クラブセットの観点から見ると今のドライバーは長すぎる
キャロウェイからヘッド体積340ccの、いわゆるミニドライバーが出て、テーラーメイドと揃い踏みになりました。僕はこのところ、ずっとテーラーメイドのバーナーミニを気に入って使っています。フェアウェイが狭いゴルフ場や、飛ばさなくていいホールで、プレースメントするためのクラブとしてとても重宝するからです。
バーナーミニのシャフトは何の迷いもなく70グラム台のXで、長さは44インチです。この数字だけを見ると重くて硬い印象で、よほどのパワーヒッターじゃないと使えないと、みなさんは思うでしょう。実際、45インチ台だとこのシャフトは重くて硬くて、全く振り切れなくて、正直、持て余していました。でも、1インチ短い44インチでバーナーミニに刺さっていると、とても振りやすく、硬くて打てない感じなど皆無。練習しながら「同じシャフトなのに1インチ程度短くなっただけで、人は打ちやすく感じたり、打ちづらく感じたりするんだなぁ」と面白く思っていました。
そんな折、ブリヂストンとタイトリストでクラブ開発やプロ担当など、あらゆるジャンルで活躍され、今は独立されているダグ三瓶さんを『試打ラボしだるTV』にお招きしてお話をうかがう企画がありました。ゴルフサプリの中にも三瓶さんのコラムがあるので、ご存知の方も多いでしょう。
その中で三瓶さんが「現代のドライバーのシャフトは、軽くて長くて軟らかいセッティングになっています」とおっしゃられました。何もなければ「そうですね」となるところですが、その時の僕は三瓶さんの言葉に敏感に反応しました。僕が振りやすいと感じて使っていたバーナーミニは、三瓶さんがおっしゃったのとは真逆の、”重くて短くて硬い”ドライバーだったからです。
「現代のクラブはドライバーだけが突出して長くなっている」とも三瓶さんはおっしゃいました。確かにそうで、例えばアイアンは2000年頃には3番で38インチ前後だったと思いますが、今は39インチ合わせで、全体的に0.25~0.5インチ程度長くなっているだけです。フェアウェイウッドにしてもそれほど長くなってはいません。
それに比べると、かつて43~44インチくらいだったドライバーは、今や45.5インチが標準で1インチ以上長く、46インチでさえ普通になっています。アイアンやフェアウェイウッドに比べるとすごく長い。クラブセットを俯瞰して見ると、ドライバーだけが突出して長くなっていて、車のトランクにも入れにくいくらいなのです。「人にはモノを扱う際に、扱いやすい長さがあると思うんです」とも三瓶さん。まったくその通りだと思いました。
”短・重・硬”のドライバーでも飛距離は落ちず、何より曲がらない
三瓶さんからは重さについても言及がありました。簡単に言うと「みんな軽くしすぎ」。一般的にアマチュアの方は、体力が落ちてきた、もうちょっと飛ばしたい、などの理由でクラブを買い換える時に“長く、軽く、軟らかく”の方向で解決しようとします。
ここでゴルフのことは一瞬忘れて、先端部が重い、軽く長く軟らかい棒と、重く、短く、硬い棒なら、どちらが先端を目標に当てやすいか考えてみてください。ゴルフをやらない人なら明らかに後者のはずです。ゴルファーはある程度練習を重ねて器用さを身につけているためで前者でも打てるようになっていますが、基本的には、“短・重・硬”の方が断然扱いやすいのです。
企画の中でいただいた数々のお言葉に感銘を受けた僕は、かつて使っていたけれど、体力が落ちたとか理由をつけて使わずにおいた70グラム台の硬いシャフトを引っ張り出し、とりあえずドライバーに装着しました。
たまたま翌日がラウンドだったので、まずはちょっとずつ短く持って打ってみたところ、あら不思議、意外と飛距離が落ちません。何より曲がらない。ミート率が高くて、打球が安定していることに気づきました。元の長さに戻して打ってもみましたが、とたんに振りづらくなって曲がりはじめます。
ますます面白いと思って、どれくらいの長さがベストなのか細かく試行錯誤してみました。すると、どうやら44~44.5インチくらいで持っている時が最もいいところに当たる確率も高くて方向性がいい。飛距離も落ちず、何なら普通の長さで持った時より飛んでいることさえあったのです。
それをもとに、Qi10、Ai SMOKE、G430などのヘッドで本格的に“短・重・硬”のドライバーを作ってみました。シャフトは切った方がいいのか、短く持った方がいいのか三瓶さんに相談したところ「若干違いは感じると思うけれど、基本的にはどちらでもいい」ということでしたが、使わず眠っていた70グラム台のシャフトということもあり、僕は思いきってカットしました。すぐにこれらのドライバーで打ってみたところ、最初は一時的にクラブスピードが落ちました。でも、すぐ元に戻り、今は短くする前とクラブスピードは変わりません。
ただし、それ以外では変わったことがたくさんありました。そしてそれは、どれも自分がすごく欲しかったことばかりでしたが、これについては来週のこのコラムで紹介します。
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。





