「Qi35 LS」と「 ELYTE ♦♦♦」をコースで打ち比べ！ “ロースピンモデル”が大好物の野村タケオを喜ばせたのは！？
みなさんこんにちは。ゴルフバカイラストレーターの野村タケオです。2025年になって海外ブランドから新製品が発表になりました。毎年のことですが、どのモデルがいいのか悩んじゃいますよね。それが楽しいことでもあるのですが。僕はスピンが多いゴルファーなので、どうしても毎回ロースピンモデルに目が行きます。今回でいえば、テーラーメイドでは「Qi35 LS」、そしてキャロウェイゴルフでは「 ELYTE ♦♦♦」です。他にPINGの「G440 LS」というのもありますが、とりあえず今回は「Qi35 LS」と「 ELYTE ♦♦♦」のロースピン2モデルをコースで打ち比べてみました。
〈取材・文・写真提供 野村タケオ〉
今回打ち比べた2モデルの詳しい構造や性能などは他の記事やメーカーの公式サイトで見てもらうとして、ざっくりと紹介させてもらいます。
まずテーラーメイドの「Qi35 LS」ですが、特徴としては、やっぱりカーボンフェースですよね。そして徹底的に軽量化を図ったことで生まれた重量を最適に配分することで、フェース面上の重心位置をフェースセンターに近づけることに成功しています。そのことで、有効打点エリアが増え、ミスヒットした時でも初速が落ちず、しっかりが飛距離が出るドライバーに仕上がっています。またヘッドの軽量化、最適な重量配分、重心位置の最適化により、ボール初速を維持しながら高い慣性モーメントを実現しています。
そして「Qi35 LS」にはヘッドのトウ・ヒールに3gのウェイト、後方部には13gのウェイトが装着されています。これを入れ替えることで、さらなる強弾道にすることや、ボールのつかまり具合を調整することが可能になっています。
キャロウェイゴルフ「 ELYTE ♦♦♦」の特徴はなんといっても「AIフェース」ですよね。今回はソフトウェアを大きくアップデートすることで、今までできなかったAI設計のフェースデザインを細部まで100％反映することができるようになりました。そのことでコントロールポイント（フェース上にある、最適な弾道に補正する場所）が前作と比較して10倍の25000ポイントになった「Ai 10x FACE」を採用しています。
またクラウンには軽くて強度が高く、成形しやすいサーモフォージドカーボンを採用することで、より高い精度で設計どおりに製造することが可能になりました。それと同時に重量配分が最適化され、スピン量や打ち出し角が、より理想的なものとなり、さらに心地よい打感も実現しています。
「 ELYTE ♦♦♦」にもソールの前後にはウェイトが装着されています。初期設定では前に4g、後ろに9gが装着されており、これを入れ替えることで弾道の高さやスピン量を調整することができます。
2つのヘッド形状を比べてみるとけっこう違いがあります。「Qi35 LS」はかなりネック側がシェイプされた洋梨形状で、いかにも左には行かないような形。「 ELYTE ♦♦♦」は洋梨っぽい形状ではありながら、ネック側のシェイプはそれほどではありません。左に行きそうな感じはしませんが、個人的にはこちらの方が捕まりやすそうに感じます。
「Qi35 LS」のクラウン部分はマットな濃いめのグレーで、カーボン模様が見えています。「 ELYTE ♦♦♦」のクラウンは光沢のあるブラックでカーボン模様などは見えません。ちなみに「♦♦♦」以外の「 ELYTE」シリーズのクラウンはマット仕上げになっています。
両方のクラブを打ってみました。ヘッドスペックは「Qi35 LS」がロフト10.5度、「 ELYTE ♦♦♦」がロフト9度です。シャフトはそれぞれ純正シャフトで「Qi35 LS」が「2025 Diamana SILVER TM55」のSで、「 ELYTE ♦♦♦」が「TENSEI GREEN 60 for Callaway」のSでした。
まず「Qi35 LS」ですが、個人的には構えた時に捕まるイメージがあまり出ません。ということは、左へのミスのイメージは完全に消せるということ。打ってみると打感は柔らかめですが、弾き感のある少し軽めの打感。球離れが少し速く感じます。打音は低めの音です。
