か打った平均値で評価を下すこと。アンダースペック対策としては、あえてオーバースペックを打って麻痺をなくす。でないと、甘やかされてアンダースペックに傾倒していきます。普段6Sの人が5Rを使ったら絶対打ちやすい。そうなったら麻痺しているということなので、あえて7Xを打って口直しをするわけです。もちろんうまく打てなくて構いません。対極の世界を感じてリセットするのが目的ですから。
90切りのカギはクラブにあり! 90を切るための選び方とセッティングのポイント7
毎年たくさんの新しいギアがデビューするゴルフマーケットで自分に合った一品を選ぶのは至難の業。噂に流され手を出したら大...
フィッティングも、ショップの試打も、たまたま出くわした試打会でも、感覚的には「ちょっと重いかな」くらいのドライバーがいい。これは本当に感覚で構いません。“ちょっと”を含めて「硬い」と感じたらダメ!「ちょっと重くてしなりを感じる」くらいがベストです。少し前に流行った“軽硬”もよろしくありません。ゴルファーを廃人にします。
ということで、常時80台を目指すなら「これを持ったら振り過ぎちゃいそうだな」というドライバーからは卒業した方がいい。ドライバーの目的は2打目が打ちやすいところに打つこと。2打目のナイスショットを生み出すクラブくらいの感覚がほしいです。FWやUTに重きを置くクラブマネジメントを考えているなら、なおさら2打目のスイングを考えておかなければいけません。
イメージとしては、地面からFWを打つモードでティショットを打つ。こうすると2打目に繋がっていきます。クラブ選びにしろ、ショットマネジメントにしろ、次のショットのことを考えて打つのが上級者的な思考。ほかのクラブのスイングを無視して飛べばいいと考えるのは90オーバーの発想です。
5WかUTで2打目を打てればパー5で普通にパーオンできる
さて、この前提でFW選びを考えるときに一番大切なのは、飛ばすことはひとまず置いて、ちゃんとミートできる番手を選ぶことです。そうなると絶対に入れてはいけないのが3W。アマチュアゴルファーにとって3Wだけはいまだに難しい。シャフトが長くて当たりたりづらいし、当たっても球が上がってくれないので結局飛びません。また、球が浮いて、足場がフラットで安定していて、というように、うまく打てる条件が揃わないと打てないため、使えるケースがかなり限定されます。バッグに入ってはいるものの、ほぼ使わないことが多い人が大半のはず。これはもったいない話です。
基本的な考え方としては、例えばパー5の2打目で「ちょっとでもグリーンに近づけたい」という心理が働いたら、それも90オーバーの発想。だからマン振りしたりFWを使ったりすることになるわけです。2打目を打つにあたって、ティショットが10ヤード遠くに飛ばせたら有利になるのかといえば、決してそんなことはありません。特に3打目の残り距離が100ヤード前後のホールでは大して変わらないのです。
ドライバーとFWのシャフト重量差は+10グラムが正解? それとも同じ重さでいい?
「ドライバーもFWも5・Sのシャフトを使っていい感じでしたが、クラブに詳しい人から『FWのシャフトはドライバーより重くしな...
それなら2打目地点では確実に打てるクラブを使い、次打が打ちやすいポジションに運ぶ方がずっと重要。アマチュアゴルファーのみなさんが普段ラウンドするゴルフ場のパー5の2打目なら、距離的にはUTで大丈夫です。ティショットがそこそこ打てて、2打目でUTを普通に打てれば400ヤードくらいは稼げますから、長いパー5でない限り3打目の残りは130ヤード以内に収まるでしょう。そこから3打で上がればパー、4打でもボギーですから90切りには十分。バーディが取れる可能性もあるわけですからね。
何が90切りの足を引っ張るかといえば、大体が大叩きの“ビッグイニング”。「飛ばしてやろう」だの「グリーンに近づけてやろう」からのダフり、チョロ、ヒッカケ、スライスが引き金になって、とっ散らかってしまうことが多い。FWを入れるとしても、比較的やさしく打てる5W1本で十分だと僕は思います。
吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。
スピンの効いたバンカーショットは「セットアップ8割・打ち方2割」
グリーン周りのバンカーから出るには出るが、ワンパット圏内につかない、というあなたは、策を弄し過ぎているかも。プロがキ...
大叩きした後も「ボギーペースに戻せばいいや」と謙虚に考えることで自分の流れが取り戻せる
コースマネジメントのコツは、いいショットを沢山打つことではない。OBや池ポチャなど0点のショットを減らし、50〜60点くらい...
フェアウェイバンカーからのショットで、大トラブルになりかねないクラブ選択とは?
90切りを達成する条件の一つに、自分にとって都合のいい状況をなるべく多く作り出すことがあげられる。ミスが出にくいクラブ...