重くするならグリップよりもヘッドかシャフト。短尺ドライバーを組む時の注意点
オグさんがお答えします!
「ミニドラはクラブ長さが短いから当たりやすい」ならば、普通のドライバーのヘッドで短尺を作ったら、そっちの方がいいんじゃない? そんな話題を振られたおぐさんことクラブフィッターでクラフトマンの小倉勇人氏。短尺ドライバーを組む時の注意点を教えてくれた。
ミニドライバーの人気の秘密は短さによるボールのとらえやすさ
皆さんこんにちは。おぐさんです。今回は、お客様とのやり取りがテーマです。先日お客様より「ミニドライバーが流行っているけど、あれってどうなの? 通常のドライバーよりもヘッドが小さく短いクラブなんでしょ? だったら普通のドライバーを短くした方が、ヘッドが大きいぶんよりやさしくならない?」というご質問をいただきました。
お客様がおっしゃる通り、ミニドライバーのメリットのひとつに、通常のドライバーよりも短い設定によるボールのとらえやすさがあります。そのとらえやすさを通常のドライバーに持たせるために同じぐらいに短くすれば、もっとやさしくなるのではと考えるのは、自然だと思います。では、実際に短くしたらどうなるのかですが、人によってはミニドライバーよりも安定したクラブに仕上げることは可能です。しかし、ただ短くするだけでは、気持ちよく振れるクラブには仕上がらないでしょう。
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クラブは短くなるごとに重くなるように作られている
ゴルフクラブは、飛ばしたい飛距離に応じて、重さと長さが違います。最も距離の欲しいドライバーは、長くて軽く作られており、短い距離を狙うアイアンやウェッジは、短く重く作られています。理由は、できるだけ振り心地を近くするため。長いクラブはスイングした時に遠心力が大きく発生し、クラブが短くなるほど遠心力は小さくなります。この短くなるにつれ、小さくなっていく遠心力を重さで補うことで、振り心地をできるだけ近づけているのです。初めから長い設定に作られているクラブを短くしてしまうと、スイングした時に遠心力が減ってしまうため、振り心地が変わってしまいます。短くしつつ振り心地を維持したいなら、その減る遠心力に対して釣り合うぐらいの重さをクラブに足す必要があるのです。
どこを重くするのかでも振り心地は変わってくる
ではクラブを短くした時に、クラブのどこを重くすれば良いのか。第一候補はヘッドです。ヘッドの重量は、もともとの長さに合わせて設定されているので短くしてしまうとスイングウェイト、いわゆるヘッドの効きが軽くなります。ある程度ヘッドが効いていた方が振りやすいと感じるゴルファーは、ヘッドに鉛を貼る、脱着式のウェイトが装着できるヘッドを使っているなら、重いウェイトに交換するといった方法で、ヘッドを重くしましょう。数値にこだわるゴルファーであれば、工房などでバランスを測ってもらいながら調整すると良いですね。
第二候補はシャフトです。どのくらい短くするかにもよりますが、1インチ前後短くするのであれば、10gぐらい重くした方がよい場合があります。その場合にヘッドをあまり効かせたくないのであれば、シャフトのスペックを10g重たいモデルを装着しましょう。いきなりシャフトを替えるのは、リスクがあると考えるのであれば、グリップのすぐ下のシャフト部分に鉛を貼ってみて重さの感覚を試してみてからリシャフトを検討するのがオススメです。
最後にグリップですが、これはあまりオススメしません。グリップが重くなるとただでさえ軽くなってしまうスイングウェイトが、さらに軽くなってしまいます。意図的にするのであれば構いませんが、重量を足すだけであれば、グリップではない方法で考えた方が無難です。
しっかり作りこめば、通常のドライバーをミニドライバーよりもやさしいクラブに仕上げることは可能です。もし1本使っていないドライバーをお持ちで、ミニドライバーのようなクラブを欲しているのであれば、チャレンジしてみても面白いと思いますよ!
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■オグさん(小倉勇人・おぐら はやと)
元ゴルフ雑誌編集者のスウィング&クラブアドバイザー。現在は千葉県にあるゴルフ練習場「ユニオンゴルフクラブ」にて「ゴルフフィールズ ユニオンゴルフ店」で店長をしつつ、過去の経験で得た知識を武器にゴルフライターとしても活躍中。飛距離は250ヤード、持ち球はフェード。ベストスコア68。