セルフプレーが主流になったから。令和の賢いゴルファー保険の使い方
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第115回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
ホールインワン保険の請求が厳しくなっている?
彼女が打ったボールは、高く上がって、真っ直ぐにピンに向かって飛びました。ホールの手前5ヤードに落ちたボールは、少しずつ右に曲がりながら転がってホールに吸い寄せられるように近づき、最後の一転がりでホールに落ちたのです。
「入った!」
と僕は叫びました。周囲に誰か目撃者がいるかもしれない、と意識した行動でした。
達成したのは妻で、一昨年に続いて、生涯二度目のホールインワン。
彼女は、万歳のポーズをとっていましたが、少し困ったような顔をしていました。
「今回は、ホールインワン保険はダメだね」と彼女はため息交じりに言ったのです。
僕らの組の三人以外は、前後の組もいなくて、コースのスタッフなどの目撃者もいませんでした。
セルフプレーの場合、特別な条件をクリアしないとホールインワン保険の適応にはなりません。前回の妻のホールインワンのときは、セルフプレーでしたが、奇跡的に条件をクリアしてホールインワン保険が適応になって、お祝いに使った費用が支払われました。
ただ、その申請から支払い決定まで、驚くほど面倒な調査が続いて、証明してくれたコースにも、コースのスタッフにもとても迷惑をかけたのです。
こんなに不愉快な思いをするなら、請求を取り下げたほうが良いのでは、と考えてしまうほどに、彼女の中でその経験はトラウマになっていたのです。
心ないゴルファーの「虚偽申請」のせいで厳しくなったホールインワンの証明
2024年のこの国のゴルフは、ほとんどがセルフプレーで、その割合は90%をゆうに超えると言われています。
そういう実態があるのに、セルフプレーのゴルフで達成したホールインワンは、ほぼほぼ、ホールインワン保険の対象にならないというのは、鼻から支払うつもりがない詐欺もどきの保険になっているという指摘は、ホールインワン保険関係の裁判の判例の中でも何度かありました。
ホールインワンと認める証明については、平成の前半ぐらいまでは、現在ほどは厳しくありませんでしたが、ホールインワンをしていないのに虚偽の証明で保険金詐欺をする事件が多発したことがきっかけになって、一気に厳しくなり、実質的には証明できないような条件になってしまったのです。
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これが令和の賢いゴルフ保険の使い方。ホールインワン保険は1dayがお得かも
「保険の対象にならなくとも、ホールインワンはホールインワン。その名誉は一切欠けることはないのだから喜ぼうよ」と妻を励まして、同伴者と改めて、ホールインワンを祝ったのです。
その日の夜、妻と話をして決断しました。
次の更新時に、ゴルファー保険からホールインワン補償を除外することにしたのです。
よくよく考えれば、今の僕は、年に60ラウンド以上していても、キャディ付きでのゴルフは数回しかないのです。セルフプレーが保険の対象にならないのなら、ホールインワンは特約の一つなので、外してしまったほうが、色々な意味でスッキリすると思ったのです。
用具の補償と怪我をしたりさせたりという補償だけで、ゴルファー保険は十分ですし、保険料も安く済みます。キャディ付きのゴルフの時だけ、一日限定のホールインワン保険がネットで契約できるので、必要ならそれを利用すれば良いのです。
同伴者や前後の組のホールインワンを目の前で見たのが、今回の妻のホールインワンで、10回目になりました。僕自身は、約30年前に達成してから、すっかりご無沙汰ですが、二回目のホールインワンが出るのは明日なのかもしれません。
全てのゴルファーは、平等にホールインワンをする権利があります。ゴルフで出来る究極の運試しとして楽しむのが正解です。
ホールインワンの価値は、保険が出るとか出ないとかで、変わったりしないのです。
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篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。