弾道は中高弾道くらいでしょうか。球が上がりやすいクラブではないですが、ロフト10.5度だといい感じの高さにはなります。スピン量はやはり少なめですね。つかまりのいいヘッドではないので、僕が打つと軽いフェードで飛んでいきます。それでもスピン量はあまり多くなっていないですね。フェードヒッターの僕がかなり捕まえる意識でもドローにはなりにくいです。
純正シャフトは思ったよりもしなり量が大きいので、少しつかまりが良くなるし、弾道も高くなる感じがしました。ヘッドとの相性を考えると「2025 Diamana BLACK TM60」の方がいいかもしれません。ただこっちはかなりしっかり感が増すので、ある程度のヘッドスピードが求められると思いますが。
飛距離性能はやはりありますね。打った時に「飛んだー！」という感覚はあまりないのですが、実際には思ったよりも飛んでいるという感じ。
次に「 ELYTE ♦♦♦」ですが、これは構えてみるといかにも叩いていけそうな感じがします。左に行く感じは少ないですが、しっかりとつかまえられるイメージはありますね。打ってみると打感は柔らかめですが、かなりしっかりとした感触。ガッツリと厚く当たっているような感覚ですね。フェースに少しくっつくような感じもあります。打音も低めです。
弾道は中弾道。ロフトが9度ということもあって、球は上がりにくいです。少し球を上げたい人は10.5度を選んだ方がいいですね。弾道はかなりのロースピンで、かなりの強弾道。僕が打つとほぼストレートの球で、多少なら軽いドローも打てそうな感じがします。
純正シャフトは重めでかなりしっかりしています。クラブ重量がかなり重めになるので、少しヘッドスピードが必要になるかも。カスタムの「SPEEDER NX VIOLET 50S」を挿れても打ってみましたが、これだとしなりが少しあるので、弾道も少し高くなりました。
飛距離性能はかなりありそう。弾道が低めで強いのでランを含めた距離はけっこう出ますね。
2社のロースピンモデルを打ち比べましたが、色々な面で違いがあるな〜と思いました。弾道はどちらもそこまで高くありませんが、打感がかなり違いますね。やはりカーボンフェースとチタンフェースの違いでしょうが「Qi35 LS」は弾き感があり軽めの打感で飛んでいく感じ。一方「 ELYTE ♦♦♦」はガッツリとした打感で押し込んでいくような感じです。これは好みが分かれそう。つかまりはどちらもいいわけではないですが、形状的に「Qi35 LS」の方が左へのミスの怖さはなさそう。操作性はどちらも高いので、上級者であれば弾道の打ち分けはできると思います。ロースピン性能はほぼ同じようなものだと思いますが、感覚的には少しだけ「 ELYTE ♦♦♦」の方がスピンが少なく感じました。
純正シャフトはどちらもなかなかよく出来たシャフトだと思いますが、「Qi35 LS」は重量違いで2種類のシャフトが用意されているので、選びやすさはあると思います。純正シャフトの出来がいいので、このままでも十分なポテンシャルを発揮してくれますが、どちらも自分に合ったシャフトを挿れれば、さらにヘッドの性能は活かせるんじゃないかと思いました。
どちらのメーカーもいろいろな方法で得た余剰重量を最適な場所に配分することでロースピン性能を生み出しています。だけどその他の素材の部分や構造などは全く違ったアプローチの仕方をしているところが面白いですよね。
2本を打ち比べて、僕的には少しだけ「 ELYTE♦♦♦」の方が好印象です。やはりスライス系の僕としては、構えた時に捕まりにくい印象の「Qi35 LS」は構えにくいんですよね。ドローヒッターにはとてもいいのでしょうが。ただ気持ちよくフェードが打ちやすいのは「Qi35 LS」なんですよ。いや〜これはまだまだ迷いますね。さらにPINGの「G440LST」なんていうロースピンモデルもあるしね。まだまだ悩みは尽きません。僕のようなロースピンモデル好きの人はぜひ各社のモデルを打ち比べてみてください。
ゴルフバカイラストレーター、野村タケオ。
京都府出身。様々なゴルフ雑誌やウェブサイト等にイラストやイラストコラムを寄稿。
毎週水曜の22時からYouTubeライブで生放送「野村タケオゴルフバカTV！」を放送中。
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