バウンスはボールをクリーンに打たないためにある
今回のテーマはウェッジのバウンス角です。ウェッジを選ぶ場合、ロフト角を目安にする人が多いと思いますが、打ちやすさや、思い通りの球が打てるかはバウンス角によっても変わります。ただ、打ちやすいか否かは主観的な判断になるので、ここでは物理的に「いかにボールをクリーンに打てないか」という観点からバウンス角を見ていきます。今使っているウェッジのバウンス角を確認し、内容と対比させながら読んでいただければと思います。
バウンスとはウェッジのソール部分にある出っ張りのことで、出っ張りが大きいほどバウンス角は大きくなります。バウンスが多くなるに従ってインパクトでクリーンにボールを打てなくなりますが、代わりに2つの効果が見込めます。1つはヘッドをボールの下に潜らせやすくなること。もう1つはヘッドが地面を滑りやすくなることです。
2つの相乗効果により、誰でもフワッと上がるボールが打てます。グリーン周りのラフやバンカーから、近めのピンに向かってフワッとしたボールを打ちたい時などは、バウンスがあることでスムーズに対応できるようになります。ハナからボールを直接打たないバンカーショットは、バウンスが多いほどやさしくなる。バウンスが大きなウェッジほどクリーンにボールを打ちにくい、と言いましたが、そもそもクリーンに打たないためにあるのがバンスなのです。
ウェッジのバウンス角は、8度、10度、12度、14度の4種類が一般的です。ちなみに、アイアンセットに含まれてセット販売されているアプローチウェッジ(以下AW)やサンドウェッジ(以下SW)では、バンスが少なめに設定されています。なぜならフルスイングして直接ボールを打つことを想定して作られているから。ロフトは多めでもバウンスは少なめですから、アイアンセットに組み込まれているウェッジだとフワッと上がるボールは打ちにくいといえます。
一方、セット売りでない単品のウェッジは、基本的にはロフト角別に売られています。ロフト角は偶数で2度刻み、モデルも本数もたくさんあります。こちらはバンス角が多めの設定です。ロフトが同じでも、アイアンセットに入っているウェッジと単品のウェッジでは、後者の方がバウンスが多いのです。もちろんSWも同じです。
上達していく過程では、誰しもフワッとしたボールを打つ必要が出てきますが、そんなケースでは、セットに入ったウェッジのままだと役不足になる可能性が大きい。100切りが目標なら問題はありませんが、90台以下を目指すなら単品ウェッジから選ぶべきです。バンカーやラフからグリーンに乗せるのはもちろん、コントロールショットも打てるようになります。ピッチングウェッジ(以下PW)より下のウェッジは、自分で選ぶということですね。
さて、そこで重要になるのがバウンス角です。ここからはバウンス角ごとに、
1 バウンスの度合い
2 ボールをクリーンに打てるか
3 使える状況
4 相性がいいロフト角
の4ポイントを見ていきます。
バウンス8度以下
1 バウンスはごく少なめ
2 バウンスが邪魔にならず問題なくクリーンにボールを打てる
3 フェアウェイやラフはもちろんベアグラウンドでも使える
4 46、48、50度といったロフトと相性がいいが、これらはPWに近いフルスイング用のロフト。フルスイングではクリーンにボールを打てた方がいいので、バウンスは少ないのが好ましい。例えばPWの下に48度のウェッジが入っている人はバウンスが8度以下ならOK
バンス9〜10度
1 バウンスは少なめ
2 ぎりぎりクリーンに打てるが、人によってはバウンスが邪魔に感じてクリーンに打てない
3 バウンス9度以上は使える状況が限られる。ベアグラウンドではボールが浮いていないので、物理的にバウンスが邪魔になって打てない。薄芝や枯芝でも難しく、たとえ花道でも短く刈り込まれてボールが沈んでいたら使えない。また、練習場でも使い込まれて擦り減ったマットや毛足の短い人工芝だとバウンスが入っていかないので打てない。総じてバウンス9度以上では、ヘッドが地面に弾かれたり、リーディングエッジが浮いた状態でインパクトするのでトップやチョロ、あるいはチャックリも出る。ボールの下にヘッドを入れることができない状況で練習してうまくいかないからと、スイングを疑うアマチュアの方が多いので気をつけた方がいい
4 ロフト50、52、54度が合う。フルスイングではなくコントロールショット用に使うウェッジなので、例えば中途半端な距離で100%ではないスイングをする場合に相性がいい。ただ、このあたりになると好みも出てきて、コントロールショットでもクリーンに打ちたい人もいるので、その場合はバンス角を8度以下のするのもあり
バウンス11~12度
1 標準的なバウンス
2 バウンスが邪魔になってクリーンに打つのは難しい。完全にヘッドを滑らせながらボールの下を潜らせるウェッジ
3 同上
4 ロフトは54、56、58度が合う。グリーン周りのバンカーやラフで活躍するウェッジ。フワッとした球を打ちたいことが多くなるので、多めのロフトと相性がいい。逆にこれらのロフトでもバウンスが足りないとバンカーショットがうまくいかなかったりする
バウンス13〜14度
1 バウンス多め
2 クリーンに打つのは無理
3 同上
4 ロフトは58、60度、まれに62度も。基本的に大きなロフトと相性がいい。バウンスをしっかり使い、深いバンカーやラフ、すごくヘッドをボールの下に潜らせて確実にフワッと上げるためのウェッジ。限られたシチュエーションでしか使えないので汎用性に劣る。一昔前はプロもこの手のウェッジを使っていたが、最近減っているのは使える状況があまりに限定されるから
このようにバウンスが9度以上になると、どんどんボールをクリーンに打てなくなります。多かれ少なかれ、だるま落としのようになることも多いので飛距離が安定しません。これはスイングが大きくなるほど顕著なのでフルスイングには向かない、いや、フルスイングするべきではないのです。
単品ウェッジの場合、組み合わせがたくさんあるので選ぶのが大変ですが、自分の目的がはっきりしていれば必ずそれにあったバウンスとロフトの組み合わせがありますから、自分のプレースタイルを振り返って考えてみるといいでしょう。ウェッジで同じようなミスを繰り返している人は、バウンスとロフトの相性が悪い、あるいは相応しくない使い方をしているかもしれません。
吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。





