ドライバーが曲がる? それならシェフラーみたいに振りちぎってみたらいいんじゃない
逆上がりできないティーチングプロのゴルフが上手くなる話|第71話
写真/ゴルフサプリ編集部、GettyImages
右足が思いっ切りズレるのは良いのか!?
こんにちは。逆上がりの出来ないティーチングプロ名取です。
今年のマスターズトーナメントは正直、松山選手にめちゃくちゃ期待しておりました。結果は残念無念でしたが、本人が一番残念なのは間違いないので私達は次に向かっていく姿を応援し続けるとしましょう。タイガーウッズ選手も、予選通過した選手の中では最下位でしたが、彼がいるだけでフィールドの空気は全く違いますね。
さて、そんな中、圧倒的な強さを見せて2度目のマスターズチャンピオンに輝いたのはスコッティ=シェフラー選手です。現世界ランキングNo.1の強さを見せつけました。どこに強さの秘訣があるんでしょうか。
シェフラーと言えば、安定したショット力に定評があります。PGAツアーでのスタッツを見てみましょう(原稿執筆時)。
1位 FedExランク
1位 賞金ランク
1位 (68.8)平均ストローク
1位 (74.5%)パーオン率
1位 (5.43)平均バーディ数
1位 (31.1%)パーブレーク率
76位 (298yd)飛距離
14位 (73.5%)FWキープ率
12位 (90)トータルドライブ
22位 (28.1)平均パット数
160位 (41.4%)サンドセーブ率
8位 (67.6%)リカバリー率
20位 (6)イーグル数
10位 (57,658,464$)生涯獲得賞金額
このスタッツを見るといかにシェフラー選手が強いかがわかりますね。平均ストローク・平均バーディー数が1位って、結局圧倒的にスコアが良いわけですし、しょっちゅうバーディー取るんだから一緒に回っている人は「またバーディーか…」って、半分呆れちゃうでしょうね。
飛距離は76位でも、フェアウェイキープ率が高くて14位だから、2打目をフェアウェイの良いところから打って、ピッタリつけてバーディーっていうのが勝ちパターンってことです。数値から読み解けるのは、アイアンの精度が物凄いというのがシェフラー選手の一番の強みだということですね。
ショットクオリティが高い上に、最近パターを変えて平均パットも改善されてきているから、これはもう全盛期のタイガーのように手が付けられない状態になっている印象在りますよね。マスターズでも、安定感は断トツでした。
そんなシェフラー選手は、ハッキリ言って綺麗なスイングじゃないんですよね(笑) タイガー・ウッズ選手はだれが見ても美しいスイングで、それこそアドレスから世界一美しく、そこにパワーが加わって芸術ともいえるスイングだったわけです。誰が見ても【美しいものは強靭である】という格言がふさわしいと思えるものです。ロリー・マキロイ選手も同様に美しく、タイガーウッズ選手は息子に「ロリーのように打て」と教えたそうなんです。
でも、シェフラー選手のスイングにはその美しさはありません!でも圧倒的に曲がらず、ピンに向かっていくアイアンショットはどう見ても世界一のスイング。そこが全世界が悩ましく不思議に思っていることでもあると思います。
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要は振りちぎれ!!ってことです
シェフラー選手のスイングを見ると、ダウンスイングの途中から左足も浮いてるし右足はスライドして後ろに行っちゃってるし……とくに右足のスライドは中々見ない動きだから違和感満載で、真似しようとしても難しい不可思議ともいえる動き方をしているように見えますが、実はそんなに不思議な動きじゃありません。
ボーリングの投げ方をやってみれば「あ、これか!」と気づくと思います。
あの重いボールを投げる時に、右足(右ひざ)が前に出てしまったらどうなるでしょうか?!ボールを下ろしてくる位置に右足が突き出てくるようになるので、それを避けて腕が右前にすっぽ抜けてしまいます。間違いなく右ガーター行きです!!
