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ソニーで健闘の平田憲聖が参戦する下部ツアーの過酷さとは?
平田憲聖を待ち受ける過酷なツアーの実態は?(写真/Getty Images)
アメリカPGAツアー「ソニーオープン」では一時首位に立つ健闘をした平田憲聖が今年はは下部コーンフェリーツアーに参戦する。華やかなPGAツアーとは異なる過酷な世界はどのようなものなのか。2シーズン経験して今年からはPGAツアーに昇格した大西魁斗がその実態を語ったことがあった。
ハワイから丸一日かけて移動。「泥の上を何時間も走って」コースへ
19日開幕のコーンフェリーツアー第2戦「グレートアバコ・クラシック」が開催されるのはバハマです。
フロリダ半島の東に浮かぶ大西洋の島までは、「ソニーオープン」が開催されたハワイのホノルルから飛行機に乗っている時間だけで10時間超。乗り継ぎと5時間の時差をプラスすると、時計の針は丸一日近く進んでしまう移動時間です。
もっとも本当に過酷なのは飛行機を降りてからです。この試合に出場経験のある大西は「道がないので泥の上を何時間も走って行った。携帯もずっと圏外だった」と振り返ります。
道なき道を走るのですから快適なはずはありません。
さらに携帯が使えないのでは、スマホの位置情報などで今どこにいるのか。あとどれぐらいで着くのかを検索しようがありません。
ツラい思いも「もう半分ぐらい来た」「あと1時間ぐらい」などとわかっているのと、皆目見当すらつかないのではメンタルの消耗度が違います。
それでも我慢するしかないので、タフさが試されることになります。
昨シーズン参戦した大西は戦い抜いて見事に昇格。
呼吸困難にもなった中南米シリーズ
コーンフェリーツアーはバハマの後も3月まではパナマ→コロンビア→アルゼンチン→チリと中南米シリーズが続きます。
大西はコロンビアでの試合で「標高が高いので、ホテルに戻っても寝れなくて呼吸困難になってしまったんです」と振り返りました。
そのため食欲どころではなく、2日目以降の3日間はプロテインバーひとつで過ごしたそうです。
「シーズンの序盤は中南米でそういう試合が続くから大変」との言葉通り、参戦初年度の2023年は初戦から3戦連続予選落ちで4戦目が棄権という結果でした。
「生きるか死ぬかの緊張感」「脱出するしかない」
治安が良くない環境のこともあり「生きるか、死ぬかに近い緊張感だった」と大西は表現するほど。
一般的な日本人の感覚ではとてもゴルフどころではない、となりそうです。
それでも選手たちは「ここで結果を出せばPGAに繋がる試合に出られる、という喜びを感じながらプレーしている」と大西は言いました。
ゴルフが上手いだけでは生き残れない世界。大西自身もコーンフェリーツアーにいた時は「早く脱出するしかない」と、PGAツアーに上がる、とは違う次元の気持ちでいたそうです。
プロテインバーしか食べられなくて8位に
こんな環境の中で確実に逞しくなっていました。
毎日プロテインバーひとつしか食べられなかった昨年のコロンビアでの試合は8位に入っています。
初年度も、一度もパープレーすらできなかった最初の4試合とは一転、5戦目のチリでの試合の初日を1アンダー(71)で回ると2日目以降も68、67、65で回って7位タイとなりました。
過酷な環境の中でも、1打1打が確実にPGAツアーに繋がっているチャンスを与えられたゴルフができている喜びを感じることができて、かつ結果を出せる。
その競争を勝ち残った人だけが晴れて華やかな舞台へ上がることができる世界、ということですね。
(文/森伊知郎)
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