“ガラスのグリーン”を攻略するのはどんなパター?

今年の「マスターズ」を現地で生観戦して、ボクが注目していたことの一つに「世界の名手たちはどんなパターを使っているんだろう?」ということがあり、とても興味深く見ていました。なので会場では、練習グリーンに長い時間いることが多かったんです。
どうしてパターに目を向けたかというと、会場となるオーガスタナショナルGCのグリーンは「傾斜がキツい、スピードが速い」と難しいことで有名だから。まさに“ガラスのグリーン”であり、TⅤではなかなか分からないかもしれませんが、アンジュレーションがかなりついています。そういう厳しいコンディションのグリーンで使われるパターこそ、選手たちが今いちばん信用しているパターといえるんじゃないでしょうか。

“過半数”を獲得したマレット型。しかも中尺が台頭する

“マスター”たちが使うパターを私なりに観察した結果、1個1個カウントしたわけではありませんが、全体のうち6割くらいの選手がブレード型ではなくマレット型を使ってました。もはや「プロはブレード型」という時代ではなくなってきたということです。そして、6割いたマレット型の選手たちの中で半数近くが、長尺というより中尺=ベリーパターを使っていた。そのことが鮮烈でした。

マレット型や中尺のパターが広まった理由について、ボクなりの予想を申し上げましょう。今やパットの分野でも弾道計測やストロークの分析がスゴく進んでいる中で、ストロークを安定させる、インパクトを安定させるために有効、ということではないでしょうか。マレット型のヘッドと中・長尺はどちらも、ストレートなストロークがしやすいという点で相性がいいんです。

長めのパターはオートマチックにストロークしやすい

テクニカルな話になりますが、パッティングスタイルのトレンドの一つとして「シャフトプレーンをスクエアに動かす」というロジックがあります。ただし、ヘッドをストレートに動かすわけではありません。パットにはストロークの支点とライ角があるので、なだらかなイン・トウ・インの軌道になるはずなんです。

パターのライ角がアップライトになればなるほど(ルールではパターのライ角は80度以下)、吊るようなカタチになってタテ振りに近くなるぶん、イン・トウ・インの度合いが少なくなります。逆に、ライ角がフラットになるほど、イン・トウ・インが強くなるということ。

そういう点で考えると、長めのパターでアップライト気味に構えられた方が、フェースの開閉が少なくてストレートな軌道に近づきます。その方が、難しくて速いグリーンでも、オートマチックに安定的にストロークしやすい。マレット型&中尺のパターがトッププレーヤーから支持されるようになったのは、そういう理由があるんじゃないかと思いました。

鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。