歓喜の瞬間に母親がいたのは軽井沢ではなく…

3打差の単独首位から出た河本の最終日はバーディなしでボギーひとつの「73」と苦しいゴルフでした。

それでも1打差で逃げ切ると歓喜の涙。
しかし、優勝の余韻に浸ることなく
「米ツアーに再挑戦したい気持ちもあります。メジャーにも勝ちたいです。4年後のオリンピックにも出場できればと思います」とすぐに次の目標を掲げた。

男子ツアーの「横浜ミナトチャンピオンシップ」に出場していた弟の力は、自身のプレーを終えた直後に姉のウィニングパットを関係者のスマホでリアルタイムで目撃。 「よっしゃー!」とガッツポーズすると「自分の大叩きは吹き飛んだ」と、11位からスタートしながら78を打ち、55位に終わった選手とは思えない笑顔を見せました。

さらに、「母がうれし泣きしているのを見たら、自分も泣きそうになった」とも。
ここまで読んで「あれ、お母さんがいたのは軽井沢じゃないの?」と不思議に思ったかもしれません。

クルマですぐに行ける軽井沢に行かなかった理由は

姉弟の母、美由紀さん は今週、力の運転手を務めていました。
男子の試合が行われた横浜から軽井沢は約200キロの距離なのでクルマで3~4時間ほど。東京駅から新幹線に乗れば1時間で着くことができるので、前日の結果を見て最終日(日曜日)の朝に移動しても結のスタートに十分に間に合います。

それでも横浜に残ったのは「僕が去年(SanSanKBCオーガスタで)熱中症になったりしたので、すごく心配してくれて。今週は運転手をしてくれたんです」と力が説明しました。
この日も正午の気象情報で34.2度を記録し、日本男子ツアー史上初めて短パンでのプレーが許可されるほどの暑さの中でプレーした力が去年のようなことにならないよう、少しでも負担を減らそうという母親としての気遣いでした。

「結は自信に満ち溢れている」

さらに「結はもう大丈夫」という家族の共通認識もありました。
今シーズン13回(21試合出場)のトップ10はツアーで堂々の1位。先週の「北海道meijiカップ」でも2位になっている最近の結を「一緒にいてもオーラがあるというか、自信に満ち溢れている」と力は表現します。

その力のスタッツを見ると、ドライビングディスタンスは322.56ヤードで堂々の1位も、パーオン率は49位(67.46%)。パーオンを逃したホールをパー以下のスコアでホールアウトする「リカバリー率」は84位(57.927%)にとどまっています。
直近3試合は予選落ちしていることもあって、5日の月曜日は結が「横浜ミナト」の会場に来て弟を指導しました。
気になる内容は「アプローチの打ち方とか、体の使い方を教えてもらって、今週はめちゃくちゃ良くなりました」(力)とのこと。

最終日は「アンプレヤブルやロストボールが3~4回あって」前半に42の大叩きをしてしまいましたが、ミスショットではなく、「あと1メートル」といった不運での結果だけに復活への手ごたえはつかめた様子です。

「来週が楽しみ」

昨シーズンの結はトップ10がわずか1回で、メルセデス・ランキングは84位。8試合しか出場のなかったプロ転向初年度(2018年)を除くとワーストの成績でした。

当時の姉を力は「調子が悪くないのに結果が出なくて辛かったと思う」と振り返ります。
それは、今週の自身にも当てはまること。つらいことの先には歓喜があると信じて「今調子がいいんで、来週以降がすごく楽しみです」と笑顔で話した力の今後に注目です。

(取材・文/森伊知郎)