右足を後ろに引くことで、手の通り道を作ってあげてスムーズに腕が振れるようになります。股関節にしっかり体重が乗って、右足を引くことで重いボールを振る手の遠心力とバランスを取るような形が出来るので体の軸もブレません。
ボーリングが上手い人は、投げた後に頭が真っすぐの状態で、体勢を全く変えず腕だけ「ぶらんぶらん」と脱力して動かしていますよね。あれがゴルフで言えばフォローなんですけど、ゴルフでも脱力してマン振り出来ている人は、背中の方までクラブを振った後でアドレスの方に手を戻してくることがあります。腕に力が入っていると実は元の位置に戻ることは出来ません。打った後にガチっと体が固まっちゃって、左肩の前あたりで腕が止まっちゃう人が多いです。本気で振りながらも脱力できていると、腕が元の位置に戻ってくる「ボーリング打法」が出来ます。
シェフラー選手は、あの右足のスライドで体が開くのを抑えながら思いっ切り腕を振っていますね。今回は、諸説あるとは思いますが「ボーリング打法」という事にしましょう。ボーリングの腕の使い方のように縦に上げて下ろすのに近い、クラブを縦に使うスイングなので、飛球線に対して腕の振りのラインが近いからボールが曲がりにくくなります。
曲がる心配がない形を作っているから、思いっ切り振れます。そして、右足のスライドでうまくバランスを取っているから、最大限に腕の振りに任せて体も回しています。
よく、レッスンでもお話することがあるのですが、体は回せば回すほどスイング軌道は安定してボールは真っすぐ飛びます。それは、体の大きな筋肉でバランスを取るから出来る事だからですね。腕だけで振っていると軌道のブレが大きくて曲がりも大きくなります。
シェフラー選手みたいに、振りちぎってもバランスが崩れないというのは最強のスイングですね!!実は初心者の皆さんにも取り入れて欲しいポイントが満載のスイングなんです!!
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真似するポイントを絞ること
真似して取り入れて欲しい事は、縦に振ることです。シェフラー選手のスイングを後ろから撮影したのを見ると、左腕が急角度で縦に使っているのが良くわかります。マキロイ選手なんかと比べると一目瞭然です。
さらに、クラブヘッドが頭の方に来てしまって、一見オーバースイング気味に見えますが、正面から撮影した映像などで確認すると理想的なトップポジションでシャフトが地面と平行になる深いトップから、少し体を左にスライドさせています。通常なら一緒に胸も開いてしまって、右ひざも前に出てアウトサイドインに振り下ろしてチキンウイング発生~!という警報が出そうなところを、あの右足を後ろに引く動きによって手の通り道が確保できている&体が開かない強制力を作っているので真っすぐ縦にクラブが振れて、飛球線をなぞるようなダウンスイングが出来ています。
この縦振りは、本当におススメ。レッスンをしていて「これは苦労するぜ・・・」と感じるのは、とにかく体に左腕を引っ付けて横振りをしてしまう人なんですね。どうしても飛球線とスイング軌道のずれが大きいから、曲がる・・・。以前記事でもご紹介した、分度器スイングになりやすいんです。
縦に振るメリットは、曲がらないこと。デメリットは、遠心力を上手く使いにくいので飛ぶイメージが湧かなかったり、ヘッドから動かしちゃうとダフリやすいこともあります。
まず、しっかり腕を振ってボールを捉える練習が必要です。ティーアップしてアイアンで左に飛ばす練習をすると腕の素直な動きが身に付きます。ですが、もちろん縦にテイクバックしていないと意味ないので、動画などを撮影して、シェフラー選手のテイクバックの位置を真似してみると良いですね。
手元と頭が近く、アドレスでも体と手元が近めの方が縦に使いやすいです。特に、アプローチはクラブを縦に使えると、バックスピン量が安定します。ボールを乗せて運ぶ感覚が強くなりますから、ショットにももちろん好影響ですね。
世界ナンバーワンの選手の真似をすれば、絶対にレベルアップは間違いなし。右ひざが前に出てプッシュアウトしている人は、シェフラー化を図ってみてください!!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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逆上がりできないティーチングプロ(ペンネーム)
世田谷区在住。世田谷区喜多見で<ゴルフのある人生を共に歩もう>をテーマに、インドアゴルフ練習場EndlessGolfを運営しています。ティーチングプロと不動産業のリアル二刀流。一生ゴルフで感動し続けられる仲間をたくさん作りたい想いの溢れる40代です。
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