「急がば回るな」だった、“ハニカミ王子”時代
「マンシングウエアオープンKSBカップ」で優勝。照れながらインタビューを受けた様子から「ハニカミ王子」と呼ばれるようになったのは、まだ15歳の高校1年生だった2007年。石川は当時を「何もごまかさずに、ガンガン攻撃的にいって。悩むこともそんなになかった」と振り返ります。
当時の座右の銘は「急がば回るな」。翌2008年1月にプロ転向して、2009年には賞金王に。まさに、この言葉通りに突っ走っていました。
「引き出しを全部開け、天井が知れてしまった」
それが2019年には「引き出しを全部開けて、持っているものを全て使った。プロになって12年でごまかし、ごまかしやっていくところの“天井”が自分で知れた」と感じるようになったといいます。
この年は3勝して賞金ランキング3位。「バーディー率」では1位になるなど、決して悪い成績ではありません。それでも優勝した最終戦の「日本シリーズ」で優勝した際に「これ以上っていうのは、なかなか難しいんだろうな。ここから上に行くにはどうしたらいいんだろう」と感じて、翌2020年からスイング改造に取り組みました。
「ベースキャンプに戻って装備を改める」
現在も続く取り組みについて石川は山登りに例えて「もっと高い“山”に登るために一度ベースキャンプまで下りて装備を改めよう、という感じです」と説明しました。
ただし、「行けば行くほど、あとどれぐらいで頂点なのかはわからない。今、何合目にいるのかもわからない」のだそうです。
「絶望はしょっちゅう。でも楽しい」
頂上がどれだけ先にあるのかわからない“山登り”は、時に思わぬ壁に当たって絶望感に襲われることも。
それでも「想定外のことは起こると想定していないといけないですよね」と前向きに受け止めます。
「壁にぶち当たった『絶望』というのは、ちょっと自分が甘かったなという感じがするんです。足りなかったのは下調べなのか。単純に登り方の技術なのか。そこを細分化していくと必ずなにか解決する方法はあるはずですから、瞬間的には落ち込んだりするけど、色々考えると楽しくなってくるんです」(石川)。
絶望に襲われることは「しょっちゅうです」と言いながらも、その時々で露呈した課題をクリアしていくことで「頂上」に近づけていけることに充実感を得ているようでした。
「上手くなるしかない」
スイング改造を始めた当初は「どこに当たるのかわからない。空振りとかするんじゃないか、という感じでした」ほどでした。
それが11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で優勝という結果が出たことで「コツコツと同じことを続けてきて、そこがコネクト(繋がり)始めている感じはあります」と確実に前進していることを明かしました。
では、まだ見えない頂上には何があるのでしょう。あるいは、何を成し遂げればたどり着いた、といえるのでしょう。
そう聞くと「上手くなるしかない、と思っています」との答えが返ってきました。
頂上の見えない山登りは苦しくなることもあるそうですが「それは予想していたし、必要なもの。そう感じるのが楽しいんです」と言います。
2025年はどれだけ頂上に近づいたと言ってくれるのでしょう。来シーズンの取材が今から楽しみです。
(取材・文/森伊知郎)




