失敗しないパター選びのコツは「パターのクセ」を見つけること
石井良介のゴルフ・すべらない話:第40回
自分に適したパターを選ぶのはけっこう難しい。だが、グリップの握り方を変えるだけで、そんなことはなくなりそうだ。今回は、パターのクセがわかるグリップの握り方について、石井良介が語ります。
写真/ゴルフサプリ編集部
せっかく買うんだから自分は頑張らずパターに頑張ってもらおう
前回はラフから打つ時など、状況に合わせてグリップを強めに握ると話しましたが、今回はその逆で、絶対強く握らないクラブの話をします。そのクラブはパターです。
特にパターを選ぶ時には軟らかく持つことが絶対必要。選ぶに際して、僕はクラブがどの方向に動きたがるのかを感じたいのですが強く持つとそれができない。軟らかく持つことで、フェースが開きたい、閉じたい、ヘッドが右に行きたい左に行きたいといった、パターのクセというか個性のようなものがつぶさに感じられます。こうやって自分が打ちたい方向に打てるパターを選ぶわけです。
これはジューシーの松吉宗之さんとお話をさせてもらった中で「パターは最低限の力で支えて感じる」と聞いたのを面白いと思って以来取り入れていることです。どれくらい軟らかく持つかというと、ほぼパターのグリップ部分を手に乗せるだけ。そもそもパターにはライ角があって、ソールすれば手に寄りかかりますから、そうなったパターに両手の指を添えるのみです。
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やってみるとわかりますが、こうするとモデルによってパターの重さを感じるところが違います。もっとも、感じた方が良いとか悪いといった話ではないので、感じなくても特に問題はありません。でも、テークバックでフェースが開いたり閉じたり、インパクトで打球が右や左に出るといった類のことは少なからず起こるので、それを探ります。パターはヘッドが丸い、四角い、大きい、小さい、重い、軽いとたくさんありますが、自分が思っている方向に動かしやすいものが必ず出てきます。それがドンピシャでハマると断言はできませんが、振りやすいかどうかはわかるし、シャフトの硬軟やグリップの太さも感じられます。
僕の場合、基本的にパターを選ぶ時は、お店のパターマットでも何でもいいので、打ち出したいところに打ち出せるかを見ます。カッコいいパターや話題のモデルをいくつか選んで打つと右に出たり左に出たりするパターがあるので、まずそれを省き、何となくでもいいから真っすぐ出るものに絞り込みます。
このタイミングで軟らかく持ち、自分が頑張るんじゃなくパターに頑張ってもらう。せっかく買うのですから仕事をしてもらわないともったいない。結局パターを押さえ込んでしまうと何を使っても一緒なになってしまう。自分で制御しちゃいますからね。
もちろん制御したい人はそう持ってコントロールしてもいいと思います。でも、僕はそのタイプじゃなく呼吸を合わせたい派。これはパターに限ったことではなく他のクラブでも同じで、基本的にはクラブを感じたい。「クラブはこう動きたがっているから自分の呼吸と合うな」といった選び方をしたいんです。
ちなみに、ラウンドのパッティングでは、話してきたよりもうちょっと強く持ちます。人と握手をする時に例えると、嫌いな人と形だけの握手をする、久しぶりに会った友達と握手する、人生最後の握手をする時では力加減が変わると思いますが、基本的には久しぶりに会った友達と握手する時の強さで握っています。わかりにくいですが、要はパターの個性を生かすも殺すも握りの強さ次第。もしパットに問題ありなら、今のグリップの強さが最適なのかを疑ってみては?
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石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。