「全英オープン」の開催コースは14
「全英オープン」が開催されるのはスコットランド、イングランドと北アイルランドにある14コース と決まっています。今年の舞台は1878年にオープンしたロイヤルトゥルーン。今回が10回目の「全英」となります。
そして、前々回の2004年にこのコースで開催された大会を制したのは、日本ツアーで12年もプレーした経験のあるトッド・ハミルトンでした。
そのハミルトンは2003年には今年と同じJFE瀬戸内海GCで開催された「ミズノ」で優勝しています。その時の言葉で今でも非常に印象に残っているのが「Let the game come to you」です。
「ゲームの流れが来るのを待とう」、というような意味でしょうか。
日本ツアーで12年過ごした全英覇者が胸に刻んでいた言葉
「全英」に勝ったのはこの翌年ですが、メジャーの大舞台でアーニー・エルスをプレーオフで破り、1打差の3位にはフィル・ミケルソンもいた超大物たちとの戦いを制することができたのは、決して身の丈以上のゴルフをしなかったことが要因だったと思います。
使い古された表現ですが、「全英」では「一日の中に四季がある」と言われるほど気候の変化が激しい、過酷なコンディションの下でプレーします。
さらに今年は全英史上最長のパー5(6番、623ヤード)。123ヤードながら「ポステージスタンプ(郵便切手)」の愛称通り非常に小さいグリーンが世界的にも有名な8番パー3(天候によっては99ヤードでプレーされる可能性もあるそうです!)すぐ横を轟音とともに頻繁に列車が通過する「Railway」(11番パー4)といったホールをプレーしていると平常心を失ってしまい、普段やらないようなプレーで流れを自ら壊してしまいそうです。
ハミルトンは「無理なプレーをすることで流れを壊してしまうようなことがないようにしている」とも言っていました。コースセッティングや気象条件があまりに日本と違うのが「全英」ですが、だからこそ日本で育って、ロイヤルトルーンで頂点に立ったハミルトンの言葉を思い出してほしいものです。
日本で転戦していた当時のハミルトンがしていたことは?
イリノイ州出身でジュニアや大学時代には活躍していたもののPGAツアーの出場資格が得られなかったハミルトンは1988年からアジアツアーを。その後92年から日本ツアーを主戦場にしていました。
この頃は今のようにインターネットが発達していないので、オフタイムにパソコンやスマホで動画などを見て気分転換することもできません。故郷アメリカに国際電話をしようにも非常に高額。
「ホテルに戻ってテレビを見ても、何を言っているのか全くわからないから、ひたすらコースで練習していたよ」と語っていたハミルトン。
10年超の期間も「Let the~」の心境で、流れがくるのをずっと待ち続けていたのでしょうか。「ミズノ」で勝った03年オフに実に8度目の挑戦でPGAツアーのQTを突破すると翌年3月の「ホンダクラシック」で初優勝。そして7月の「全英」でメジャーチャンピオンになりました。
この時、38歳。長い苦労の末にメジャーで頂点に立った人の言葉は、一般ゴルファーも参考にできそうです。
(取材・文/森伊知郎)




