フェアウェイキープは驚異の83%!古江彩佳の“ロングアーム・バックスイング”
一流プロのドライバーのマネどころ
ふるえ・あやか/2000年5月27日生まれ。兵庫県出身。日本ツアーではアマチュア時代の優勝を含む通算8勝。2022年に米国ツアー初優勝を飾り、今年は「アムンディ エビアン選手権」でメジャー初優勝を達成。
日本人4人目となる海外メジャー制覇を達成した古江彩佳。米国ツアー3年目の今季はフェアウェイキープ率83%という驚異的な数字を残している。ショットの精度は日本人選手No.1と言われているが、そのスイングから学べることは?
GOLF TODAY本誌 No.627 12~15ぺージより
驚異的なフェアウェイキープ率のヒミツはバックスイングでのロングアームとインパクトでの曲げた右ヒジにあり!
腰の高さまで右腕は曲げない
世界のトップ選手でもジョン・ラームのように右腕を早めに曲げてコンパクトなトップを作るタイプもいますが、古江選手は右腕を伸ばしたままクラブを上げるロングアーム系です。ロングアームのメリットは両腕の三角形をキープしたまま、インパクト、フォローのカタチを作りやすいこと。再現性の高いスイングになるので、打点やスイング軌道のズレが少ない。飛距離よりも方向性を重視したスイングです。写真02のバックスイングでは、シャフトが腰の高さにきても右腕はほとんど曲げていません。この姿勢はメジャー大会に昇格する前の「エビアンマスターズ(2009年)」で優勝した宮里藍選手にそっくりです。
そして、インパクトの瞬間はリリースをしないで右ヒジが曲がったままになっています。右ヒジを曲げることによって、インパクトで当たり負けしないで強く押すことができます。特に打点がセンターから外れたときにフェースが開いたりする動きを抑制できるのがメリット。それがフェアウェイキープ率の高さにつながっていると思います。
フォローの姿勢(写真04)も両腕が伸びて、体の真ん中でシャフトが一直線になっていますが、この角度も宮里選手にそっくりです。
「腕の使い方が宮里藍に似ています」(石井忍)
インパクトの瞬間は左腰を先に回すことで、ハンドファーストの姿勢になっている。
グリップは超ユルユル!ツアーNo.1の脱力スイング ヘッドはループさせない!
右ヒジがワキ腹を通れば絶好調!
写真だとわかりにくいのですが、古江選手は米国でも日本でも、ツアーでトップクラスの脱力系スイングです。グリップはほとんど力が入っていません。肩の力が抜けていて、肩甲骨が下がっているアドレスも理想的です。手首だけではなく、ヒジも肩もリラックスしています。アマチュアゴルファーは肩に力が入ってしまうために肩甲骨が高くなって「怒り肩」みたいな姿勢になりがち。だからバックスイングが窮屈になってしまいます。
スイング軌道にも曲がらない要因があります。古江選手はドローヒッターです。女子プロのドローヒッターだとバックスイングでシャフトを立てて、トップからの切り返しで少しループさせて打つ選手が多いです。決してループさせる動きは悪いことではありません。しかし、古江選手の場合はバックスイングでシャフトを立てずにレイドオフに近い軌道でシャフトが寝ています。切り返しではほとんどヘッドをループすることなく、オンプレーン軌道に沿って下りてきます。まるでレールの上をヘッドがスライドしているような軌道です。
ダウンスイングで右ヒジが少し背中側に入ってくるときは調子が悪いバロメーターになるのですが、写真06のように右ヒジがワキ腹付近に真下に下りてくるときは絶好調です!
過度に掌屈も背屈もせず、手首の角度を変えずにクラブを上げる
アドレスでの手元のポジション、ヒザの角度も理想的。バックスイングでは手首を過度に背屈も掌屈もしないで腕から手まで一直線になっているので、自然なレイドオフになっている。
重心は少しだけツマ先側
アドレスでは重心を少しだけツマ先側にかけることで上半身を回しやすくしている。グリップを短くもつことでシャープに振れる。
インパクトからフォローでは肩とシャフトのラインが平行に
前傾角度のキープもパーフェクト。体が全く伸び上がっていないので、インパクトでもフォローでも両肩のラインとシャフトのラインがほぼ平行になっている。
沈み込む動きで重心を低く
ダウンスイングで少しヒザを曲げて沈み込んでいるのも重心を低く保てるポイント。右足をツマ先側に踏むことで右サイドが傾かない。
石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する。
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