選択肢は7番ウッド、ロフト19度のユーティリティの2つ
一口に「200ヤードを打つクラブ」と言っても用途によって適したクラブは変わります。例えばパー5の2打目でレイアップする場合とグリーンを狙う場合。前者ではそれほどこだわらなくてもいいですが、後者ではある程度打球の高さが欲しい。低い球だとグリーン手前のバンカーにつかまったり、グリーンをヒットしても止まらないので、そういったことを踏まえて選ぶ必要があります。
その前提でドライバーのヘッドスピードが40m/sのゴルファーが、ヘッドスピードを目安に選ぶなら選択肢は2つ。7番ウッド(以下7W)かロフト19度のユーティリティ(UT)です。7Wは[キャリー190ヤード+ラン10ヤード]、[UTはキャリー180〜185ヤード+ラン20〜15ヤード]のイメージ。グリーンに向かって打つケースを考えると、前述にしたように球が上がらないと落下角度が作れないので7Wが向き、レイアップならUTが向きます。
自分のプレースタイルを考えた時に、200ヤード先のグリーンを狙うことがよくあるなら7W、なければUTという判断でいいでしょう。行きつけのコースで、距離がちょっと足りずにグリーン手前のバンカーにつかまることがあるなら、7Wにすることでクリアできる可能性があります。
メーカーによって多少違いますが7Wのロフトは20度前後。UTよりシャフトが長いので飛びますし、お尻が長いヘッド形状なので重心深度があるぶんボールが上がります。レイアップする場合でも使えないわけではありませんが、ちょっと怖いところがあります。例えばパー5で刻む時は早めに地面に着弾してくれた方が、風など不確定要素の影響を受けにくいので安心なのですが、その点7Wだと球が上がりすぎる。勝負のショットではなく、どちらかと言えば守りのショットなので安全優先でいきたい。そうなると19度UTの方が早く着弾してランが出るのでリスクが少ないのです。
ロフト19度のUTを地面から打つのは結構難しい
ただ、19度のUTを地面から打つのは結構難しい。7WもUTもトータル飛距離は同じですがUTだとミート率がガクンと落ちます。僕は「ロフト20度のカベ」と呼んでいますが、UTではロフト20度台と10度台で難易度が大きく変わります。22度と25度ならやさしさのギャップはさほどなくどちらも打ちやすいですが、19度と22度になるとギャップが段違いに大きくなって19度が当たらなくなるのです。
原因はクラブが長いのでミート率が落ちる、ロフトが立って重心深度も浅いので打球が上がりにくい、といったこと。同じロフトのFWとUTでシャフトも同じ長さならFWの方が断然やさしいですから、もし7Wも19度のUTも持っておらず、どちらにしようか迷っているなら7Wをおすすめします。もちろんUTが好きで19度でも打ちこなす自信があればその限りではありません。
すでに19度のUTを使っていて、安定的に200ヤード打てない人もいるでしょう。そんな人はクラブを短く握るといい。親指の長さぶんくらいグリップエンド側を余らせて握ると、1番手程度短くなってミート率が上がります。当たらない一番の原因はミート率の低さですから、短く持ってちゃんと当てること。ミート率が上がるだけでも、かなり飛ぶようになると思います。
シャフトを換える手もあります。ちょっと軟らかめにすると球が上がりやすくなります。実はこうしている人が増えています。UT3本体制が当たり前になりつつある昨今、1本はロフト10度台、2本は20度台にして、前者にはちょっと軟らかくて軽めのシャフトを入れる。こうすると地面からでも打ちやすくなります。シャフトの種類に関して言えば、10度台はウッドと同じか同系列のモデル、20度台の2本はアイアン寄りのシャフトにする。近いうちにUT4本体制が主流になるかもしれませんが、そうなってもウッド寄りとアイアン寄りに分けてシャフトを考える。人によってはアイアン寄りのUTはスチールシャフトでいいかもしれません。
わかりやすいのは重さで、ウッド寄りは60グラム台、アイアン寄りは80グラム台などと考えてもいいでしょう。ヘッドスピード40m/sの人なら、ドライバーのシャフトの重さプラス10〜15グラム。ドライバーが60グラム台なら70〜75グラム、50グラム台なら60〜65グラム。その下のUTはそこにプラス10グラムという感じです。クラブの総重量まではわからないと思うので、シャフト重量で考えるのが一番わかりやすいと思います。同じUTでもそれぞれ役割が違うので、そこはきっちり差別化した方がゴルフはしやすくなるはずです。
200ヤード・パー3のティショットならUTに分がある
同じ200ヤードでも、ティショットでは19度のUTでも十分に使えます。19度のUTが難しいのは球が上がらないからですが、それは地面のボールを打つから。ティアップすれば一転、上がりやすくなるので200ヤードのパー3でもグリーンに止められると思います。「19度を入れているけど安定しない」という方は、ティショット専用に回すのもアリです。
もちろん7Wでも打てますがティショットは結構曲がります。もともとボールが上がりやすいところにもってきて、ティアップするとさらに上がる。結果的にすくい打ったような球になってしまうことがあって、ティアップとはイマイチ相性がよくありません。ティアップするなら低く、ボールの下をくぐらないように打つこと。ボールが上がり過ぎてショートする可能性もあるので、ティアップして打つならUTの方がいいかもしれません。
200ヤードはアマチュアゴルアーにとって憧れの距離。プロでも200ヤード先のピンに絡めるのは無理ですから、10回に1回うまくいけばスゴいです。それを踏まえ、自分のプレースタイルを考えたうえで7Wか19度のUTかを選ぶことが大事ですが、打ちやすくて汎用性が高いという意味で、僕は7Wをおすすめします。目立たず認知度も低い7Wですが、めっちゃ有能なクラブ。迷っているアマチュアの方は絶対に使った方がいいと思います。
吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。




