初Vはメジャー。それが1年後には絶不調に……

川﨑はルーキーイヤーだった2022年に9月のメジャー「日本女子プロ選手権 コニカミノルタ杯」でツアー初勝利を挙げると、翌月の「マスターズGCレディース」でも優勝。下部のステップ・アップ・ツアーに参戦していたシーズン序盤からの大躍進で強烈な印象を与えました。

ところがそれから1年もしない昨年6月の「ニチレイレディス」あたりから深刻な不調に陥ってしまいます。

5位になって復調を感じさせた今年6月の「ニチレイ」までの33試合の成績を見ると、半数超の18試合で予選落ちでした。

泣き出すほど追い詰められても揺るがなかったクラブへの信頼

この頃には「コースに行きたくない、と泣き出すこともあった」と優勝会見では打ち明けました。

まさに藁にもすがりたい気持ちだったのでしょうが、そんな時でも「クラブセッティングを変える気にはならなかった」とも話したことに注目です。

これはアマチュアもプロも同じなのかもしれませんが、ちょっと調子が悪い。アマチュアだと一度の大叩きをクラブのせいにして、クラブを新しくするケースが良くあります。

不調時にクラブを替えるとこんな問題が……

この対処法をすると、どうなるでしょう?

例えばスライスがひどくなった人が、捕まりのいいクラブにすると症状が治まるかもしれません。ただし、調子が戻ってきたら、引っかけばかり出るようになってしまうこともあり得ます。

また、さらに調子が悪くなると、それがスイングなどゴルファーに原因があるのか、スペックが合っていないなど、クラブ側に問題があるのかわからなくなってしまいます。
こうしているうちに、いわゆる「迷子」になってしまうとゴルフはボロボロです……。

クラブを新調したのに調子やスコアが悪くなったことが思い当たったら、それが本当に正しかったのか検証してみる必要がありそうです。

「スイングにだけ」着目

川﨑のドライバーとフェアウェイウッドは2020年モデルの「SIMグローレ」(テーラーメイド)です。ジュニア時代に使い始め、2勝した2020年もシャフトを含めてそのままのスペックで使い続けています。そして絶不調の時も「2年前に優勝した時のクラブは変えずに、スイングだけ着目して復調に向けて取り組んでいた」そうです。

それが正しかったことは今回の勝利が証明しています。

「良いものがあったら替えようと思うけど……」

トッププロですから、望めば最新のクラブを使うことはできます。
それでも川﨑は「良いのがあったら替えようと思うけど、あれに勝るものがない。信頼を置いているので手放しにくい」と言います。

クラブやシャフトの特徴。他のスペックとの違いを感じられる優れた能力があるから、これまでの活躍を支えたクラブを使い続けることに迷いがなかったのでしょう。

その判断に間違いがなかったと確信が持てたことで、今後さらに活躍してくれそうです。


(取材・文/森伊知郎)